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タカシの外資系物語

タカシが考えるメンターの要件とは ? ( その 2 )2007.10.09

タカシが転職をやめた理由

前回の続き ) 1 年半ほど前の、ある夜のこと。転職をほぼ決めていた私は、 M 氏に居酒屋に呼び出され、役員に昇進する M 氏の後任として、チームリーダー ( 部長クラス ) への就任を打診されました。


M 氏 「俺のチームの面倒を見るやつがいないから、お前やれ。」


私 「私は辞めると言うとるやないですかーーー(T-T)」


M氏 「どうせお前のことだから、辞める原因って、金じゃないだろ ? 自分のチーム持って、自分のやりたいようにしたいだけなんじゃないのか ? 」


… ず、図星やんけ …


M 氏 「なら、今の会社でやれ。」


私 「で、でも、転職先との話も進んでますし … 今さら、そういうわけにも … 」


M 氏 「すでに、 ( 契約の ) ハンコ押したのか ? 」


私 「まだですけど … 」


M 氏 「じゃいいんだよ。明日俺が電話しておいてやる」


私 「電話ぐらい自分でしますよ、トホホ、無理やりやんけ … (T-T)」


結局、私は M 氏の説得に応じ、直前まで進んでいた転職話を白紙に戻して、今の会社に残ることにしました。それから 2 週間ほどすると、 M 氏の言った通りに、人事異動の連絡がありました。M 氏は金融セクターのリーダー ( 役員 ) に、私は M 氏の後任として、 20 名ほどのチームリーダーに就任することになりました。


さてさて、こうして私は転職話を取りやめにしたわけですが、その理由は何だと思いますか ? 確かに、 M 氏の言うように「自分のチームを持って、自分のやりたいようにする … 」というのは、私の希望でした。その希望が満たされたから、今の会社に残ることに決めたかというと、実はそうではありません。私は、「 M 氏のいる会社に残りたい」と思ったから残ったのです。

メンターから得ることができるもの

前回のコラムの冒頭でも述べたように、ビジネス社会で成功する上で重要なことは、色々とあるでしょう。しかし私は、最も重要なことは「良い指導者 ( メンター ) にめぐり合い、その人のもとで成長すること」だと思っています。


もちろん、成功のためには、資格などに裏打ちされた「スキル」も重要です。しかし、本やインターネットから得られるような情報をベースにしたスキルというのは、結局のところ、万人が平等に手に入れることができる仕組みになっているため、司法試験や会計士試験などのとびきり難関なものを除いては、大きな差別化要素にはなりえないケースが多いように思います。


また、「運」も成功要因としては重要な要素といえるかもしれません。しかし普通の人にとって、運というのは uncontrollable ( 制御不可能 ) なものですから、こんなものに頼って生きていくわけにはいきません。つまり、「 ( 資格などの ) スキル」や「運」というのは、差別化が難しく不安定なものなのです。


では、「リーダーシップ」や「決断力」というのはどうでしょう。確かに、これらはビジネス社会で成功する上で、非常に重要な要素のように思えます。一方で、これらの特徴は、本を読んで学習することで習得できるようなたぐいのものではないということです。「ビジネス偉人伝」みたいな本を読むと、自分にもリーダーシップがついたかのような気分に浸れますが、それは錯覚以外の何物でもありません。本当の「リーダーシップ」や「決断力」というのは、自分がその場に身を置いていなければ、まず身につけることはできません。この「リーダーシップ」や「決断力」こそ、「良い指導者 ( メンター ) 」から教わるものなのだろうと思います。

メンター = 「実現可能性の高い人」

では、良いメンターの要件とは何なのでしょうか。 私は、良いメンターとは「実現可能性の高い人」ではないか、と思っています。実現可能性とは、「自分の目標が達成できる」可能性のことです。例えば、スポーツ選手がオリンピックで金メダルを取るために、過去に金メダル選手を指導したことがある人に指導を受けるというのがこれに当たります。いくら理論が優れていても、いくら精神面で感動的なことを言おうとも、金メダルを取らせてくれなければ意味がないわけです。「あの人についていけば、金メダルが取れる。あの人には、それを成し遂げる力がある … 」と思わせることが重要なのです。


私は、 M 氏以外の上司にも転職の話をしましたが、その多くはきれいな言葉を並べて、私を引き止めようとするものでした。「この会社は、タカシを必要としている … 」「タカシなら、しばらくすればチームを持ってやっていけるさ … 」 しかし、どの話も「自分のチームを持って、自分のやりたいようにする」という私の希望を、具体的に満たしてくれるものではありませんでした。そんな中で、唯一 M 氏だけが、私の希望を現実に満たし、実現してやろうと申し出てくれたわけです。 M 氏には私の希望を実現する力がある、この人をメンターとしてしばらくやってみようか … これが、私が転職を思いとどまった最大の理由に他なりません。


こうして、私は M 氏から 20 名のチームを引き継いだわけですが、チームの指導者 ( メンター ) として、常に心がけていることがあります。それは、「スタッフを昇進させることに全力を注ぐ」ということです。これは、「金メダルのコーチ」と同じ論理なのですが、結局のところ、部下を昇進させる力のない上司には、だれもついてこないと思うのです。「私はみんなのことを思っている。常に心配している … 」と言ってみたところで、実力が伴わなければ、そんな言葉を百回聞いても無駄なだけです。部下の望むこと ( = 昇進であったり、問題解決であったり ) を実現する能力があるか、この人に自分を任せて良い結果が得られるのか、ということこそが重要なのです。


良いメンターにめぐり会えるかどうかということは、個人の成功を大きく左右します。メンター選びで重要なことは、「自分にとって心地よい人」でもなく、「その人自身が優秀な人」でもありません。「その人は、自分の目標を実現する力を持っているか。実際に、同じようなことを成し遂げたことがあるか」 これが判断基準だと考えて間違いないと思います。


みなさんはメンターと呼べる人がいますか ? その人は、あなたの目標を実現する力を持っていますか ?

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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