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タカシの外資系物語

英語だらけの日本語を使う人、増殖中 ・・・2007.04.10

英語だらけの日本語とは ?

「… 以上のように、これらの strategy を drive することは、 revenue を maximize する上で must な factor となります。みなさんの team target においても、より accelerate を効かせた planning をお願いしたいと思います … 」 


… ね、眠ぃ … そもそも、何言うとんねん、このおっさん … 


私は今、社長主催のマネージャー・ミーティングに参加しています。経営企画担当の役員 A が、今年の経営戦略の話をしているのですが … 英語が多すぎるわーーーーーーー ! 中途半端に日本語入れるぐらいなら、全部英語の方がマシじゃーーーーーーーー ! ハァハァハァ … 


外資系企業には、このような「英語だらけの日本語を使う人」が、かなりの割合で生息しています( 最近は、日系企業にも多いようですが … )。 


つい先日もこんなことがありました。私はあるセミナーの講師をすることになり、チームの若手 B くんと一緒に出かけました。セミナーも無事終了し、その帰り道でのこと。 


B くん 「いやぁ、 so tired って感じ… 」( なんじゃそりゃ … ) 


B くん 「それにしても、タカシさんの argue は迫力ありますね、 wonderful... 」( ・・・・・・ ) 


Argue って、アンタ … 最初、何を言っているのか全然わからんかったやんけ ! 「松屋」という牛丼屋さんに、牛丼とカレーを混ぜた「カレギュー」というのがあるのですが、それの新メニューかと思ったぐらいです。 


また、こんなこともありました。実は私、ここ一ヶ月ほど、学生さんの採用面接の面接官をしているのですが、そこでの一コマ。 


私 「では、何かご質問はありますか ? 」

    
学生 C さん 「あの、 1 つよろしいですか ? 」 


私 「どうぞ」    

 

学生 C さん 「御社の core value は何ですか ? 」 
( ぬぬ、こいつ何が聞きたいねん ? もしかしたら、オレを試しているのかも … ここは、ひとまず切り返してやるかな、と … ) 


私 「core value というのは、どういう意味で使われてます ? 」 


学生 C さん 「え ? core value は core value ですけど …」

「欧米かぶれ」系、「わけわからん」系

以上のように、役員 A ・若手 B ・学生 C と、 3 種類の「英語だらけの日本語を使う人」の例を挙げました。次に、これらの人たちの特徴をまとめてみましょう。 


まず、役員 A 。これは 「英語使うが内容薄い、欧米かぶれ」系 の人たちです。この手の人は日系・外資問わず、昔から結構います。この人たちの特徴は、文章としての日本語はそれなりにまとまっているので、英語が混ざっても、それほどの違和感はありません。しかし悲しいかな、内容が全くない、薄いのです。なので、聞いていて、全く頭に残らないのです。冒頭の例でも、結局のところ、「収益を向上するために、戦略を実行してね。部下のみんなにも伝えてね」と言っているだけにすぎません。英単語を 10 個も 20 個も使っている間に、日本語なら 2 秒で済みます。 


外資系では、この手の人は、企画部門に集中する傾向にあります。企画部門と聞くと、何だか出世頭のエリートのように思われがちですが、外資では必ずしも、そういうわけでもありません。外資ではお客様と接点のある営業やマーケティングが花形で、お客様と接点のない企画部門の力はそれほど強くありません。そもそも、英語ばかり使ってわけのわからないスピーチをするような人では、営業やマーケティングは務まりませんからね。 


次に、若手の B くんですが、これは 「そもそも言葉がおかしい、わけわからん」系 の人たちです。この手の人は 20 代を中心とした若手に多く、そもそも日本語が下手です。つまり、英語を使っているからわかりにくいのではなくて、日本語そのものがおかしいので、わけがわからないのです。普通の会社では浮いてしまう人たちなのですが、あまり熟慮しない分だけスピード感に富むので、流行の最先端を追うような業種には向いています。

「意思疎通に失敗する」系

さて、私は役員 A や若手 B については、それはそれでいいと思っています。人それぞれの個性ですから。ま、自分の周囲には、いてほしくないですがね … 問題は、学生 C です。最近、この手の人が非常に増えてきています。 


この人たちの特徴は、話す日本語は非常にしっかりしているのですが、話のキーとなる重要な言葉を英語にする傾向があります。で、理解して使っていればいいのですが、何となく感覚的に使っているので、その意味を問われたときに返答することができないのです。いわば、「無理に英語を使い、意思疎通に失敗する」系といえます。 


最近、学生さんを中心に、このような人たちが増えてきた理由の 1 つに、外資系企業の影響があるでしょう。例えば、「Core Value」なんていうのは、外資系企業を説明する際にはよく出てくる言葉ですが、その言葉自体は非常に曖昧なもので、具体的に定義しにくい。また、話し手と聞き手で、様々な解釈ができる ( 解釈の幅がある ) ので、注意を要します。 


一方で、「 Core Value 」というのは何となく響きがいい。だから、外資が好んで使うのです。外資では、具体的な言葉を使うと、具体的な数字まで言わなければならないので、都合が悪いのです。例えば、「 Revenue ( 収益 ) 向上」と言ってしまうと、「どれぐらい向上するんだ、株主にはどのように還元するんだ … 」となってしまいますが、「 Core Value の提供」と言うと、それ以上具体的に言いようがないので、かえって都合がいいわけです。 


ここ数年、日系企業の多くも、このような外資の「曖昧戦略」に乗ってしまい、今や日本社会は、「響きはいいが曖昧な言葉」であふれかえっています。この流れから、学生さんの就職活動においても、曖昧な言葉で知ったかぶりをする戦略が主流になっているようです。 


しかし、外資で採用に携わっている立場から言うと、はっきり言って逆効果、印象良くないです。採用面接というのは、非常に限られた時間内において、自分をアピールする場です。そんな場面で、定義が定まっていない曖昧な言葉を使うのはどうでしょうか。また、仕事というのは、「具体的に成果を出してナンボ」の世界であって、曖昧では仕事になりません。企業が聞こえのいい曖昧な言葉を使っていたとしても、現場で働いている人というのは、具体性の中で生きています。スキルを積むべき若い時代に、具体的な世界から抽象的な世界に逃げてしまうと、スキルが付かずに使い物にならない評論家ばかりになってしまいます。どうか学生さんは若者らしく、日本語で具体的なやり取りをお願いしたいな … と、切に願う今日この頃です。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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