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タカシの外資系物語

ホワイトカラー・エグゼンプションに思う (その 2 )2007.02.20

総務課長の暴挙

( 前回の続き )「タカシくんさぁ、残業代のことなんだけど … 最近ちょっと、つけすぎじゃないの ? 」


日系の銀行に勤めていた頃、部の総務課長に呼び出されて、こんなことを言われたことがあります。


総務課長 「言いたかないけど、君の残業時間は常に部内の上位 3 位に入ってるんだけど … どうなのかな … ? 」


私 「私の担当は海外支店のシステムですから、 NY の担当者と話をしようとすると、どうしても残業せざるをえないんで … 」


総務課長 「いや、だからさ、残業するなって言ってるんじゃないんだよ。残業代つけるの、もうちょっと加減すれば、って言いたいだけで … 」


私 「 … ( なんじゃ、そりゃ … ) 」


当時の私は、血気盛んだった ( = 武闘派だった ) ものですから、この総務課長の暴挙に納得が行かず、色々と反抗を繰り返したのです。


( 反抗 1 ) 
「総務課長にこんなこと言われたんですけど … 人事に相談してもいいですか ? 」と、当時所属していた課の課長に相談したところ、「頼むからトラブルを起こさないでくれ ! 」と懇願されたので、あえなく撤退 ( T-T )


( 反抗 2 ) 
仕方ないので、朝の出社を遅くして「 1 人フレックス制」を導入したところ、課長には「勝手なことをするな ! 」と泣かれ、総務課長には「それは遅刻だ ! 」と言われたため、気持ちが萎えて撤退( T-T ) ( T-T ) ( T-T )


ま、そんなこんなで、これ以来一切残業はつけないことにしました。総務課長や課の課長は、そんな私のことを煙たがっていましたが、理不尽かつくだらないことでウダウダ言われるのは嫌なので、「孤高」を貫いたわけです。そうこうしているうちに、マーケット部門に異動してディーラーになるチャンスを得たもので、私は迷わずデリバティブのディーラーになりました。私が異動を希望した最大の理由は、マーケット部門には「残業」という概念がなく、収益という「成果」をベースに評価がなされていたから。その後、外資系企業に転職したのも、突き詰めて考えると、成果主義を追い求めた結果だったような気がします。

2 種類のホワイトカラー

さて、先週より「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」について考えてきました。私は、この制度を日本企業に導入する上で、クリアしなければならない点は、大きく 2 つあると思います。

 


( 1 ) 残業代の有無は、ホワイトカラー一律ではなく、社員自らに選択させるべき。その前提として、ホワイトカラーには 2 種類の給与レベルを用意する


日本の政治家や経営者は、「アメリカのホワイトカラーには残業代は支給されていない」と思っているようですが、全てがそういうわけでもありません。日本人にとって身近な外資系、例えば投資銀行やだれでも知っているような大手企業には残業代がないケースも多いですが、アメリカ本土に目を向ければ、私の知っている範囲では、例えば経理部で言えば、単に計算をして計数を記録している人と、会計戦略を考えている人の、給与レベルが違う二種類のホワイトカラーがいます。そして、 アメリカの企業でも Overtime ( 時間外労働割増賃金の制度 ) がホワイトカラーに対しても一般的に取り入れられています。


では、どうして残業代が支給されないホワイトカラーの方が目立っているのかというと、彼ら ( 彼女ら ) は会社を代表するようなポスト、消費者の接点となるようなポストに数多く存在しているからに過ぎません。そして、そのようなポストというのは、成功すれば多くの報酬が得られますが、失敗すれば、ボーナスはおろか、給料もないというような場合も珍しくありません。しかし、成功したときの報酬が途方もなく大きいので、そのポストを希望する人も多く存在するのです。


そして、最も重要なポイントは、彼ら ( 彼女ら ) 自身が、そのような「ハイリスク・ハイリターン」なポストを自ら選択しているということです。つまり、アメリカのホワイトカラーには、「ハイリスク・ハイリターン型」と「ローリスク・ローリターン型」の 2 種類の給与レベルがあって、どちらを選ぶかという選択権は、社員が持っているということです。もちろん、「ハイリスク・ハイリターン」型を選択するためには、それなりのスキル ( MBA 等) が必要なので、だれもが選択できるわけではないですが。


本来、「リスクとリターン」「当事者自らの選択」という、非常にわかりやすい仕組みのはずが、日本においては「ホワイトカラー一律」となってしまったために、何やら雲行きの怪しい話になってしまったというのが実際のところではないでしょうか。

 

質が高ければ、帰ってよし

2 つ目の点は、ホワイトカラーの仕事の成果をいかに測るかということです。


( 2 ) ハイリスク・ハイリターン型ホワイトカラーの仕事の成果は、そのアウトプット ( 成果物 ) の質によってのみはかるべき。質の高い成果物を出していれば、労働時間が少なくても OK とする。


私は、日本版ホワイトカラー・エグゼンプションの成否は、このポイントにかかっていると思います。つまり、日本企業が、例えば 1 日に 1 時間しか働かないが質の高い成果を出す社員に対して、給料を出すことができるか否かということです。


外資の場合でいうと、質の高い成果を出してさえいれば、給料は支払われます。ま、実際には、日に 1 時間しか働かなくてもいいなどというスーパーマンは存在しませんが。どんなに優れた能力を持った人であっても、標準時間の半分ぐらいの時間は絶対的に必要です。外資に勤めている人が、日系に勤めている人よりも優秀なわけではないのです。


では、外資はどこが違うかといいますと、どうでもいいような時間、あまり成果に結びつかないような時間を極力なくし、会社にいないようにしているということに尽きます。


みなさんも 1 日の仕事の仕方を思い浮かべていただきたいのですが、例えば 10 時間会社にいたとして、本当に集中して仕事をしたと実感できる時間って、どのくらいあるでしょうか ? せいぜい、3 ~ 4 時間ではないかと思うのです。仮に、それ以外の時間は、ダラダラ ( と言っては語弊がありますが ) と過ごしていたわけですから、会社にいなくてもいい。つまり、 1 日に 3 ~ 4 時間働けば、それでいいということになります。


「いや、私は 1 日中ずっと集中して全力で働いている ! 」というアナタ。そういう方は、ホワイトカラー・エグゼンプションに移行すべきではありません。逆に、 1 日の特定時間に集中して仕事をしているようなアナタは、ホワイトカラー・エグゼンプションに移行してもいいのではないかと思います。 
  
現在の労働法は、単調に製品を作り続けるような労働を前提に、 60 年も前に作られたものです。今回の一連の議論は、ホワイトカラーうんぬんではなく、全ての労働者にとっての働き方が問われているわけでして、みなさんも自己の働き方を再度見直してみるのにいい機会ではないでしょうかね。では !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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