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タカシの外資系物語

ビジネス英語・中級者への道 ( その 1 )2006.12.12

初心者と中級者の違い

今回は、英語の話をしましょう。


実はこのコラムでは、定期的に英語の話題を取り上げています。その内容は、外資系企業で頻繁に使う英語の表現や英語力の鍛え方など、主に「初心者向け」の内容になっています ( 単行本 『外資流!「タカシの外資系物語」』 ( あさ出版より好評発売中 ! ) には、コラムでは触れていない内容も書いていますので、機会があれば是非読んでみてください ! )。


もちろん何事も「基礎」が大事ですから、私も自分が書いた内容を常に思い返して、日々、英語を使っています。しかし、外資系に数年いると、それなりに英語力は UP してきます。私も早いもので、外資系勤務ン年目。いつまでも、「私、英語は初心者でんねん … 」 と言い逃れをするわけにもいきません。では、初心者から中級の下ぐらいにステップ UP するためには、どうすればいいのでしょうか。


その方法に入る前に、「初心者」と「中級者」のレベルを確認しておきましょう。ここでは、以下のように定義することにします。


○初心者 … 自分の言いたい「日本語」を、「英語」に訳して話すことができる


○中級者 … 自分の言いたいことを、「英語」で話すことができる


「どちらも自分の言いたいことを英語で話すことができるんだから、同じじゃないの ? 」 実はこの 2 つ、似ているようでいて、かなり違うのです。


例えば、「締め切りに間に合わない」ことを英語で伝える場合、みなさんは頭の中でどのように考えて話しますか ? 「ええっと … まず、この文章の主語は何だろ ? 間に合わないのは “ オレ ” なんだから、” I ” だよな。” 間に合わない ” = “ ( オレが ) 間に合わせることができない ” だから、I can not do this work by the deadline... かな ? 」 こんな感じでしょうか。


もちろん、これでも意味は通じます。しかし、ビジネス考えた場合、この英文では致命的な「欠陥」がいくつかあります。


( 欠陥 1 ) “ I “ を主語にしたことによって、締め切りが間に合わない原因は自分であることを認めてしまう可能性がある


( 欠陥 2 ) 否定文 ( not ) で終わっているため、前向きな議論になりにくい = 「だから、どうするの ? 」 という問いかけに対応しにくい = 評価されにくい !

“I” を主語にした文章の欠陥

典型的な日本人英語の特徴として挙げられるのが、「人格を持った主語を設定したがる」ということです。つまり、どんな文章であっても「主語 ( 人 ) +動詞 … 」という構成を作ってから、英文を考えてしまうのです。「締め切りに間に合わない」という文章を例にとると、「私は締め切りまでに仕事を間に合わせることができません」という日本語を、まず頭の中で作って、それを英語に訳して話しているのです。その結果、日本人の英語には、” I “ “ We “ “ You “ “ They “ などの代名詞が頻繁に出てきます。 E メールで英語を書くときに、主語が ” I “ などの代名詞ばかりで何だか変だなぁ … という経験をした人は多いのではないでしょうか。一方、英語ネイティブの外国人の英語には、 E メールであっても、会話であっても、「人格の主語」は思ったほど出てきません。


私は、日本人の英語が「人格の主語」を多用する原因の 1 つは、日本の英語教育にあると思っています。アルファベットを習った後、初めて文法を学ぶのに、「 I am a boy. 」「 You study English. 」 から入るのが一番教え易いために、「主語 ( 人 ) +動詞 … 」という構成が日本人の頭にこびりついてしまっているのです。


では、人格の主語を使うと、何が困るのでしょうか。それは、上記の ( 欠陥 1 ) にも書きましたが、「原因が自分にあることを認めてしまう可能性がある」ということです。もちろん、締め切りに間に合わない原因の全てが「自分」にあるならば、 I can not do... と言って一向に構いません。しかし、そんな説明ばかりしていると、自分の能力の低さばかりアピールすることになり、当然の成り行きとして、業務上評価されにくくなります。


「 You said “I can not do”, then it depends on your skill! ( 自分で “できない” って言ってるんだから、それはお前のスキルの問題だろ ! )」 なんてことを言われかねないというわけです。

主語を曖昧にするメリット

では、締め切りに間に合わないのは、自分のせいだけじゃない場合、どのように言えばいいのか。ネイティブなら、次のように言うと思われます。


( 1 ) It doesn’t meet the deadline 

( 2 )The deadline is coming soon


まず ( 1 ) ですが、主語が “ It ”になっています。「 It って、”それ” ? それって、何やねん ? 」 ここで言う ” It ” とは、実は何者でもありません。あえて言うなら、不特定な何か、誰かを意味します。こうすることによって、締め切りに間に合わないのはだれのせいでもなく、単にそういう事実が起きそうだというニュアンスのみを伝えることができます。


次に ( 2 ) にいたっては、驚愕の世界、まさに「英語恐るべし ! 」といえる表現です。この文章では、「締め切り」そのものが主語になっています。つまり、「締め切り」君が勝手にやってくる、勝手にやってくるのだからだれにも止められない、だれのせいでもない … というニュアンスを伝えることができます。


文法的には、 ( 1 ) は「形式主語」、( 2 ) は「無生物主語」と言っています。学校の英語の時間にはそれほど脚光を浴びなかったこれらの用法を、実はネイティブは多用します。その理由の 1 つは、先に述べた通り、だれかのせいにするのを避ける ≒ 自分の責任にならないようにするという、英語圏ならではの考え方、文化から来ていると考えられます。


外資系におけるビジネス英語の達人とは、以上のような「形式主語」や「無生物主語」を巧みに使って、事実を正確に伝える一方で、自分に災いが降りかからないように、常に防御をしています。ま、私もまだまだ中級者とはいえないレベルですので偉そうには言えませんが、それでも、人格の主語をできるだけ使わないにしようと心がけているおかげで、以前よりも仕事がスムーズに進むようになったように思います。是非みなさんもお試しあれ !


さて、次回のコラムでは、「 ( 欠陥 2 ) 否定文 ( not ) を使わない」についてお話しましょう。実は、このポイントの巧拙が、外資で評価されるかどうかを左右すると言っても過言ではありません。次回も必見 ! お楽しみに …

 

( 次回続く )

【編集部より】 タカシさんの著書 『外資流!「タカシの外資系物語」』 の第2章は、ビジネス英語に関する話題にフォーカスされており、ダイジョブユーザーの皆さまに役立つ内容満載です。

▼ 「外資流 !」第 2 章収録コラムタイトル

「ビジネス英語と発音の意外な関係」 
「自分の英語力をさらけ出す」 
「ビジネスで英語が必要な場面」 
「学校英語と実用英語の大きなギャップ」 
「タカシ流 使える ! 英語表現集」 
「eメールのスマート英語」 
「TOEIC英語 "それなり" 得点取得術」 
「英語はビジネスに向いている ? 」


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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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