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タカシの外資系物語

世界史と外資系 … 履修単位不足問題に思う2006.11.14

“小ピピン”で終わった「世界史」

こ 1 ヶ月ほど、高校における、いわゆる「履修単位不足問題」が話題になっています。マスコミでも大々的に報じられていますから、詳細の説明は避けますが、要は、地理・歴史などの社会科科目を受講せずに、受験に必要な英語や数学に振り替えてしまった結果、高校卒業を満たす単位が取得できなくなってしまった ・・・ とのこと。全くもって、お粗末な話です。


「受験に必要ない科目を勉強したくない ・・・ 」という気持ちは、わからんでもありません。しかし、大学を受験するには、高校卒業という「資格」が前提となるわけで、受験に必要だろうがなかろうが、まずは高校を卒業しなければ話になりません。学校は生徒に謝罪して、生徒はそれを受け入れて、卒業までに頑張って単位を取得するというのが当然の成り行きでしょう。


さて、私の場合はどうだったか ? 大学受験に関しては、私は国公立大学しか受験しなかったので、社会科は当時の共通一次試験 ( なつかしー ) でしか必要ありませんでした。私の高校では、 1 年時に「現代社会」 ( これも、なつかしー ) 、 2 年時に「世界史」、 3 年時に「日本史」か「地理」を履修するカリキュラムになっていました。進学校ではなかったせいか、大学受験を希望する生徒も、 2 年が終わる頃までは遊びほうけているような学校だったので、受験科目としては「日本史」を選択する生徒が多かったように思います。かく言う私も、共通一時試験は日本史で受験しました。


しかし今になってみると、どうして高校時代に社会科を真剣に勉強しなかったのかと後悔しています。特に、「世界史」 ・・・ 私の頃は必修ではなかったのですが、一応、高校 2 年のときに履修したように記憶しています。でも、何も思い出せない ・・・ (T-T) なんか、“大ピピン”とか“小ピピン”とか出てきたあたりで、時間切れで終わってしまったような記憶が ・・・ あーー、情けない・・・(T-T)

国際的な視野を身につける

では、なぜ「世界史」を学ばなければならないか ? なぜ、必修科目に指定されているのか ? 識者を含め多くの人は、その理由を、「国際的な視野を身につけるため」と言います。確かに、その点はあるでしょう。私にもこんな経験があります。


これは前職の外資系企業での話。ロンドン・オフィスから出張してきた同僚と食事をする機会がありました。私は何気なく、彼の出身を尋ねました。


同僚 「 Wales ( ウェールズ ) だよ」


私 「 Wales ってのは、England のどのあたりにあるの ? 」


同僚 「何だって ?! Wales と England は全然違うよ !! 」


私は当初、彼がなぜ怒っているのかわかりませんでした。調べてみると、いわゆる「イギリス」というのは、「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」というのが正式名称であり、その中の England と Wales は、別々の国ぐらいの違いがあるということを知りました。そして、それぞれの国には、戦いに明け暮れた暗く悲しい歴史があるわけで、私は何とも無神経な質問をしてしまったわけです。


また、宗教についての理解も重要です。われわれ無宗教の日本人にとっては、「カトリック」であろうが、「プロテスタント」であろうが、同じキリスト教なんだから大差ないだろう ・・・ くらいに考えてしまいがちですが、それは大間違い。この 2 つは明確に違います。歴史的経緯からくる差異を理解せずに話をすると、非常識な人間だと思われるばかりか、相手を深く傷つけてしまうこともあります。宗教については、欧米人も事細かに教えてはくれません ( 常識的なことなので、言うまでもないから ) ので、要注意です。


このように、欧米人、特にヨーロッパ系の人と付き合う上で、「ヨーロッパ史」を理解するというのは非常に重要です。しかし、以上のようなことは、少し気の利いた本でも読めば、短期間に理解可能なことです。高校時代に、多くの時間を使って世界史を勉強する、もっと大きな理由は、実は別のところにあります。そして、それは外資系企業で働く上で、非常に重要なスキルを訓練することにもなるのです。

同時代史的なものの見方

世界史にあって、日本史にないものは何か ? 世界史でしか訓練できないものは何か ? それは、「同時代史的なものの見方」ではないでしょうか。


世界史では、同じ時代に、同時並行的に起こっている複数のことを整理・理解する必要があります。例えば、「十字軍の遠征」は、ヨーロッパや西アジアに多大な影響を及ぼしました。イギリスで起こった産業革命の知識を持った人々がアメリカに移住し、豊富な天然資源を活用したからこそ、アメリカは発展したわけです。このように、世界史では、その時代にヨーロッパで起こっていること、アジアやアメリカで起こっていることを、ざっくりと整理して理解できる能力が養われます。


一方、日本史が対象とするのは、日本という閉じた世界における、非常に細かい内容です。日本史においても同時代史的な要素はありますが、当然のことながら、世界史のようなダイナミックさには欠けます。


この同時代史的なものの見方は、仕事をする上で非常に重要です。ビジネス社会で評価されるには、自分の仕事をこなすだけではなく、いかに他の人がやっている仕事と整合性をとるか、他の人に配慮して仕事ができるか、ということが非常に重要です。日本の「鎖国」のような仕事のやり方ではいけないわけです。


日系企業においては、ビジネスにおける同時代史的な観点を持った役割として、企画部門があげられます。企画部門がある程度の整合性をとってくれるので、日系企業では、日本史的な仕事の進め方でも問題ないかもしれません。しかし、私が経験した中では外資系企業には、企画部門などありません。各部門のマネージャーは、常に他の部門の仕事に気を配りながら、会社として最大のパフォーマンスが出るように仕事を進める必要があります。


私は、このようなものの見方を訓練するには、世界史の学習が一番適しているのではないかと思っています。実際に私の周りを見渡しても、日本史よりも世界史で受験した人の方が、物事の大局観を意識できる人が多いように思います。そういう意味では、社会科の中でも世界史を必修にしているということについては、それなりの意義があるのではないでしょうかね。


最後に、大学受験を控えた生徒諸君 ! ま、受験は受験で大変だとは思いますが、勉強をして損をするような科目はありません。「受験科目にないから勉強しない ・・・ 」なんて言っていると、大物になれませんよ ! 心に余裕を持って、ラストスパート、頑張ってください。応援しています。


20年前の受験生より

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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