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タカシの外資系物語

外資におけるダイバーシティ (その 2 )2006.10.16

「 GLBT 」 って、何 ?

前回に引き続き、外資におけるダイバーシティ ( Diversity ) の話をしましょう。ダイバーシティとは、「多様性」と訳され、人種・肌の色・性別・宗教など、人それぞれが持つ属性を尊重し合うことです。特に外資系では、優れた人材を集めるために、ダイバーシティを認め合う活動に積極的であるということは、前回お話した通りです。


最近、新たなダイバーシティの概念が出てきました。それは、「 GLBT 」というもの。さて、 GLBT とは一体何なのでしょうか ?


・G = Gay ゲイ 

・L = Lesbian レズビアン 

・B = Bisexual バイセクシャル ( 両性愛 ) 

・T = Transgender トランスジェンダー ( 性同一性障害: 肉体的な性別と精神的な性別が異なる )

GLBT とは、以上のような性的なマイノリティを指します ( LGBTという場合もある )。


「こ、これは … ( 汗っ … )」 読者のみなさんも、少したじろいだのではないでしょうか ? 正直に言うと、私も当初はうろたえました。人種・肌の色・性別・宗教などのダイバーシティに比べ、日本人にとってはあまりにも馴染みのない、とっつきにくいテーマであることに間違いはありません。

タカシ、危機一髪 !?

かなり前のこと ( 10 年ぐらい前 ) になりますが、こんなことがありました。私は、ある金融機関の会計システム構築のプロジェクトに、スタッフとして関与していました ( IT コンサルタントとしては、まだまだ駆け出しの頃です )。この案件、非常に専門的な会計の知識を要するものですから、当時のプロジェクト・マネージャー ( PM ) が、知り合いの専門家にサポートをお願いしたのです。


PM 「みんな、よく聞いてくれるかな。来週から、私の長年の知り合いである A さんに、プロジェクトに参画してもらうことになりました」


A さん 「よろしくお願いしまーーす ! ( ^-^ )」


大丈夫か、こいつ … なんか、異様にナヨナヨした感じなんだけど …


PM 「 A さんは、経験豊富な “ホ” として、数々の会計プロジェクトに関与されてきました。みなさんも、このプロジェクトを通じて、 A さんから “スキル” を盗むように ! 」


… “ホ” ? “ホ” って、何やねん ・・・ ホ、ホ、ホ ? まさか、「ホ○」 ? なんですとーーーーーーーーーーーーーーーーーっ !


PM 「あ、そうそう。プロジェクトに関してわからないことがあったら … そうだな、タカシに何でも聞いてください。こいつ、見た目はこわいけど、いいやつですから、きっと気に入ると思いますよ ! 」


A さん 「はい、わかりました ! タカシさーーん、よろしくーーっ ! ( ^-^ )」


えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ ! ( T-T ) 


この話の種明かしをすると、実は “ホ” というのは「会計士補 ( 注 ) 」のことでして、「ホ○」のことではありません。何のことはない、 A さんは正真正銘の会計のプロだったわけです。( 注:会計士の 2 次試験を合格した人を「会計士補」といいます。その後、実務経験を積んで、 3 次試験を合格した人が「公認会計士」となります … ) “ホ” というのは、会計士補の業界スラングだったわけです。それにしても、ややこしいスラング使うなよ、って感じですが …


この話からわかることは、日本においては、全くもって GLBT が認知されていないということ。 A さんは前評判通り、会計士補として素晴らしいスキルを持っていて、プロジェクトに大きく貢献してくれました。しかし、仮に A さんが本当に「G」だったとしたらどうでしょう。私をはじめ、多くの日本人スタッフは、彼を色眼鏡で見て、彼のスキルを活かすどころか、満足なコミュニケーションすら取ることができていなかったように思います。

偉大な「ビッグ・ママ」

では、アメリカでは GLBT に対して、どのような対応をとっているのでしょうか ? 実は、アメリカにおいても、 GLBT に対して全く偏見なく対応できているわけではありません。しかし、日本とは決定的に異なる部分があるため、 GLBT の人が融和しやすい環境が整っています。


これも私の経験ですが、今年の春に、会社のアワード ( ご褒美 ) で、とあるリゾート地に招待されたことがあります。(『超ビッグなご褒美 ! 外資の Award Party』 参照 )


それは、社員本人とその「 Guest 」をカップルで招待してくれるという、非常に太っ腹な企画だったのですが、実は「 Guest 」については、明確な規定がなかったのです。通常は夫婦が一般的なのですが、独身の場合は、親でも兄弟でも親戚でも友達でもいいということ。つまり、男同士でも、女同士でもいいということです。


日本人の感覚では、「女同士の友達はアリだけど、男同士っちゅうのはどうだろう … 」と思われるかもしれません。私もそう思いました。しかし、実際には、女同士のカップルで来ている人は一組もおらず、それに対して、男同士のカップルが数組いたのです ( 全員アメリカ人でしたが ) 。


私と家内が参加したヨット・クルーズにも一組の「男同士カップル」がいて、彼らは非常に仲むつまじく、「いい感じ」でクルーズを楽しんでいました。彼らがそれほどの違和感がなく、われわれ夫婦のカップル達にとけこんでいた理由はなぜか ? それは、彼らの素振りとそれに対する周囲の容認があったように思います。


彼らは、自分たちが「G」であることを、周りに隠していませんでした。 2 人とも 2m 近くある大男でしたが、その一方の彼は、自分のことを「ビッグ・ママ」と言っていました。周囲のみんなも、彼らのことを、「ビッグ・ママ、ビッグ・ダディ」と呼び、楽しく会話していました。私と家内ですら、彼らを「 G 」と認めた上で、いくつか会話を楽しんだぐらいですから、いかに自然な雰囲気であったかかがわかると思います。話してみると、その「ビッグ・ママ」、本社の開発部門のエースで、この 1 年で会社にとって重要な特許を 10 件以上申請したというから、これまたビックリです !


日本においては、企業におけるダイバーシティの取り組みそのものが、まだ始まったばかりです。その上、 GLBT などの新しい概念が加わってくると、現場は混乱するばかり。しかし、ダイバーシティの本質は、「お互いを認める」ということにあります。 GLBT だって、それを隠していては、周囲が認めたくても認めようがありません。もちろん、周囲も GLBT を好奇や偏見の目で見るのではなくて、企業や社会に属する「 1 人の同士」として温かく迎えてやることが必要なのは言うまでもありません。


その第一歩として、「ビッグ・ママ」とわれわれのような関係は、大きな示唆となるように思います。本人も自分をさらけ出し、周囲と楽しく語り合って、笑い合えること。日本社会においては、まだまだクリアしなければならないハードルがたくさん存在しますが、「ビッグ・ママ」のような優れた才能を殺さないために、そして、みんなが安心して働けるように、ダイバーシティに対する取り組みを積極化しなければならない時期に来ているように思います。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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