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タカシの外資系物語

外国人が喜ぶ場所とは ?2006.09.26

寿司よりニンジャ ?

外資系企業に勤めていると、本社からやって来た外国人の「えらいさん」を接待しなければならないことがあります。特に、日本に来るのが初めてという外国人に対しては、どこに連れて行くかによって、幹事としての「センス」が問われますので、結構気を遣ったりします。


食事としての定番は、寿司か天ぷらでしょう。少なくとも、日本人はそう思っています。しかし、実際はどうでしょうか ? 先日も、アメリカの本社から来た役員を接待するのに、寿司屋を予約しようとしていると、その役員はどうも浮かない顔。「どうしたの ? 」と尋ねると、「寿司はアメリカにもあるので、食べ飽きた ! 」とのこと。にゃんとも、贅沢なやつ !


「What do you wanna ... eat? ( じゃ、何が食いたいんじゃい ? )」


「What do you want me to eat? ( お前は私に何を食べさせたいんだ? )」


だから、 Japanese 寿司やと言うとろーーがーー ! それを、あんたが断ったんやろーーがーー ! !


いや、待てよ。もしかしたら、このおっさん。理不尽なことを言いつつも、私のセンスを試しているのかもしれん。出世のためには、こういうことの積み重ねが重要という説もあり ( んな、アホな ・・・ )。私は再度インターネットのグルメ系 HP を探してみることにしました。


「よーーし、これにしよう ! 」


私が連れて行ったのは、都内某所にある「忍者居酒屋」というところ。店員がみんな忍者の格好をしていて、店の作りも忍者屋敷のようです。メニューは他の居酒屋と大差はないのですが、ドライアイスで煙を出したり、サイコロステーキの鉄板にチャッカマンで火を付けたり。それを、「忍法ナンチャラカンチャラー ! 」とか叫びながら、さも真剣にやってくれるので、アメリカ人の役員も大喜びでした。


「 Great! Great NINJA show! 」


演出自体は子供だましなのですが、「忍者」「忍法」「武家屋敷」などのキーワードが、彼の琴線に触れたのでしょう。この役員、ディズニーランドが大好きだと言っていたので、ノリ的にはそれに近いものにしたのが良かったのかもしれません。まんまと成功。こっちも、寿司屋に比べれば半分ぐらいの値段で済みましたから、コスト的にも大成功 ! ま、個人的には、接待にかこつけて、たまには高級寿司を食べたかったところではありますがね ・・・ ( T-T )。

決死の花見 !

また、こんなこともありました。あれは、今年の 4 月ごろでしょうか。マレーシアにいるわが社のソフトウェア開発部隊 ( 男 3 人、女 2 人で全員マレーシア人 ) が日本にやってきたときのこと。日本の役員向けのプレゼンが終わったので、どこかに連れて行ってやろうということになりました。


「そろそろサクラの花も満開だから、花見でも行くか。花見といえば、上野公園だろーな ・・・ 」


私は、リーダー格の男性に花見に行かないかと話しました。


私 「Tonight, we plan to go to HANAMI. Japanese cherry blossom is very beautiful, now. You go together? OK?」


すると、リーダーの顔がみるみる険しくなっていきました。


リーダー 「ちょ、ちょっと待ってくれ ・・・ みんなと相談してくる ・・・ 」


そのリーダーは、メンバーのみんなと、何やら神妙な顔つきで話しています。「なんか、悪いこと言ったかな ? 宗教的な理由でもあるのかな ・・・ 」と、私が心配していると、リーダーがやってきて一言。


リーダー 「俺たちは、歌を歌ったり、ダンスを踊ったりできないが、それでもいいか ? 」


私 「は、はぁ ? 」


話を聞いてみると、彼らはホテルの日本案内かなんかで、日本の花見が紹介されている映像を見たようです。そこには、ネクタイを頭に巻いた日本のサラリーマン連中が、飲めや歌えの大騒ぎをしている映像があったらしく、それを見て、自分たちにはあんな「かくし芸」を披露することはできないと感じたようです。「ハッハッハ、そんなこと心配しなくてもいいよ。サクラを見ながら、一杯やるだけだから、きっと楽しいよ ! 」


・・・ ば、場所がない。上野公園の花見って、こんなに混雑するもんだとは ・・・ ( T-T ) ・・・ 何とか上野公園に到着したものの、あたりはまるで通勤ラッシュのような様相を呈しています。それに加えて、寒い!真冬並みの花冷えです。私が連れてきたマレーシア人たちの唇も紫に変色しかかっています。「こ、このままでは死人が出る。何とかしなければ ! 」


私 「今日は、ちょっと日が悪かったみたい。いつもなら、もっと Exciting なんだけど、ハハハ ( 力のない笑い ) ・・・ どっか、行きたいとこない ? お詫びに、どこでも連れて行ってあげるからさ ・・・ ( T-T ) 」


メンバーの 1 人 「100 Yen Shop ・・・ 」


私 「はぁ ? 100 円ショップ ? 」


彼らが日本で一番行きたかったのは、なんと「 100 円ショップ」だったようです。彼らが持っている日本観光用のガイドブックには、 100 円ショップについて、こう書いてありました。「日本に行ったら、必ず立ち寄るべきところ。ただし、外国人観光客は足を踏み入れないエリアに存在するので、日本人を同伴して行くのがベター ・・・ 」 そんなことなら、早く言ってくれればいいのにぃーー( T-T ) 私は彼らをタクシーに押し込んで、秋葉原にある大規模な 100 円ショップに急行しました。


「Thank you, Takashi! Very wonderful place!」


100 円ショップでこんなに喜んでもらえるとは ・・・ それにしても、花見の悪夢をチャラにすることができて、よかった、よかった ・・・ ホッ !

多様な外国人を受け入れる、多様な日本

日本に来たら、寿司に天ぷら。サクラの季節なら、花見にでも連れて行け ・・・ そんな通説が、崩れ始めています。上で述べた「忍者ショー」のように、日本の伝統文化においても、アメリカ風のエンターテイメント的な要素が入り込んできています。また、日本に来て真っ先に行くべきところとして紹介されているのが 100 円ショップだなんて、だれが想像できるでしょうか。


10 年ほど前までは、日本に観光や出張でやってくる外国人は、先進国のエリートビジネスマンか、金持ちの観光客がその大半でした。彼らの多くは、日本に来れば寿司を食べて、浅草にでも観光に行って、それで日本を知った気になって、本国に帰っていきました。しかしこの 10 年で、状況は一変したのです。日本を訪れる外国人の質は多様化し、従来のように寿司や天ぷらを好む人もいれば、忍者ショーを観たい人もいる。また、 100 円ショップに行きたい人もいるようになったわけです。本当に、隔世の感がありますね。


この波は、ビジネスの世界にも確実に訪れています。日本社会そのものが外国人の多様性に対して敏感に反応し始めたのと時を同じくして、日本のビジネス社会にも外資系企業がしっかりと根付いてきたように思います。外資が日本社会や文化のディープな部分にまで入り込んでくるのに対して、日本側もそれを拒否せずに、彼らの多様性を認める必要があります。それが実現できたら、日系・外資系の区別なんて、もはやなくなってしまうのかもしれません。次回は是非、アメリカ本社の役員に忍者の格好をさせて「ニンニン ! 」と言わせ、マレーシア人のリーダーの頭にネクタイを巻いて一曲歌わせたいと思っている今日この頃です。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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