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タカシの外資系物語

「目標」となる人物とは ?2006.09.19

H 部長と H パートナー

みなさんの職場には、自分が目標にできるような人物がいますか ? 「私は課長を目標に頑張っています」 「目標 ? そんなやつ、いねぇよ ・・・ みんな、バカばっか ・・・ 」ま、いろんなケースがあるかと思います。


私の場合はどうでしょうか。実はこのコラムでも、これまで何回か、職場の上司を題材にしたことがあります。中でも、銀行員時代の H 部長 ( 『 H 部長との思い出』参照) や、前職コンサル会社の H パートナー (『降格人事ヲ命ズ』参照) などは、思い出深い上司だといえます。


もちろん、 H 部長と H パートナー以外にも、私は多くの上司に仕えてきました。しかし、冒頭で述べた「目標にできる人物か否か ? 」という視点で考えると、この 2 人以外の人物は浮かんできません。それは、この 2 人には、他の上司とは異なる決定的な違いがあったからです。


H 部長は、私が大学を卒業して初めて就職した日系銀行の部長さんでした。私は最初、システム部に配属になったのですが、 H 部長はその部署の 2 人目の部長です。 H 部長が私にしてくれたこと ( 教えてくれたこと ) を簡単にまとめると、以下の通りとなります。


○海外赴任を阻止された ・・・ システム部時代、私に海外赴任の話があったのですが、 H 部長に阻止されました。当初は、「何すんねん、このオッサン ! 」と思ったのですが、 H 部長いわく、「システム部だけのキャリアで海外なんかに行ったら、システム部門の便利屋さんで終わってしまう。あなたは銀行員なんだから、もう少しキャリアを積んでから行ったほうがいい」とのこと。今思えば、あのとき無理に海外に行かずによかったと思っています。


○転職を勧められた ・・・ 銀行が潰れかけたときに、転職を勧められました。 H 部長いわく「あなたには将来があるんだから、他のフィールドで頑張りなさい」とのこと。今思うと、あのとき H 部長の勧めに乗っていなかったら、今でも銀行でグズグズとくすぶっていたように思います。


私が銀行を退職後、 H 部長は粉飾決算の疑いがかけられ、逮捕されてしまいました ( 結果的には無罪でしたが ) 。そして一昨年、 53 歳の若さでこの世を去ったのは、コラムでも述べたところです。

目標とする上司の「共通点」

一方、 H パートナーは私に何をしてくれたのでしょう。実は、彼は私を「降格処分」にしました。もちろん、降格にするにはそれなりの理由があったわけで、私もそれに納得したから降格に応じたわけですけど。しかし、そもそも私自身が H パートナーを尊敬し、目標にするような存在でなければ、そんな話は成り立っていないと思います。


では、 H 部長と H パートナーの共通点とは何か ? それは、自分の部下 ( = 私 ) のキャリアに関して、親身になって首を突っ込んでくれたことにあります。「上司なんだから、部下を評価するのは当然だろ ! 」と思われるかもしれません。しかし、「部下の評価」と「部下のキャリアに真剣に首を突っ込む」というのは、実は全く異なります。


H 部長のように、黙っていれば海外赴任が決まる部下に向かって、「行くな ! 」と言って止めるのは勇気のいることです。また、「あなたは未来があるのだから、転職しろ ! 」などとは、なかなか言えるものではありません。 Hパートナーも同様に、昇進が早すぎる私が「天狗」になることを危惧して、私を降格させました。もしかしたら、私がそのことを理由に、会社を辞めてしまうかもしれないというリスクを冒してまで、彼は信念を持って、私に賭けてくれたのです。


日系であれ、外資系であれ、「企業」という組織体で仕事をする以上、「上司」「部下」という上下関係は、必ず存在します。私は、この「上司」「部下」という役割は、そもそもかなり異なるものだと思っています。部下の仕事は、「与えられた仕事を、いかに早く、うまく、安くやるか」ということ。上司の仕事は、「部下にとって、働きやすい職場を作ってやること」「全く新しい仕事を生み出すこと」、そして「部下を育てること」だと思います。


そして、「上司」「部下」の決定的な違いは、部下の仕事は独学でうまくなることができるが、上司の仕事は、優秀な上司につかなければ体得できないということでしょう。自分の仕事を早く、うまく、安くやるための仕事術は、ノウハウ本を読んだり、自分の心がけ次第で何とでもなるものです。しかし、上司の仕事術はノウハウ本には書いていません。書店に行けば、マネジメント関連の本が売っていますが、あんなものを読んだところで、部下がいきなり上司になれるわけではありません。企業が必要とし、部下から尊敬される上司になるためには、優秀な上司に

目標となる人がいないとき

私は、日系企業においてH部長、外資系企業において H パートナーという具合に、自分が目標とすべき上司に巡り合うことができました。しかし、これはかなりラッキーなことだと思っていまして、特に外資系企業においては、 H パートナーのような上司に巡り合うのは難しいように思います。


その理由は、外資系企業の上司というのは短期的な評価を気にするあまり、長期的に部下を育成しようという意識が乏しい傾向があるからです。外資の多くは、中途採用のプロフェッショナルを多数採用していますから、そもそも「育てる」という意識がありません。また、上司である自分でさえ、評価が悪ければ、いつ自らもポジションを追われるかわかりません。こんな状態ですから、 H パートナーのように、人間的に尊敬でき、目標とするような人物に巡り合うことは少ないというわけです。


さて、このような状況におかれた場合、どのような意識で仕事をすればいいのでしょう。目標が見つからないから、職場を変えた方がいいのでしょうか。


まず、「目標がない、見つからないから仕事を変える ・・・ 」というのでは、あまりに短絡的だと思いませんか。「目標」というのは達成するため、そこにたどり着くために存在するのであって、遠くから眺めているような代物ではありません。つまり、目標が存在しないような環境にいるときこそ、自分が目標となるように努力すればいいのです。私が外資系企業で巡り合った、いわゆる「スゴイ人」というのは、自らが目標となることによって、組織そのものを底上げしてきた人たちばかりです。


自分の職場に、目標になる人がいるなら、その人のマネをしてみましょう。そして、目標となる人がいないなら ・・・ 自分自身が目標となるべく、部下や同僚の引き上げを図ってみましょう。ま、なかなかできることでありませんが、私にとっては、それが H 部長や H パートナーへの恩返しだと思っています。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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