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タカシの外資系物語

コーチングを受けよう ! ( その 2 )2006.08.22

8 つの心配事

( 前回の続き ) セールス・トレーニングの一環として、外部の専門コンサルタントによるコーチング・セッションを受けることになったタカシ。当初は、あまりにも馴れ馴れしい態度のコーチに戸惑っていたのですが、徐々にコーチの術中にはまっていったのでした ・・・


コーチのユリコさん 「円を 8 等分して、それぞれに、今自分が心配に思っていることを書き込んでみようか ? 最初は何かな ? 」


タカシ 「( そのタメ口だけはなんとかならんのか ・・・ ) そうですね、まずはやっぱり、自分の部下のことが心配ですね。夜遅くまで無理してないかな、とか、今の仕事にやりがい感じてくれてるかな、とか ・・・ 」


ユリコさん 「次は ? 」


・・・以上のように、私は 8 等分した円の中に、自分の心配事を順番に書き込んでいきました。ちなみに、私が心配事に挙げた 8 つとは、次の通りです。


・部下との関係

・実績の確保

・キャリア

・家族のこと

・田舎の両親のこと

・健康のこと

・お金のこと

・マンションの管理組合 (※) のこと ( ※エレベーターに犬を乗せるな、とかいう住人がいて、結構もめてるんですよね、これが ・・・ )


このように見てみると、自分が挙げた心配事の順番というのは、必ずしも自分が大事にしている順番とは一致しないことがわかります。心配事の順番は、「仕事」「家族」「自分」となっていますが、自分が大事にしている順番は、間違いなく「家族」「仕事」「自分」です。


心配事の一番目に「仕事」が来る理由は、自分ではどうすることもできない要素が強いからではないかと思います。「家族」は自分にとって一番身近な存在であるだけに、いざとなれば自分の力で何とかできると考えるため、心配事としての優先順位は低いのかもしれません。


ふーーん、なるほどね ・・・ 普段、自分の心配事などじっくりと考えたことなどなかったものですから、こうして書き出してみると、いろいろな発見があるものです。


ユリコさん 「さぁ、できたわね。そこに書き出した 8 つ、これがタカシの心の中身なのよ ! 」


タカシ 「は、はぁ ・・・ ( だから、 38 のおっさんつかまえて、呼び捨てにすんなって ! )」


ユリコさん 「じゃ次は、その心配事それぞれを、どのように解決していくのか、聞かせてもらおうかしら !

解決策を話せ !

「えーーーっ ! やだーーーーーっ ! 」 私は思わず口に出してしまいそうになりました。え ? どうして話すのがイヤなのかって ? だって、解決法があるくらいなら、すでに解決しているわけでして。これといった解決法がないから、心配事になっているんですから、それを話せと言われても困るわけです。あと、コーチのユリコさんに話したところで、私の仕事を助けてくれるわけでもないわけで、あまり意味がないように思えたのです。


タカシ 「 ・・・ 」


ユリコさん 「どうしたの ? 」


タカシ 「いや、解決法と言われても、そんな簡単に解決できる内容じゃないんですけど ・・・ 」


ユリコさん 「ふーーーん。」


タカシ 「( ふーーん、って、アンタ ! ) そりゃ、私だって努力してるつもりなんですよ、これでも。部下の気持ちを知るために、月に 1 回は面談を持つようにしてるし、それなりに成果は出てきたと思ってるんですけどね ・・・ 」


ユリコさん 「へぇーーー。で ? 」


タカシ 「( で ? 、って、これ以上話すことないわーー ! ) それでも、最近の若い人たちの考え方って、どうもついていけないところがあって ・・・ 自分のキャリア形成に役立たないことには一切興味がないっていうか、会社のために自分が犠牲になろうっていう精神に欠ける、っちゅうか ・・・ 私が若かった頃は、そうやって仕事を覚えていったんですけどね」


ユリコ 「お ! なんか力強くなってきたわね、それから ? 」


タカシ 「ま、『昔はよかった』的な話ばかりすると、彼らとの溝が深まるばかりですからね。できるだけ、彼らの考えていることを理解しようと努めてるわけですよ ・・・ 」


ユリコ 「なるほどねーーー ! 」

 

「最強のコーチ」は身近にいた !

私は 8 つの心配事それぞれについて、自分の思うところをダラダラと話しました。それは理路整然としているわけでは全くなく、世間話のようにダラダラと話したのです。


ユリコさん 「はい、じゃ、今日のところはこれぐらいにしておこうか」


なんですとーーーーーーーーーー ! あんた、「ふーーん」「へぇーー」「なるほどねーー」しか、言うとらんやないかぁーーーっ。


タカシ 「え ? これで終わり ? 」


ユリコさん 「これで終わりよ。何か ? 」


タカシ 「い、いや ・・・ 別にないっす ・・・ ( わしゃ、先生に叱られてる中学生か ! )」


ユリコさん 「気分はどう ? 」


気分 ? 気分ねぇ ・・・ 馴れ馴れしい態度とられてムカついたわりには、不思議なことに、気分はそれほど悪くありません。


タカシ 「それなりに爽快っす ・・・ 」


ユリコさん 「それなりぃー ? 」


タカシ 「いや、かなり爽快っす ! 」


後日、私と同じようにコーチングを受けた同僚に聞いてみたのですが、みんな同じような感想を持っていました。「それなりに、気分は爽快になった」と。なぜか ? それは、自分の思っていることを、何の外圧もなく、自由に話すことができたからです。お客様に気を遣うわけでもなく、上司に気を遣うわけでもなく、思うがままに話す ・・・ だから気分が良くなったのです。


コーチングというのは、何かをアドバイスしたり、教えてやることではなく、相手に強い動機付けを与えることを目的としています。心配事やトラブルを解決するのはコーチではなく、結局は当事者自身なのです。当事者の意識を目覚めさせて、全てを語らせ、解決に着手させる。コーチはその手助けの一端を担っているにすぎないのです。


「でも、ちょっと待てよ ・・・ 」私はコーチの役割を認識したものの、どうも腑に落ちない部分があるのです。「こんなもん、高いお金払ってお願いするようなことなのか ・・・ 」 よく考えてみると、私はこれと同じような感覚を、ほぼ毎日得ています。それは、妻との会話です。「お疲れ様。今日は何か変わったことあった ? 」 「別に何もないよ ・・・ あ、そうそう、うちのチームの○○くんがさ、こんなこと言うんだぜ ・・・ 」 妻との何気ない会話の中で、私は自分の言いたいことを言って、気分を爽快にさせています。


コーチングがアメリカで流行した理由は、ここにあるのかもしれません。つまりアメリカでは、夫婦が自分の思っていることをお互いに話せなくなっているのです。アメリカ人の典型としての、良き夫、良き妻を「演じよう」とするばかりに、本当の自分をさらけ出せずにいるのです。だから、欲求不満がたまって、多くのカップルが離婚してしまうわけです。


コーチングの真髄とは、「自分の思っていることを話すこと。ありのままの自分を、さらけ出すこと」 そして、最良のコーチは、妻であり、夫であるということ。それを理解していれば、高いお金を出して、コーチなど雇わなくても済むような気がします。


タカシ 「ただいまー。ふーーっ、今日は暑かったねーー」


妻トモミ 「お疲れさまーー。何か変わったこと、あった ? 」


私にとっての「最強のコーチ」の登場です。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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