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タカシの外資系物語

外資系社員の健康管理 ( その 2 )2006.07.11

プレゼンの前日

( 前回の続き)今回は、外資系社員の「健康」に関する考え方についてお話ししたいと思います。


「あーあ、もう 8 時か … 明日は大事なプレゼンの日なのに、他の仕事に追われて、ほとんど準備ができていないよ、トホホ … (T-T)」


こんな状況に置かれたら、みなさんなら次の ( A ) と ( B ) のどちらを選択しますか ?

 

( A ) 徹夜覚悟で準備をする。その代わり、プレゼンのときは体調ボロボロ。倒れそうになりながら、気合で乗り切る


( B ) プレゼンのときの体調を最優先し、今日は無理をしない。準備不足もいた仕方なし


私を含め、大半の日本人は ( A ) を選択すると思います。仕事というものは、「自分の身を削ってでもやり遂げる」ことが重要だという考えがあるからです。


しかし、外資系企業に勤める外国人を見ていると、このような考え方に当てはまらない場合があります。


私 「Jacob、明日のプレゼンどうするよ … ほとんど準備できてないぜ ! 」


Jacob 「そうだな。でも、今日はこのぐらいで切り上げよう。明日のプレゼン、未完成の部分は口頭で対応すればいいじゃないか。なーに、大丈夫だよ ! 」


こんな感じで、日本人からしてみれば、かなり中途半端な資料でプレゼンに臨むことがあります。「おいおい、そんなんで大丈夫かよ。明日どうなっても知らないからな … 」という、こっちの心配も何のその。このような場合に、彼らが 10 時以降残業するところなど見たことがありません。


外資系に勤める外国人社員にとってプロフェッショナルとは、「無理に仕事をして体調を壊すよりも、体調万全の状態で物事にあたる」ことだという考えが根底にあります。もちろん、仕事も体調も万全な状態であることにこしたことはありません。しかし、これ以上無理をしたら体調に影響を与える状況では、彼らは迷うことなく健康の方を優先します。果たして、どっちがいいのでしょうか ?

仕事か ? 健康か ?

私が外資系企業で働いた経験によると、どうも軍配は「( B ) = 無理をせず、健康第一で考える」に上がるような気がします。結果として、( A ) ( B ) 両方のタイプとも、プレゼンとしての「質」はそれほど変わらないことが多いように思います。


その最大の理由は、( A ) タイプの残作業のほとんどは、文書化作業にすぎないからなのだと思います。とかく、日本人はプレゼンで言いたいことを全て網羅的に記述しようとします。そうすることによって、気が楽になるのはわかりますが、それにしてもパワーポイントにびっしり文字が詰まっている資料を見るにつけ、「徹夜までして、ここまで頑張る必要があったんだろうか … 」という印象を受けることも少なくありません。


一方、外資系企業の典型的なプレゼンは、キーポイント ( メインで言いたいこと ) だけを羅列して、詳細は口頭で説明することで対応します。また、プレゼンしているその場で内容を書き加えていくようなケースも、よく見られます。こちらの考えを押し付けるイメージの ( A ) と比べると、柔軟に対応できる分だけ、かえってお客様の評価が高かったりもします。


プレゼンの準備を例にとりましたが、私がここで言いたいのは次の 2 点です。


( 1 ) プロであれば、すべてを事前に、かつ完璧に準備しなくても対応できる 
( 2 ) ( ( 1 ) を前提として、) 最も重要である局面で最善の対応ができるよう、常に体調を万全にしておく


最も重要である局面とは、お客様との接触であったり、社内で役員に対する説明であったりと様々なケースが考えられます。いずれにしても、外資系企業で働く外国人に言わせれば、優先順位の低い作業のために過度に働いて、肝心なときに体調を壊すなんて、プロのやることではない、ということになります。

プロだからこそ健康第一

彼らの健康管理は「残業を控える」ということだけではありません。最も重要な局面で、最大限のパフォーマンスを出せるよう、ジムに通ったりして、積極的に体力作りをしています。年末年始などには、飲み会が連日連夜にならないように、お客様にお断りする「勇気」も持っています。


外資系企業に転職した当初の私は、「仕事の準備も完璧にやるし、お客様との飲み会も全て参加してみせる。なーに、そんなもの、気合 1 つで何とでもなるさ ! 」と思っていました。実際に、数年間は、そのような「モーレツ社員」のスタイルで働いてみました。しかし、その結果はどうでしょう。前回のコラムでもお話したように、慢性のヘルニアを患って、頻繁な腰痛で仕事に支障をきたしているというのが実際です。無理をして頑張ったことに対する評価など、会社を休んで迷惑をかければ、一瞬にして吹き飛んでしまうのです。


これはかなり昔のことになりますが、巨人の江川卓投手がまだ現役バリバリだった頃。彼は自分の真正面に飛んできた強烈なライナー性の当たりに対して、捕ってアウトにするどころか、よけてヒットにしてしまったことがあります。当時、この行為に対して、「江川はやる気があるのか、けしからん ! 」という意見が大勢を占める中、彼はこのように言いました。「あのライナーを捕りにいって、もし私が怪我をしたら大変なことになる。たかが 1 アウトのために、数週間出場できないようなリスクを冒すことはできない … 」


私は最近になって、江川投手の言葉が身にしみてわかるようになりました。自分の役割において最大のパフォーマンスを上げるためには、まず健康でいなければならない。健康であり続けるためには、ときには不十分な仕事でも「良し」とする勇気が必要である。プロであれば、その不十分さをカバーすることができるはずだから … ということなのでしょう。私を含め、多くの日本人は、すぐに江川選手や外資系に勤める外国人のような振る舞いはできないかもしれません。しかし、「健康よりも仕事が大事」ではなく、「仕事が大事だからこそ健康でいる」という発想の転換は、学ぶべき点が多いように思います。


「 1・2、1・2 … フーーッ」


私もヘルニアで倒れたのを機に、体力作りのために、毎日運動をすることに決めました。腹筋に、腕立て、ぶら下がり健康機。腹筋など、20 回もやるとフラフラですが、継続は力なり。まずは続けることが重要です。


私 「イタタターーー。そこ、そこに貼って … 」


うちの奥さん 「ハイ、湿布 ! 腹筋のやりすぎで腰を痛めるなんて。ホント、無理しないでよ」


何事も、限度が大事ということで。トホホ … 情けない … (T-T)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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