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タカシの外資系物語

課題管理の方法 ( その 1 )2006.04.11

課題のない会議 ?

仕事をする上で重要なことの 1 つに、「課題管理」があります。そもそも仕事をするということは、目標実現の前に立ちはだかる「障害 = 課題」を解決していくことに他なりませんから、課題管理は仕事の本質と言えるかもしれません。


ここに、あるプロジェクトの定例会議が週 1 回あるとしましょう。この手の定例会議の目的は、プロジェクトの進捗状況を確認するためにありますから、会議の議題も「進捗状況を確認し、課題を共有し、その解決策を検討し ・・・ 」てな感じで進められるのが、典型的な日系企業のパターンでしょう。例えば、こんな感じ。


PM ( プロジェクト・マネージャー ) 「では、定例会議を始めます。まず、 A グループの進捗状況を報告してください」


A グループ担当 「問題なく進捗しています」


PM 「 B グループどうぞ」


B グループ 「予定通りです」


・・・


PM 「プロジェクトは予定通り進捗しているようです。みなさん、明日からもその調子で頑張ってください。では、解散 ! 」


シャンシャン ・・・ と。ま、本当に問題なく進捗しているならそれでいいのですが、こういう報告がされているプロジェクトに限って、いきなりトラブルが噴出して立ち行かなくなってしまうケースがあります。先週まで順調だった ( 少なくとも、順調だと報告されていた ) にもかかわらず、どうしていきなりトラブルが出てしまうのでしょうか ?

課題の種類

急にトラブルが発生する最大の原因は、問題が具体化するまで、課題として認識されなかったことにあります。わかりやすくご説明しましょう。


例えば、「プロジェクトで重要な役割を担っていた A くんが転職して、代わりがいなくなってしまい、スケジュールが遅れている」という問題が発生したとしましょう。すでに A くんは退職していないわけですから、代わりを連れてくるか、または残りの人が A くんの分まで仕事をしない限り、スケジュールはどんどん遅延してしまいます。


しかし、よくよく考えてみると、 A くんは何の前触れもなく転職してしまったとは考えにくいと思います。おそらく、一ヶ月ぐらい前には PM にそのことは告げられていたのでしょうが、 PM は他の仕事が忙しくて、この件について十分な対応ができなかったのかもしれません。


また、もしかしたら、 A くんは退職を決意する前に、何らかの兆候を示していたかもしれません。退職の理由が、現状の職場環境や待遇面での不満のような場合には、「こいつ、近いうちに辞めそうだな ・・・ 」みたいな雰囲気をかもし出していることが多いと思います。


このように考えてみると、「 A くんが退職して代わりがいない」という問題が具体的に発生する前の段階で、いくつかの手段を講じることができたように思われます。これらの「問題」について、外資では以下のように分類しています。


■ Problem ・・・ 実際に起こってしまった問題。すぐに対処しなければ、どんどんトラブルが悪化する。 例 ) 「すでに A くんが退職して代わりがいない」状況


■ Issue ・・・ ある特定時期に Problem が起こることがほぼ確実な問題。 例 ) 「 A くんは一ヵ月後に退職してしまうので、その代わりがいなくなることが、容易に想定できる」状況


■ Risk ・・・ 確実ではないが、放っておくと、近い将来、 Problem や Issue が発生することが想定できるという問題。 例) 「最近の A くんの言動を見ていると、転職を考えているのではないかと思わせる」「現場メンバーのモチベーションが極端に下がってきている」状況


つまり、 Problem が発生するまでには、助走期間としての Issue があり、 Problem や Issue が発生することについては、何らかの Risk という形で把握ができる、ということになります。

課題をいかに認識するか

外資では、次のような基本方針をもって、プロジェクトを管理していきます。


「すべての問題は Issue の段階で解決し、 Problem は絶対出さない。また、 Risk にも常に目を配る ・・・ 」


ということで、外資の進捗管理は Risk と Issue の管理が中心となります。逆にいうと、大きな課題がなく進捗が予定通りであれば、定例会議はスキップ ( 省略、つまり中止 ) されることもしばしばです。ですから、冒頭で述べたような、「予定通りです、シャンシャン ・・・ 」みたいな進捗会議はほとんどありません。


もちろん、外資のプロジェクトだって、 Problem は発生します。 Risk や Issue の管理をしているから、 Problem が大幅に少ないかというと、そういうわけでもないのです。 A くんの転職の例にしても、どんなに管理をしたところで、辞めるときには辞めてしまうものです。


しかし、このやり方が優れているところは、いざ Problem が発生したときに慌てなくてすむということではないかと思います。 Problem 発生に先立って Risk や Issue について検討していますから、事前にそれなりの策が打てているケースが多いのです。 A くんが辞めそうだという Risk がある場合には、メンバーのモチベーションを UP するために、役員を交えて飲み会を開くとか、プロジェクト内での表彰制度を作るとか、長時間勤務が慢性にならないように遅番制度を作るとかが想定できます。また、 A くんが一ヶ月後に辞めるという Issue については、 A くんの代わりができるスタッフを探すのはもちろんのこと、 A くんがいなくてもスケジュールが遅延しないように、あらかじめリスケしておくなどの対応があるでしょう。


また、外資において重要なのは、実際に策が打てたか否かということよりも、策を打つ必要があることを認識し、それを会社に伝えていたか否かということにあります。策が打てるか打てないかは、最終的には会社のマネジメントが判断することです。 PM の役割は、必要な策を告げることにあるという考え方です。


日本企業によくあるのは、「 Risk や Issue を管理したところで、どうせ会社は聞いちゃくれない。だったら、もうダメだというところまで、自力で頑張った方がいい ・・・ 」という、諦めの境地にも似た考えです。こういう考えでいると、スケジュールの遅延などの Problem は、プロジェクトメンバーの残業で吸収することでカバーするようになります。それがたまりにたまって大爆発したときには、会社として対応できなくなってしまうのです。


次回は、 Risk や Issue の具体的な管理方法についてお話します。

 

(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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