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タカシの外資系物語

ググれないもの2006.01.10

みなさん、少し遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。本年も、『タカシの外資系物語』をよろしくお願いいたします! 奈良タカシ

ググる ?

私は今、ある銀行の商品販売戦略を立案するプロジェクトに関与しています。


私 「・・・ じゃ、ユウジはインタビューの議事録をまとめてくれるかな。ヒデキは、と ・・・ 世界の銀行における投資信託販売の実態を調べてくれると助かるんだけど ・・・ 」


ヒデキ 「世界の銀行って、結構大変だな ・・・ タカシさん、どうやって調べましょ ? 」


私 「それを考えるのがお前の仕事だろ ! 」


ヒデキ 「ほんじゃ手始めに、ググりますかね、と。」


私 「え ? ググる、って ・・・ 何じゃそりゃ ? 」


ヒデキ 「知らないんですか ? グーグルで情報を検索することを、ググるっていうんですよ」


グーグル ( Google ) というのは、みなさんもご存知の、インターネット検索エンジンのことです。グーグルを使ったことがない人はほとんどいないと思いますので、詳しい説明は省略しますが、いまや先行するヤフー ( Yahoo ) と肩を並べるほどのシェアを獲得するようになっています。すでに「インターネット検索 = Google検索」と言っても過言ではないわけで、巷では「ググる」なんて言葉が使われているわけです。

インターネットって、何 ?

「インターネットって、一体何ですか ? 」


今を遡ること 10 年ぐらい前、銀行員だった私は、当時の上司である O 課長に、こんな質問をしたことがあります。当時、 O 課長は NY 勤務から東京に戻ったばかり。私は 「 NY 流仕事術」を身に付けるために、 O 課長の一挙手一投足に気を配っていました。


O 課長と私は金利デリバティブのディーリングをしていたのですが、 O 課長は帰宅前の 30 分ぐらいの間、決まって「パソコン通信」 ( ふ、古い ! ) ができる PC を使って、「 Yahoo 」という画面に接続して、何やら調べ物をしていました。


私 「課長、その Yahoo って、何ですか ? 」


O 課長 「インターネットだよ。インターネットを使って、今日のマーケット状況を調べているのさ」


私 「インターネット ? それって、何ですかね ? 」


O 課長 「うーーん。情報の倉庫っていうか、これを使って、ホームページ上のいろんな情報が検索できるんだよ」


私 「情報の倉庫 ? 」


O 課長 「例えばさ、うちの娘が『オーロラを見たい』って言ったとするだろ ? そしたら、インターネットで『オーロラ』の画像を検索して、見せてやることができるんだよ」


O 課長の言った「情報の倉庫を検索する」というのは、かなりうまいたとえだと思うのですが、当時の私はインターネットを「電子百科事典」ぐらいのもんにしか思っていませんでした。しかし、その数年後には、インターネットはわれわれの生活と切っても切れないメディアとなったのは、みなさんもよく知るところでしょう。

だれでもできる「ググる」

さて、話を戻しましょう。私の調査依頼に対して、ヒデキは「手始めに、ググる」ことにしました。ま、確かに、何らかの材料集めをしなければ、調査をすることができません。しかし、よくよく考えてみると、「世界の銀行における投資信託販売の実態」の調査をするために、 Google に “銀行” “投資信託” “販売状況” と入力して検索することぐらい、だれにでもできることです。つまり、ヒデキが手始めに「ググる」行為そのものには、ほとんど付加価値がないということになります。


私が身をおく「コンサルティング業界」というのは、世間一般の人が知らない事柄を調査して、それを報告することが 1 つの仕事になっています。私がこの業界に転職した 8 年前には、顧客に依頼された調査内容について、1週間ぐらい国会図書館なんかに缶詰になって材料集めをすることにさえ、顧客は付加価値を感じてくれていたように思います。しかし、インターネットを通じてこれだけの情報が無料で提供されるようになってくると、そのような調査行為自体、顧客自らが瞬時に行なうことができるわけで、リサーチャーとしてのコンサルタントの値打ちは全くなくなってしまうことになります。


これは外資系企業一般にも当てはまることのように思います。外資系企業の付加価値とは、日本にない商品・サービス・情報を提供することにありますが、インターネットを通じて、海外との通販などが一般化してしまうと、「外資」であることの意味がほとんどなくなってきてしまいます。ネットの世界では、会社はバーチャルに存在しさえすればいいのですから、外資も日系も、本社がどこにあるかも、そんなことはどうでもいいことなのです。


このように考えてみると、「外資系」 & 「コンサルティング」という「二重苦」に身をおく私としては、お先真っ暗なような気がしてきます。しかし、実際には、私の会社はそれなりに景気がいいのです。それは、なぜなのでしょうか ?

ググれないもの

インターネット社会がどんなに進展しても、インターネットでは表現できないものがあります。Amazonがどれだけ売り上げを伸ばしても、「やっぱり立ち読みしてから買いたい」という人がいるから、町の本屋は潰れません。企業の財務情報はインターネットで検索可能ですが、では、どうしてその企業が高い業績をはじき出したのか、その企業はどんな生産システムを持っていて、そこで働く人はどんな考え方をしているのか。そんなことはインターネットでは公開されていません。つまり、「インターネットでは公開されていないこと」 = 「ググれないもの」を売れば、商売は成り立つということです。


ヒデキ 「げげっ ! “銀行” “投資信託” “販売状況” でググったら、 537,000 件もありましたよ。タカシさん、どうしましょ ・・・ 」


私 「んったくぅ ・・・ だから、それを考えるのがお前の仕事だろっ ! 」


みなさんにとって、「ググれないもの」って何でしょうかね。それこそ、自分の「価値」であるような気がするのですが、いかがでしょうか。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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