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タカシの外資系物語

外資転職バッシング ( その 2 )2005.09.13

結局みんな外資系

前回の続き ) 前回は、私が日系の銀行員だった頃、外資の投資銀行に転職した元同僚 K 主任の「外資流やり口」に対して、 O 課長と私が違和感を持ったエピソードをお話しました。日系に残った O 課長と私は、「あいつ ( K 主任 ) はもう、昔のあいつじゃないんだ。悪魔 ( 外資 ) に身を売り渡したんだから ・・・ 」などと言って、同僚の外資への転職を否定することで、日系にいる自らを肯定していました。これこそ、「外資に行って強くなった仲間を受け入れることができない国内組」が抱く「外資転職バッシング」という感情なのです。


さて、その後、 O 課長と私はどうしたのか ? 結論から言うと、実は O 課長も私もその半年後には外資系企業に転職していました。「悪魔に身を売り渡した ・・・ 」などと悪口を言っていた張本人が、舌の根も乾かぬうちに同じことをしているのですから、笑い事にもなりません。 K 主任が転職した直後には、 2 人とも外資への転職活動を開始していたわけで、実際には K 主任が羨ましくて仕方がなかったということになります。


外資に移ってからのK主任の働きぶりを見て、私が率直に思ったのは次のようなことです。「あんなにストレートに、会社のことだけを考えて仕事ができるなんて、羨ましいなぁ ・・・ 」裏を返せば、日系企業というのは会社のことだけを考えて行動するわけにはいかない。そこには様々なしがらみや慣習があって、それらを侵さない範囲で仕事をする方が優れたやり方なんだという思い込みがあったわけです。つまり、「しがらみや慣習に縛られて仕事をする日系 = 善」で、「しがらみや慣習に囚われずに仕事をする外資系 = 悪」という構図が頭の中にあるからこそ、「悪魔に身を売り渡した ・・・ 」という発言が出てくるのでしょう。要は、ひがみ意識以外の何ものでもないのです。

日系と外資系における転職時の対応

退職の挨拶をしに、知り合いを回ったときにも、色々なことを言われました。


「ま、好きにすればいいじゃん ・・・ 俺はこの銀行に残って頑張るから ・・・ 」 といったものから、「ここまで育ててもらった銀行に対して、お前はそうやって裏切るわけだ・・・」 なんて言う人もいました。


「お前、何か悪いことしたのか ? 金でも使い込んだのか ? 」 とか、 
「何のために苦労して大学出たんだ ・・・ もったいない ・・・ 」 なんて、思わず苦笑してしまうようなコメントもありました。


中には、こんなのもありました。


「そうやってドロップアウトしていくわけだ。おまえ、 1 年後には田舎に逃げ帰ってんじゃねぇの ? 」 確かに、銀行が大変なときに転職するのは、こちらもそれなりに後ろ髪を引かれる思いがあったのですが、それにしても「ドロップアウト」なんてヒドすぎると思いません ? 今になって思うと、このようにバッシングがひどいヤツらに限って、私が外資に転職するのを羨ましく思っているという話もあります。その証拠に、私に「お前はドロップアウトする ! 」言った同期の S くん、私が転職した 1 年後には、私の会社に履歴書を送付してきていました。自分からドロップアウトしてどうするんじゃ ・・・ という感じですね。


このように、私も日系から外資への転職時には様々なバッシングを受けたのですが、外資から外資への転職時には、そんなバッシングは一切受けませんでした。そもそも外資では転職などは日常茶飯事なので、だれも特段構ってくれないという理由もあるのですが、一言もらう場合でも、その内容が日系から転職したときに比べて、かなり違ったものでした。


例えば、現状の給与体系に不満のある同僚などは、正直に「いいなぁ ・・・ 羨ましいなぁ ・・・ 」と言っていましたし、「お前は転職すべきではない ! すぐに思いとどまるんだ ! 」 なんて意見を言ってくれる同僚もいました。日系は婉曲的、外資はストレート、というのはこういう部分にも現れてくるわけです。


読者のみなさんの中にも、外資への転職を具体的に検討している、または、すでに転職が決まっているという方がいらっしゃると思います。今の会社が日系企業ならば、転職の話をしたときに、いろいろなことを言われるケースが出てきます。中にはきつい「バッシング」を受けるかもしれません。


ま、しかし、そんなことは一切気にしなくていいと思います。バッシングしてくるやつらの大半は、外資に転職するあなたのことを羨ましく思い、単に妬んでいるにすぎません。ですから正々堂々と退職すればいいのです。

私がもらったキツイ一言

一方で、私が転職時にもらったコメントの中で、今でも胸に焼き付いて離れないものがあります。それは、「おまえが転職してやりたいことって、今の会社じゃ、本当にできないことなのかな ? 」というもの。実は、このコメントはかなり効きました。


一般に、外資への転職理由の 1 つに、「とにかく日系から逃げたい ・・・ 」というのがあります。どんなにカッコいい理由をつけて転職していく人だって、実はこの理由が大きかったりするのです。私もその 1 人でして、「思いっきり仕事がしたい ! 」と言っている反面、「しがらみや慣習に縛られた日系は、とにかくイヤだ ! 」という理由が大きかったのは否定できません。つまり、単に日系から逃げ出したいというだけの理由も大きかったのです。


確かに外資に転職すると、仕事自体は格段にやりやすくなります。お客様のことや会社の収益だけを考えて、自分がやりたいようにアクションが取れるようになります。しかし、このことは本来、日系企業でもできてしかるべきことで、外資の専売特許ではありません。元いた日系企業を、このような環境に作り変える努力もせずに、すでに環境が出来上がった外資に転職してしまったことは、なんだか「逃げ」でしかないような気もして、今でも後ろ髪が引かれる思いだというのが正直なところです。


なので、私は私が元いた銀行に残って、孤軍奮闘、改革に取り組んでいる同僚や先輩を心から尊敬しています。私が外資で学んだ考え方が、彼らの改革に活かしてほしいし、可能なら私自身が改革のお手伝いをしたいとも考えています。日系企業に外資の優れた部分を取り込んでもらい、逆に日系の優れた部分は外資が手本とする、そんな関係を築く必要があるのだと思っています。


外資は、塩をまかれるような「悪魔」ではありません。外資が悪魔としか捉えられない、その考え方こそ、日系企業が改めなければならない「思考の悪魔」なのかもしれません。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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