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タカシの外資系物語

ヘッドハンターに会おう ! - Steve のケース - ( その 2 )2005.06.28

Steve、いきなり遅刻 !

「おそいなぁ … 確か、○○ ホテルのロビーに、 7 時の約束だったと思うんだけど … 」


ヘッドハンターの Steve 氏と、都内の某ホテルで会うことになった私。しかし、約束の時間になっても、 Steve はやってきません。ホテルのロビーを見渡すと、辺りには数名の外国人がいて、彼らもだれかを待っているようでした。


「まさか、向こうから会いたいと呼び出しておいて、遅れるなんてことないよな。もしかしたら、私がちっちゃすぎて、見えないのかも … ( かなり自虐的な見解 )。よし、こっちから声をかけてみよう … 」


私は思い切って、 5 メートルほど離れたところにいる外国人に話しかけてみました。


「え、Excuse, me. Are you Steve ?」 ジロリ ! その外国人は私を睨みつけるや、クビを横に振りました。


「そ、sorry … ははは、すみません … 」 なんで、ワシがこんな目に遭わなならんねん … 。Steve ! えーかげんにせぇよーー。


時計の針は、すでに 7 時 10 分を指しています。私は Steve の携帯に電話をしてみることにしました。え ? 携帯の番号知ってるなら、どうして初めから電話しないんだって ? いやいや、そこが私の「気くばり」というやつではないですか ! 私とて、 10 分ぐらいの遅刻でとやかく言いたくはないのです。たとえ彼が 10 分遅れでやってきたとしても、「いやー、私も今来たとこなんですよ。すいません、遅れちゃって … 」なーんて言うぐらいの度量を見せれば、感じいいじゃないですか。


トゥルルルー、トゥルルルー、カチャ !


「あ、Hello ! Steveさんですか ? タカシですけど … 」


「Hi, Takashi ! アト 5 分ネーー ! 」 
… あ、あのなぁー。アト 5 分、ってあんた … まず、謝れやー !

「ガツン ! 」と言えるか ?

あと 5 分、あと 5 分 … 私は Steve を待っている間、いかにして Steve に「ガツン ! 」と言ってやろうかと考えていました。時間厳守というのは、日系・外資系にかかわらず、ビジネスにおける最低限の礼儀です。


「時間守れやー ! っていうのは、Be punctual ! でいいよな … ちょっとコワイ顔して、Be punctual ! って言って、その後、冗談だよ、冗談 ! みたいな感じで、場を和ませよう … ブツブツ … 」と作戦を練っていると、私の後ろから大声で叫ぶファンキーな外国人が 1 人。


「Takashi ! Hi ! イヤー、オクレテスミマセンネ ! 」


「え ? あ、Steveさん、こんにちは … いいんですよ、ほとんど待ってませんから … No Problem ! 」


… って、よ、弱っ ! 怒れや、タカシーーー ! ちょっとコワイ顔して、Be punctual ! って言うんとちゃうんかぁー ! (T-T)


我ながら、情けなくなってしまいました。「気が弱い」というわけではないんですよね。相手が外国人だと、なんかこう、自分の主張を押し殺してしまうというか、思っていることが言えないというか … 外資系に転職して、はや 8 年が経過しますが、この点についてはいまだに改善できないでいます。


日本人の感覚だと、「 10 分遅れてきた時点で、かなりの負い目があるはず。だから、『いいんですよ、ほとんど待ってませんから … 』と相手が言ったところで、それは気休めに過ぎず、遅れた方が完全に悪い」( = 日本式考え方 ) となります。しかし、外国人、特に欧米人の感覚では、「一応『オクレテスミマセンネ ! 』と謝罪して、相手も『No Problem ! 』と言っているのだから、本件についてはこれにて終了。だれも負い目を負っておらず、すでに対等な関係」( = 欧米式考え方)となります。つまり、同じ状況下において、異なる 2 つの考え方( = ダブル・スタンダード)が存在するわけです。この場合、どちらの考え方を用いるべきなのでしょうか ?


私は、ビジネスにおいて欧米人と接する場合には、たとえそれが日本において、かつ日本人の立場が優位であったとしても、欧米式を使うべきだと思います。理由は簡単でして、それは日本式より欧米式の方が、格段に「わかりやすい」からです。優れたビジネスパーソンに共通していることは、わかりやすさであって、偏差値的な頭の良さではありません。複数の方式があれば、わかりやすいものを選ぶというのはビジネスの基本です。

英語でやるんですか ?

さて、話を戻しましょう。私が遅刻について深く追求しなかったこともあり、 Steve は何事もなかったかのように話を始めました。

 


Steve 「First of all, I introduce my company profile, it was established in 1996, in London…」


私 「Wait, wait a minute. ちょっと待って、Steveさん … 」


Steve 「ドウシマシタ ? 」


私 「英語でやるんですか ? 」


Steve 「ダメデスカ ? ワカリマセンカ ? 」


いや、 Steve の会社のプロフィールぐらいなら、英語で聞いてもわかります。でも、私に対する求人内容とか、給料の話とか、そういうのは日本語で会話しないと、ちょっとしたニュアンスの違いが大きな誤解を生みかねません。そもそも、Steveだって 「 Nihongo de hanasu no ga zenzen mondai arimasen ! 」 って、言ってたのですから … ( 前回コラム参照 )


私 「OK. 必要に応じて、日本語で聞きますよ」 
… って、よ、弱っ ! 「日本語でやってくれ。そういう約束だろ ! 」って、はっきり言えや、タカシーーー ! (T-T)


Steve 「タカシサン、シツモンガアリマス。ドウシテ、エイゴデcommunicateスルノ、イヤナンデスカ ? 」 


私 「(んぐ … )そりゃ、英語ができないからですよ … 」


Steve 「ソレハチョットチガイマスヨ ! 」


Steve によると、日本人はよく英語ができないとか、得意じゃない、とか言うが、そんなことを言うのは世界中で日本人だけだとのこと。そもそも native speaker じゃない日本人が、英語が得意でないことぐらい、だれでもわかる。欧米人にとっては、そんなことは重要ではなくて、要は「相手の話していることがほとんどわかるのか、全くわからないのか ? わからないとすれば、どの部分がわからないのか ? 英語で筆談すればわかるのか、日本語で話さないとわからないのか ? 」ということをはっきりさせてほしい、ということでした。


確かに、私を含めて多くの日本人は、英語に対するコンプレックスがあまりにも強いために、「英語ができない。得意ではない」ことばかり強調しがちです。相手の欧米人にしてみれば、「あなたが英語が得意ではないことはわかったから、それでどうして欲しいの ? 」と言いたくなる気持ちもわかります。


Steve の「いかにも外資的考え方」に圧倒され、会話は完全に Steve のペースで進められました。私も苦手の英語 … おっと、こう言っちゃいけない … 自分のできる限りの英会話力を駆使して、 Steve と会話しました。

 

オヤスミナサイ ?

Steve 「 … デハ、ZZ consulting ノハナシヲススメサセテイタダキマス」


Steve が紹介してくれたのは、大手ではないのですが、最近業容を拡大している外資系の IT コンサルの会社でした。私も余程のことがない限りは、すぐに転職する気はないのですが、 ZZ consulting には以前から興味を持っており、とりあえず話ができれば … ぐらいのイメージで考えることにしました。


Steve  「ソレデネ、タカシサン。 I will be out of Japan from tomorrow until the end of July. ナンデスヨ。 Humidity ダイキライネ ! 」


私 「はぁ ? 」


Steve は日本のじめじめした梅雨が大の苦手なので、明日から故郷のロンドンに帰るとのこと。


Steve 「 ZZ consultingニハ、ハナシテオキマス。アトハ、ヨロシク ! 」


おいおいっ ! 「アトハ、ヨロシク ! 」って、それでもあんた、ヘッドハンターかーーっ ? 先方との面談ぐらいまでは、ちゃんと面倒見てくれやーーーーっ ?


私 「Steveさんいなくて大丈夫かなぁ … 」


Steve 「ダイジョウブデスヨー。 You are gentle ネ ! No problem ヨ ! 」


私が gentle なことと、本件はほとんど関係ないと思うが … しかし、まれに見る変わったヘッドハンターだな、このおっさん …


私 「 … そろそろ、会社に戻らなきゃ … 」


Steve 「ジャ、ドウモアリガトウゴザイマシタ。オヤスミナサイ」


私 「Steveさん … 」


Steve 「ナンデスカ ? 」


私 「まだ、 8 時前だからね、オヤスミナサイっていうのは、あまり使わないと思うよ。オヤスミナサイっていうのは、 9 時以降で、かつその人がもう会社とかに戻らないことが想定できるときに使うべき言葉だと思うよ」


Steve 「ソレハシリマセンデシタ。アリガトウ ! ソンナコト、ダレモオシエテクレマセン … 」


最後の最後に、ちょっと言ってやりました。お互いにものが言い合える存在にならなければ、信頼関係など得られません。今後長く Steve と付き合っていくかどうかはわかりませんが、外国人とのコミュニケーションについて、再認識させられる、いい機会でした。さてさて、 ZZ consulting との面談はどうなることでしょう ? それはまた、このコラムでご報告したいと思います。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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