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タカシの外資系物語

プロジェクトの回し方2005.06.14

プロジェクト・ベースの仕事

「あーぁ、またプロジェクト始まっちゃいましたね。今年の夏休みは仕事か ・・・ 」


「まぁ、そう言うなって。コンサルティング会社なんて、そんな商売なんだからさ ・・・ 」


私は外資系コンサルティング会社に転職して以来ずっと、いわゆる「プロジェクト・ベース」の仕事をしてきました。プロジェクト・ベースというのは、何かのプロジェクトに関与し、それが終わるまではほとんど休暇を取ることなく働いて、終わったらお休みをもらう ・・・ ということを繰り返すような方式のことをいいます。


一口にプロジェクトといっても、その期間の長さは千差万別でして、短いものは 3 ヶ月程度、長いものになると 3 年以上なんてのもありますから、長い場合には適当に休暇を取らないとやってられないのですがね。ま、 6 ヶ月程度なら、休暇なしでやってしまうケースが多いように思います。

旅行に行けない !?

プロジェクトが無事終わると、スタッフの多くはまとまった休みを取って旅行に行ったりします。当然のことながら、プロジェクトの終了予定日を念頭に置いてエアーチケット等を予約するわけですが、実はこれがなかなか厄介なのです。何が厄介なのか ? 予定通りに終わらん場合が多いのですよ、これが ・・・


「タカシさぁーん ・・・ プロジェクト、全然終わんないじゃないっすかぁ ・・・ あさって、モルディブに行く予定になってんすけど ・・・ 」


「(モ、モルディブだとぉ ・・・ 知るか、んなもん ・・・ ) あのなぁ ・・・ お前の旅行のためにプロジェクトやってんじゃないんだから、つべこべ言わず仕事しろ ! 」


「えーーーーっ ! (T-T)」


とは言いながら、プロジェクトがほんの数日長引くためだけに、せっかくのモルディブ旅行を諦めろというのも酷な話です。なので、私はこういうケースでは、できる限り旅行に行かせるようにしています。


「タカシさん、ありがとーー(T-T)」


「お土産買ってこいよな ! 」


これもスタッフ・レベルなら何とかなるのですが、 PM (プロジェクト・マネージャー)レベルになると、少し事情は異なります。プロジェクトが終わっていないにもかかわらず、 PM が「旅行行ってきまーーす ! サヨナラーー」というわけにもいきません。なので、私はマネージャー昇進以降、まとまった休暇を取ったことがありません。プロジェクトが遅れたおかげで、自分の結婚式にも遅れそうになったぐらいですからね (『台風夜話』参照)。

プロジェクト段階毎のメリハリ

こういう話をすると、「そんなんじゃ甘すぎる ! プロジェクトが終わっていないのだから、スタッフの旅行も諦めさせるべきだ ! 」という人がいます。まぁ、そういう考え方もあるでしょうが、私はあと数日でプロジェクトが終わる段階まで来ていれば、旅行ぐらい行かせてもいいのではないかと思っています。

 


そもそも、プロジェクトというのは、その大小、期間の長さを問わず、だいたい 4 つの段階に分かれます。


( 1 ) 立ち上げ段階  ( 2 ) 調査・作業段階  ( 3 ) まとめ段階  ( 4 ) 最終段階


このうち、主に PM レベルに負担がかかるのは ( 1 ) と ( 4 ) 、スタッフ・レベルに負担がかかるのは ( 2 ) と ( 3 ) です。プロジェクト期間を超過してしまうケースでは、そのほとんどは ( 4 ) の段階まで来ているはずです。あとは、まとめたものをいかに最終成果物として仕上げて、お客様に報告するというだけの話なのですから、スタッフの 1 人や 2 人いなくても、まぁ何とかなるのです。もちろん、プロジェクト期間を超過しているにもかかわらず、まだ ( 3 ) の段階にしか来ていないというなら話は別です。スタッフの旅行も諦めてもらうかもしれません。しかし、終了予定日の1週間前にいきなり作業が遅れ出すなんてことは考えにくいわけでして、危機的な遅れ ( 終了予定日段階で ( 3 ) が終了していない等 ) なら一ヶ月前にはわかっているはずです。それならば、スタッフも旅行の予約は入れないでしょう。


要は、プロジェクトの各段階において、頑張るべき人が頑張れば、プロジェクトはそれなりに回るのです。 PM は ( 1 ) ( 4 )、スタッフは ( 2 ) ( 3 ) において、特にその力を発揮すべきであり、それ以外の段階では、多少手を抜いていてもいいと思います。転職したてのスタッフによくあるケースなのですが、プロジェクトの最初から最後まで、機関車のように頑張り続けようとする人がいます。その気合はいいのですが、こういう人はたいてい ( 2 ) の後半とか ( 3 ) で力尽きてしまいます。( 1 ) は PM レベルが頑張ればいいのですから、スタッフは PM に付き合って夜遅くまで仕事せずに、定時に帰ればいいのです。その代わり、( 2 ) ( 3 ) で頑張ってくれればいいのですから。

 

ホワイトカラーの分業

かく言う私も、若かりし頃には、わけもわからず、毎日毎日遅くまで残って仕事をしていました。しかし、同じ時間働いても、プロジェクトの段階によって、その成果が大きく異なるのです。例えば ( 1 ) の段階なんて、スタッフ・レベルでは、やることはほとんどありません。逆に ( 2 ) ( 3 ) の段階では、やればやっただけ成果が上がるのです。このことに気付くのに、 1 年以上かかったのですが、逆に言うと、このことに気付かない人は仕事のメリハリがつかずに、体を壊してしまったり、結局は退職してしまうケースが多かったように思います。


スタッフ 「タカシさん。来週からプロジェクト始まるっていうのに、メンバーが全然集まってないじゃないですか ! どうするんですか、こんなんじゃスタートできませんよ ! 」


・・・ いいんだよ、別に。( 1 ) の立ち上げ段階では、スタッフはそれほど必要ないんだから ・・・


タカシ 「じゃ、今日のところは失礼すっから。お疲れ ! 」


スタッフ 「ジロリ ! (あーーーーーー、みんな頑張ってるのに帰るんだーーー。無責任だなぁ ・・・ )」


・・・ あのなぁ、( 3 ) のまとめ段階は君たちが頑張る番だろうが。オレは ( 4 ) の最終段階に向けて、体を休めとくよ ・・・


日本のホワイトカラーの実態は、結局のところ、「気合で乗り切る ! 」以外の何ものでもありません。しかし私はホワイトカラーにこそ、適切な分業体制が必要ではないかと考えます。特に、プロジェクト・ベースの仕事の場合は、チーム単位で仕事をするわけですから、チームメイトを信用して任せてしまうことができなければ、いい成果なんて上げられません。


日本の管理職のみなさん、遅くまで残業していないで、部下を信じて、たまには定時に帰ってはどうですか ? あなたが頑張らなきゃならない段階もあるんですからね ・・・ え ? 部下に任せっきりで、頑張ったためしがない、って ? 部下の邪魔にならないように、今日も定時に帰る、って ? ・・・ トホホ ・・・ まさか ・・・ 読者のみなさんの会社は、こんなことないでしょうねぇ ?

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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