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タカシの外資系物語

PC 依存症候群2005.01.27

カチャカチャパチパチ、って何の音 ?

「本年度の営業ターゲットは XXX 億、うち新規顧客分は XX 億ということになりました …… 」


今日は、私が所属する金融部門の営業会議です。通常の営業会議では、マネージャー以上が参加することになっているのですが、今回は年初一発目ということもあり、スタッフレベルのメンバーも参加し、総勢 100 名程度の大会議となりました。まずは、部長が事業部全体の営業目標を話しています。


「 …… というわけで、今年も頑張っていきましょう!何か質問はありますか ? 」 
  
しーーん …… ( カチャカチャパチパチ …… )


司会者 「営業部長、ありがとうございました。では次に、コンサル部門のタカシ・マネージャーから、本年度の銀行コンサルティング戦略を話してもらいます」


タカシ 「どうも、マネージャーのタカシです。私の方からは、主に銀行部門におけるコンサルティング・ビジネスの見通しと、わが社の戦略をお話したいと思います」


カチャカチャカチャカチャ ……


タカシ 「 …… というわけで、個人情報保護法の本格施行に向けた、セキュリティ・コンサルティングのニーズが高まっており …… 」


カチャカチャカチャカチャ、パチパチパチパチ ……


タカシ 「( カチャカチャパチパチ、うるせぇなぁ …… ) …… えーーー、一部メガバンクにおいては、すでに本格的な対応を開始しており、わが社としても早急に体制を整え …… 」


カチャカチャパチパチ、カチャカチャカチャカチャパチパチパチパチ、パッチン、ターーーーーン !


タカシ 「えーい、やかましいわーーーっ ! 」


司会者 「えっ ? 」


タカシ 「あ、失礼しました …… ( カチャパチ、ターーン ! って、ええ加減にせぇよ、こいつら …… )」

PC でメモをとる

私を悩ます、カチャカチャパチパチ。実はこれ、 PC のキーボードを叩く音なんです。最近、若い連中を中心に、ミーティング中に自分の PC をいじるのが、一般的になってきました。メモを取る代わりに、 PC をカチャカチャパチパチ。では、「ターーン ! 」っちゅうのは、一体何なのか ? これは、「 Enterキー ( いわゆる実行キー )」を叩く音です。「カチャカチャカチャカチャ、ターーン ! 」「タンタカタッタ、ターーン ! 」「ドンドコドンドン、ドーーン ! ( これは余計 )」 これではまるで、民族舞踊かなんかの「お囃子」です。私もスピーチしながら、何度踊り出しそうになったことか …… ( 踊らん、踊らん …… ) 中には『猫ふんじゃった』みたいに、両手を交差させてキーボードをタイプしている人もいます ( そんなやつおらん …… )。


余談ですが、みなさんの周りに、Enter キーを押す「ターーン ! 」が、ものすごい人っていませんか。私の周りには、 5 人に 1 人ぐらいの割合で、 PC を突き破らんばかりの「強打」をかます人がいます。「突き指するぞ、おい …… 」と、余計な心配をすることもしばしば。会議で議論が膠着したとき、シーーーン …… と静まり返った中で、いきなり 「ターーーーン !! 」 とくると、心臓が止まるかと思うときがあります。


いずれにしても、 PC を常時持ち歩いて、メモ帳代わりに使っている人が激増したのは事実。このような状況になった最大の理由は、企業における「 PC 1 人 1 台体制」が整ったことが上げられると思います。私が銀行に就職した当時、配属先がシステム部であったにもかかわらず、 PC は課に 1 台しかありませんでした。それが今や、多くの企業で全社員に PC が配布されています。確かに、「ワード」か「メモ帳」を使用して会議のメモをとっておけば、保存も確実ですし、編集もしやすい。また、今や連絡手段としてすっかり定着した「 E メール」に添付して送信するなど、後々のことを考えると、この方が都合がいいわけです。また、 PC 上で仕事が完結するようなワークスタイルにすれば、「仕事が速い」「ペーパーレスになる」など、いいことづくしの感があります(ペーパーレス化については、『紙をなくせ ! 』参照のこと)。

「内職」で、仕事がはかどるか ?

が、しかし、私は会議中の PC パチパチには、あまり賛成しません。上で述べたような「音がうるさい」というのは、実はどうでもいいのですが、私が賛成しない一番の理由は、「会議のメモをとっているふりをして、実は関係ないことをしている人が多い ( ほとんどである )」ということなのです。いわゆる「内職」というやつです。このことは、教室形式の会議室の一番後ろに座ると、一目瞭然でわかります。 PC を開けてパチパチやっている人のほとんどは、会議とは全く関係のない画面を開いて、何やら作業をしています。中にはインターネットのスポーツ・ニュースかなんかを開いて、正々堂々とサボっているツワモノもいます。なんてことでしょうね。


「会議の内容を理解して、要点をメモしながら、同時並行で自分の仕事も進める」なんてことができればいいのでしょうが、どんなに優れた人間であっても、そんな器用なことはできません。その証拠に、職場でも一目置かれているような優秀な人は、そんなことはしていません。会議を聞くときは聞く、考えるときは考える、作業するときは作業する、という具合に、メリハリの効いた仕事の仕方をしています。


一方で、要領が悪い人に限って、会議中に PC を開いて「内職」をしているように思います。その結果、作業そのものにも集中できず、会議の内容も理解できず、どっちつかずでますます仕事が遅れてしまうという悪循環に陥っているのがオチだと思います。


30 代以上にもなってそんなこともわからん人はどうでもいいのですが、私が危惧しているのは、20 代の若い連中が、「会議中にパチパチやることこそ仕事である」、という誤解をしているフシがあるということです。確かに、 PC を広げて難しい顔をしてパチパチしていると、何となく仕事をしている気分に浸ることができます。しかし、 PC で文書を作成するということはあくまでも「文書化」であって、仕事の本質そのものではありません。話を聞くべきときは聞く、話すべきときは話す、保存すべきことは残す、そのサイクルの一端でしかないはずです。若いうちから、仕事をするフリをして、お茶を濁してはいけません。今、自分がやるべきことが理解し、適切な方法で実行できないようでは、スキルなど伸びやしないのですから。

「 PC 依存症」の多い外資系

以上のような「 PC 依存症」にかかった若者は、実は、日系企業よりも外資系企業に多くはびこっています。その理由は、外資系の方が PC 1 人 1 台体制が進んでいること、内部処理のほとんどがペーパーレスであるために PC 上で済んでしまうこと、マニュアル化が徹底していて、上司や先輩から手取り足取り学ぶ機会が少ないこと、などが上げられると思います。以前、私のプロジェクトに参加したサチオくんなどは、食事に行くときにも PC を広げて何やらパチパチやっています。


私 「あの …… サチオさぁ …… メシ食うときぐらい、 PC しまっとけば ? 」 
サチオ 「え ? いや、食事時間を有効に使って、メールチェックとかしないと、時間が足りないんで …… 」


私 「その心がけは大事だけどね …… だけど、 PC 落として壊れたら困るしさ、そもそも社外 PC 開けてたら、第 3 者に画面見られちゃうぜ」


サチオ 「その点ならご心配なく。データのバックアップは毎日とってますし、画面も横から盗み見されないように、特殊なスクリーン・シートを貼ってますんで。セキュリティも、パスワードを 3 重にかけて、パスワードは毎週変更し …… 」


…… そういうことじゃ、ないんだけど …… わかってねぇなぁ …… トホホ ……

もう 1 つの、パチパチパチ ?

「…… えー、というわけで、本年度のコンサルティング戦略を述べてきたわけですが …… 」


さてさて、営業会議における私のプレゼンも、ほぼ終了する時間になってきました。


カチャカチャカチャカチャ、パチパチパチパチ …… 会議室には依然として、PC依存症諸君たちの「内職」の音が響いています。


「何か質問はないですか ? じゃ、これにて終了 ! 」


パチパチパチパチパチパチパチパチーッ !


私が席に戻ろうとすると、何やら今までとは「質」の異なるパチパチ音が聞こえてくるではありませんか !


「いやーっ、タカシさんのプレゼン、最高でしたよ ! すごくわかりやすくて、ホント、参考になりました。ありがとうございます ! 」


見ると、若手の一人が、私に向かって「拍手」をしてくれています。ほーぉ、うちの若手の中にも、見どころのあるやつが残っているじゃないですか ! 私は、 PC の「パチパチ」と、拍手の「パチパチ」が交錯する中、少し明るい気分でプレゼンを終えることができました。


PC 依存症諸君、今日はどれだけ人の話を聞きましたか ? どれだけ人に話をしましたか ? どうか、 PC という単なるツールを抜け出して、本当のビジネス・フィールドに飛び出していってくださいね。くれぐれも、「井の中の蛙」ならぬ、「 PC の中の蛙」にならないように !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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