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タカシの外資系物語

SE とコンサル ( その 1 )2004.10.07

私は SE ? コンサル ?

今回から数回にわたって、SE とコンサルタントについてお話したいと思います。SE とコンサル、これはどちらも IT 業界の職種です(実は、コンサルについてはIT業界以外にも幅広く存在するのですが、世の中の大半の「コンサルタント」というのは IT 業界にいる人(いわゆるITコンサルタント)のことを指します)。


私は銀行員時代、システム部に 5 年間在籍していました。そのときは、自分の仕事を紹介するときに、「私はシステム・エンジニアです」と言っていたように思います。銀行を辞めて外資系企業に転職し、現在で外資系 2 社目になりますが、それら 2 社の社名にはどちらも「コンサルティング」という言葉が入っています。なので、私は自己紹介をするときには、自分のことを「コンサルタント」として称しています。そう言えば、名刺の肩書きも「コンサルタント」になっています。


では、SE とコンサルタントというのは、どこがどう違うのでしょうか ? 実は、私自身は SE もコンサルタントも全く同じだと思っています。確かに銀行にいたころに比べれば、仕事のやり方・こなし方はうまくなったし、スキルもそれなりに向上しました(10 年もたっているのですから、進歩して当たり前ですがね)。しかし、仕事の本質は今も昔も変わりません。それは、「業務要件(業務上、実現したい事柄)をまとめて、システムを作る」ということです。

コンサルは SE の上なのか ?

一方で、世の中の一般的な見方は、私とは異なるようです。どうも、SE よりもコンサルタントの方が一段レベルの高い仕事だとみなされているようで、求人広告などでも、「SE からコンサルタントへのステップアップ !」「SE のみなさんへ、コンサルタントになって年収 UP を目指せ !」などの言葉がよく出てきます。


求人サイトなどの情報をまとめてみると、IT 業界のキャリアアップは、次のような順序で進んでいくようです。


プログラマ → SE(システム・エンジニア) → コンサルタント


キャリアが上がれば上がるほど、それに応じたスキルを要求され、それゆえに給料が高くなっていくわけです。しかし、全てのコンサルタントがプログラムを組めるわけではありません。というか、むしろプログラミングができないコンサルタントの方がはるかに多いと思います。SE の中にもプログラミングができない人がときどきいますが、ほとんどの人はプログラマの経験を持っています。なので、その気になれば SE がプログラマの仕事をすることも可能です。実はこの事実こそ、SE とコンサルタントとの間に深い「溝」を生み出しているのです。


「SE やプログラマは、言われた通りにシステムを作っていればいいんだよ ! コンサルの仕事に口出しするな !」(コンサルタント)


「システムのこと、全くわからないくせに、何がコンサルタントだよ ! えらそうにしやがって……」(SE・プログラマ)


コンサルタントと SE・プログラマの両者が参加するような大規模プロジェクトにおいては、両者間での確執がいたるところで展開されています。私も幾度となく、そういった場面に遭遇してきました。

SE とコンサルの確執?

私が 1 ヶ月前から関与している S 銀行プロジェクトは、以下の 2 フェーズに分けられています。


(フェーズ 1) BPR(Business Process Re-engineering = 業務改革)フェーズ

現行の仕組み(業務プロセス・組織・ルール)を見直すことで、処理のスピード化や低コスト化を実現しようとするもの(私はこの作業を担当するチームのリーダーです)。


(フェーズ 2) システム要件定義フェーズ

フェーズ 1(BPR)の結果を受けて、システム化が必要な部分の業務要件をまとめて、要件定義書(システムの設計書)を作る作業。


PM(プロジェクト・マネージャ)・A さん 「本日の議題は、BPR フェーズと後続のシステム要件定義フェーズのインターフェースを定義するものです」(両フェーズをつなぐ橋渡しとしてのアウトプット(成果物)をどうするかを決めること。プロジェクトというのは陸上のリレー競技みたいなもんでして、先行フェーズが後続フェーズにバトンを渡すようにして進んでいきます。渡すバトンの種類をあらかじめ定義しておけば、後続フェーズはそれを想定して準備作業を実施することができるわけです)


BPR コンサル・タカシ 「BPR フェーズでは、商品数の削減を第一の目標としています。現状の商品数1,000 を、何とかして 700 程度に削減した上で、後続のシステム化作業に移行することが理想です。インターフェースとしての成果物としては、商品毎の存続要否(その商品を残すのか、廃止するのか)とその理由、また廃止する場合には廃止に向けた必要作業一覧を記載し……」


要件定義担当 SE・B さん 「タカシさん…… こう言っちゃなんだけど、そんな成果物じゃ後続のフェーズには、何の役にも立たないよ。後続のフェーズで欲しいのは、どの商品がなくなるかってことじゃなくて、残った商品の処理プロセスをどうするかってことなんだから。残った商品の分析作業は、いつやるの ?」


コンサル・タカシ 「それは要件定義フェーズの初めにやるべきことじゃないですかね ?」


SE・Bさん 「だれが ?」


コンサル・タカシ 「現状の切り分けなら…… B さんのチームですかね」


SE・B さん 「バカなこと言ってんじゃないよ ! その部分こそ、コンサルタントにやってほしい部分なんだから、タカシさんとこでやってくれないと…… ホントに、わかってねぇなぁ……」


PM・A さん 「えーーとですね、だれがどの作業をやるかは、後日あらためて検討しましょう。今日の議題は、インターフェースを決めることなので…… リソースも限られていることですから、リソースに余裕が出たところが中心になって、新業務プロセスを検討していけばいいのですから……」


SE・B さん 「えーーっ ! それは違うよ、A さん。われわれ SE はシステムを作る部分で精一杯なんだから、変更後の業務プロセスはコンサルさんが決めてくれないと。コンサルさんにはシステムは一切作れないんだから……(コンサルは高い給料もらってるんだから、もっとやってくれないと)」


コンサル・タカシ 「……(トホホ、困ったなぁ……)」

役割分担の違

SE 部隊のリーダーである B さんが私に噛み付いています。BPR の結果、残すことになった商品の業務フローを決めなければならないのですが、その作業をだれがやるかでもめているわけです。各登場人物の立場をまとめると、以下の通りとなります。


・ コンサル・タカシの立場 → 自分の担当範囲には含めていない(実を言うと、私のチームでやってもいいのですが、人手が足りないので、できれば後続フェーズでやって欲しいと思っている。人手を増やしてくれるなら、自分のチームでやってもいい)


・ PM・Aさんの立場 → (コンサル・SEにかかわらず)余裕のあるチームが中心にやればいい


・ SE・Bさんの立場 → コンサルタントチームがやるべきである(コンサルはプログラミングを中心としたシステム関連の作業ができないのだから、システム以外の作業はすべてやるべき。コンサルの方がSEよりも給料が高いことにも不満を抱いている)


客観的には、私は PM・A さんの意見に賛成です。そもそもコンサルとか SE などといった「壁」を設けるから話がややこしくなるわけで、時間のある人がやればいいだけの話です(今回のケースについては、チームの人員を増やすという前提で、BPR チームが作業を担当することで収拾をつけました)。


私の場合は、SE として要件定義を実施した経験があるので、その気になれば要件定義作業を手伝うことも可能だと思っています。SE・B さんも同様でして、B さんの経験とスキルを持ってすれば、BPR フェーズを担当することも可能なのです。しかし、B さんは頑ななまでに、業務範囲の切り分けにこだわりました。その最大の理由は、コンサルタントの大半は、SE の作業ができないからなのです。B さんにしてみれば、SE の作業を手伝ってもらえる見込みもないのに、最初の段階からコンサル側の作業を限定されてしまっては困るので、作業範囲にこだわったわけです。


私は、コンサルタントと SE がいがみ合って、なかなか協調できない一番の理由は、コンサルのスキルが低いことが原因だと思っています。特に、IT のことを全く理解していない「IT コンサルタント」がどれほど多いことか。それなのに、SE よりも高い給料をもらっているコンサル。うーーむ、大きな矛盾ですね。


さて、SE とコンサルの間に存在する課題について、何となくご理解いただけたでしょうか。次回は、SE、コンサルそれぞれの仕事を通して、そのあるべき姿を模索してみたいと思います。


(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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