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タカシの外資系物語

郷に入っても従えない !?2003.10.17

「よーーし、頑張っていってみよー !」


今日は転職先への初出社の日です。昨日までの 2 日間は入社オリエンテーションを受けていましたので、厳密に言うと「 3 日目」ということになるのですが、まぁ今日が初日みたいなもんでしょう。実は入社初日にあたり、「これだけは守ろう !」と心に誓っていることがあります。それは、「郷に入れば郷に従え」。オリエンテーションを受けてみて気づいたのですが、今度の会社の方が優れている部分もあれば、前の会社の方がよかったと思う部分もありました。今度の会社が直すべき部分は積極的に提案していくのは当然なのですが、入社した早々から「前の会社ではこうでした。前の会社の方がよかった … 」というニュアンスの言い回しだけは避けたいと思うのです。以前の会社でも、転職前のことばかり言っている人は、なかなか新しい環境になじめず、うまくいかないケースが多かったように思います。


何はともあれ、あまり難しく考えても、成るようにしかなりません。あくまで自然体で、自然体でっと …


「××コンサルティングから来たタカシさんです。これからみなさんと一緒に、私のセクションで頑張ってもらうことになりました」


今度のボスである M 氏は、清潔かつ紳士的イメージの日本人です。外国人が幅を利かせているわが社でも、抜群の営業成績を上げているとのこと、なんとなくうなずけます。


私 「みなさん、はじめまして。タカシです」


ボス M 氏 「それでは慣れるまでの数週間は、ヨシオさんのサポートをしてください。ヨシオさん、タカシさんにいろいろと教えてあげてくださいね」


ヨシオ 「よろしく」


げげっ ! この人がいるとは … ヨシオというのも実は数ヶ月前は別のコンサルティング会社にいた転職組です。私はヨシオとは面識がなかったのですが、お互い業界誌等に記事が掲載されたことがあったものですから、名前は知っているはずです。


私 「よろしくお願いします … 」


私は、『謙虚に、謙虚に …… 』と心の中でつぶやきました。というのも、どうもヨシオの方が私よりも微妙にランクが上のような雰囲気なのです。向こうの方がわずかながらも早く入社したわけで、わずかなランクの違いなど今さら気にしても仕方ないのですが、まぁ人間の「性 ( さが ) 」というのは困ったものですね。


ヨシオ 「じゃ早速で悪いんだけど、午後のミーティングに一緒に出てくれるかな ?」


た、タメ口かよ、おい … ( タカシの中の悪魔 ) ま、おさえて、おさえて… ( タカシの中の良心 ) 私は「悪魔くん」をぐっと飲み込んで、返事しました。


タカシ 「わかりましたでござる !」


…… いろいろ頭の中で考えてたら、妙に変ちくりんな日本語になってしまいました。わたしゃ、太鼓もちか ……


午後のミーティング時間になりました。ミーティングの内容は、A 社に対する提案内容の確認作業です。この提案はヨシオが中心となって進めているのですが、A 社が要求しているのが非常に特殊な IT 技術であるため、ヨシオひとりでは手に負えなくなっていました。なので、わが社の技術部門からも応援部隊に来てもらって、共同で提案書を書くことになっていたようです。


ヨシオ 「先日お話した A 社の件なのですが、技術部門で何かいいアイデアは思いつきましたかね ?」


技術部門のヘッド 「思いつきましたかね、って、それはヨシオさんの方で考えてもらえるんじゃなかったでしたっけ ? うちは技術支援しかできませんよ」


あらあら、いきなり荒れ模様です。でも、私は今日のところは黙って見ていようと思っていました。なんたって「初日」ですからね、この会社にはこの会社のやり方があるはずですから ……


ヨシオ 「これまでも同じようなプロジェクトをいくつもこなしてきたんでしょう ? それを事例として示してくれればいいだけなんですけどね」


技術部門のヘッド 「いや、だからですね、事例を示せばいいってもんじゃないと思うんですけど。私は製造業での経験はたくさんありますけど、A 社みたいなサービス業での経験はほとんどないわけですし、業務プロセスがどのように行われているか、皆目検討もつかないんですから ……」


イライラ … 何言ってんだ、この人たち …… こんなんじゃ、協力して提案書なんて書けないでしょうに ……


ヨシオ 「しょうがねぇなぁ … じゃ、提案書はやめて、A 社を入れてブレーンストーミングするところから始めましょうか ? 」


ブチッ ! ( ごめんなさい、若干なんですが、切れてしまいました …… )


タカシ 「すいません、ちょっといいっすかね。どーもはじめまして、私は今日入社したタカシというもんですがね、で、そんな状態じゃ、提案どころか出入り禁止になっちゃいますよ」


ヨシオ 「えっ ?」


タカシ 「私は前の会社で A 社に提案したことがあるんですよ。もちろん部門も内容も、今回のとは違うんですけどね … でも A 社のカルチャーからすると、提案段階で一本スジの通ったものを示さないと、見向きもしてくれないと思うんですよ。だから、『ブレーンストーミングで !』なんて悠長なこと言ってるんじゃなくて、うちの会社なりの明確な提案を作らないと、他社に負けますよ」


技術部門のヘッド 「でも業務がわからないんですから、私のとこでは何ともしようが …… 」


ブチブチッッ ! ( い、いかーーーーーーーーーーん、歯止めがきかーーーーーーーーーん ! 思いっきり切れたぁーーーーーーーーー )


タカシ 「だからさぁ、あんたもコンサルティング会社に勤めてるんだから、わからんわからんって言ってないで、少しぐらい考えたらどうなの ? ヨシオさんもだよ ! んったくぅ … 」


あーーー、やっちゃったぁ …… 入社初日から、切れちゃったよ …… トホホ ……


てなわけで、ただ今、夜中の 1 時を回ったところです。えっ ? 何をしてるかって ? 提案書書いてるんですよ、提案書。みんなの前でタンカ切った手前、自分で書くしかないでしょ !


「郷に入れば郷に従え」 ―― なかなか深いことわざです。ただ、私は転職後も「郷に入っても従えない」ような気がしてきました。ま、この性格に 30 数年間つきあってきたわけで、自分が一番わかっているんですけどね。


「タカシさぁ … あんまり最初から飛ばすなよ」


転職前に、世話になった知人に挨拶に行ったとき、彼からもらった言葉が身にしみます。


「くよくよ悩んでても仕方ないし、ま、頑張っていってみよー!」


タカシの外資系 2 社目の初日は、徹夜で始まったということで。トホホ、眠いよーーーーー!

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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