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タカシの外資系物語

SFA で売れるか ?2003.07.04

みなさんの会社では、「営業活動」を行う上で、どのようなツールを使っていますか ? ひとくちに「営業活動」といっても、以下のように様々な業務があります。


- 潜在顧客を発掘する(マーケティング)


- 実際に、顧客に対して提案活動を行う(プレゼンテーション)


- 進捗管理や旅費・経費などの精算(管理事務)


これら営業担当者が行う作業のほかに、「ナレッジ共有」なんていう分野もあります。これは営業活動をするうえで役立つ各種の情報や事例などを、社内全体に伝えるような機能です。


私が勤めている会社も含めて、外資系企業では、これら営業活動を「SFA(Sales Force Automation)」と呼び、5 年ぐらい前から力を入れてきました。SFA の肝は「Automation= 自動化」ということでして、仕掛けとして非常に大掛かりなシステムを使用するケースが多くなっています。ここ 2, 3 年は、日系企業の取り組みも活発になってきているようです。


この背景には、従来の売り手主導・商品中心の営業スタイルから、買い手主導・顧客中心への移行という要因が挙げられます。要は、単に商品を作るだけではだれも買ってくれなくなったのです。顧客が何を欲しているか、それをシステムで管理して、会社レベルで情報を共有していこうという動きが SFA なのです。


私は前職の銀行員時代に、半年だけ営業部門にいたことがあります。そのときは、「金利デリバティブ」という金融商品を売っていたのですが、はっきり言って金融商品なんてどこの銀行でも似たり寄ったりですから、最終的に売れるか売れないかは営業担当者の「勘」と「経験」に依存していました。私の場合も、営業部門に異動して半年ぐらいでは勘も経験も足りませんから、めざましい成果を上げることは非常に困難でした。


一方 SFA では、これら経験者しか持っていないような部分を、極力 IT 化し標準化することで効果を出すことを狙っています。確かに、売り込む際の、最後の「詰め」の部分は経験者にかなわないかもしれませんが、それ以外の部分が自動化されていれば、負担も減って効果も上がるかもしれません。


さて、ここまで書くと、「SFA という考え方は、なんてすばらしいんだろう……」と感じられたのではないでしょうか…ふふふ、それはどうでしょう…あまーーーーーーーーーい ! 実際には全然使えんのですよ、これが ! というか、とにかくシステムへの入力がうざい。


例えば、私が A 銀行」にアプローチを開始したとしましょう。新規顧客にアプローチを開始した場合には、まず「見込み客(Potential)」としてシステムに登録しなければなりません。登録しなければタイムシート上は何もせずに遊んでいたことになるので、登録せざるを得ないのです。登録すると、US 本社の SFA チームから自動返信メールが来ます。


「A 銀行に対するアプローチ方法と契約見込時期および金額を書きなさいよー」


(つい先日初めて会ったばかりなのに、そんなもんわかるかぁー !)と言いたいところですが、機械に文句を言っても仕方ないのでしぶしぶデッチ上げの見込契約を入れておきます。で、入力したが最後、毎週進捗報告をしなければなりません。


「あの件はどーなったんだー、どーなったんだー、どーなったんだー…」-あまりにも面倒くさいので、頭の中をエコーしてる感じ(今は決算時期で忙しいんだから、先方の時間が取れないんだよ !)


「そもそも、お前のアプローチが悪いんじゃないのかー、悪いんじゃないのかー、悪いんじゃないのかー…」(うるせーな、今に見てろよコノヤロー)


まぁ、あまりの面倒くささとしつこさに、反発心からかえってやる気が出るという意味ではいいのかもしれませんが…


で、契約が取れたら取れたで、また一苦労。


「今回のアプローチを成功事例としてグローバルに紹介してやるぞー。お前のやり方を詳しく説明しろよー(もちろん英語でー)」(あのなぁ……こんなもん、「運」なんだよ、「運」。または気合 ! 以上 !)


私の対応もいかがなもんかというところですが、それ以上に問題なのは、うちの会社の SFA システムの作り方にあるのでしょう。SFA システムで最も重要なことは、データ入力が負担に感じないような仕組みを作ることなのですから。


私自身は、このシステムのことを「鵜飼いシステム」と呼んでいます。US の部門ヘッドが「鵜飼い」で、われわれはひもにつながれた「鵜」なのです。このシステムの情報は、そのほとんどがヘッドの自己満足に使われていて、鵜にとっては役立つどころか苦痛以外の何物でもありません。


ここ数年、業務の IT 化はすさまじいスピードで発展してきました。一方で、どうしても IT 化できない部分というのも存在するように思います。外資系企業の合理化は、非常に巧いと思う反面、あまり効果を上げていない部分もあります。外資系企業で働くうえで重要なことは、本社が与えてくれたものをそのまま使うのではなく、よくない部分・日本に合わない部分は「良くない ! 合わない !」と言うことではないでしょうか。私の会社はまだまだ甘いのですが、それをわからせるよう、私も本社と闘っていきたいと思っています。そう言えば、IBM にしてもマクドナルドにしても、一流の外資系企業というのは、商品も営業も日本風にアレンジして成功したところがほとんどではありませんか !


Jim 「Hey, Takashi !」


(おいおい、また呼んでるよ…SFA の件、告げ口されちゃったのかな…)


私 「What ? (どうしたの ?)」


Jim 「タカシお前、SFA の件で、なんか US 本社とトラブったみたいだな…」


私 「いや、あの、その…」


Jim 「OK、OK! 実はオレも以前からウザイ(messy)と思っていたんだよ。同じ文句を言っておいたから、安心しな !」


(ほっ…)  


Jim 「ただし !」(え?)


Jim 「これからはオレが作ったこの SFA シートで進捗管理をすることにしたから。わかったな !」


…こ、こっちの方がもっとウザイ…結局、鵜飼いがそばに来ただけじゃねぇか…みなさんも、SFA にはご用心ください。とほほ…

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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