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タカシの外資系物語

外資系における「英語力」再考2003.06.27

皆さんは「チャーリーズ・エンジェル」という映画をご存知ですか ? この 7 月にも「チャーリーズ・エンジェル -フル・スロットル-」という新作が公開されます。


で、実は映画の話はどうでもよく、先日映画館でこの映画の予告編を見た私はあることに愕然としてしまいました。何にショックを受けたかというと、副題の「フル・スロットル」( 英語では「full throttle」 ) の「発音」に、です。


「こんな発音、日本人には到底無理だな … 」


無理やり日本語で表記したとすると、「ふー、すろっろー ( 舌かみながら )」。こりゃ無理です …


私はこれでも外資系企業で働いています。上司はアメリカ人ですし、部下にも外国人が 2 名います。英語を使う場面も、少なくとも普通の日本人より多いはずで、いきおい発音もうまいはず・・・・・・なのですが、おそらくこんな発音ができる日本人は、私の会社にはいないと思います。


では最初からいなかったのかというと、そうではありません。ときどき発音が「超」うまい人も見かけるのですが、いつの間にかいなくなってしまいます。うちの会社の英語のレベルが低いから ? いやいや、むしろ逆の理由、つまりその人がうちのレベルについていけなかったことが理由で、辞めるケースが多いとのこと。これは一体どうしてなのでしょうか ?


簡単に言うと、「外資系=英語力=発音のうまさ」と考える人が、あまりにも多かったことが挙げられると思います。これは、採用する側もされる側も同様に言えることです。確かに発音が上手いにこしたことはないですが、実はそんなものはどうでもいいのです。アメリカに行けば、5 歳の子供だって「ふー、すろっろー」が言えます。こんなもの、大したスキルではないのです。重要なことは、英語そのものを話すことや発音のうまさではなくて、「英語で何ができるか」ということ。もっと言えば、英語ができなくてもかまわないのです。「英語を母国語とする人の中に入って、何ができるか」ということが重要なのです。


英語ができなくてもいいってのは、ちょっと乱暴なんじゃない ? と思われる方も多いのではないでしょうか。これが言い過ぎではないことを証明するために、私がロンドン滞在中に経験したエピソードを紹介しましょう。


2 年前のこと、私はロンドンでのプロジェクトに参加していました。私の英語は「ペラペラ」というわけではないですが、前職の銀行でもそれなりに使っていたので、「ビジネス英語」としては少しばかり自信を持っていました。しかしこれが大きな誤りの第一歩。銀行員時代の私の英語は、「日系企業のビジネス英語」であって、「グローバル企業のビジネス英語」ではなかったのです。


「日系企業のビジネス英語」とは、本社が日本にある企業内で使用される英語を指します。何と言っても日本人は本社の「偉いさん」ですから、海外の支社・支店の外国人スタッフも、その下手な英語をなんとか聞き取るように努力してくれます。本社の「偉いさん」である我々日本人は、彼らの血のにじむような努力も知らずに「お ! 俺の英語って、けっこうイケルじゃん」と勘違いをしてしまいます。本当は全然イケてないにもかかわらず。


一方、「グローバル企業のビジネス英語」とは、流暢に話せるのが常識の世界です。そこに妥協はありません。日本人だから … と甘く見てくれないのです。冒頭の「ふー、すろっろー」ならば、 30 回ぐらい連続して言える程度のレベルです ( これはあまり関係ないですが )。ということは、大多数の日本人にとっては、「グローバル企業のビジネス英語」を使うことは不可能に近いということになります。


しかし、それもまた違うのです。私はロンドンでそのことに気付きました。私がロンドンで体験したのは、まず自分の英語 ( 発音 ) が全く通じないということです。何を言っても眉間にしわをよせて「だめだこりゃ」みたいな表情をされたのです。じゃ、ヒアリングはどうかというと、( 特にロンドンということもあったのですが ) アメリカン・イングリッシュに慣れていた私にとっては、彼らが話すブリティッシュ・イングリッシュが聞きづらいのなんの。イギリス人とアイルランド人が話している会話なんて、何を言っているのか、さっぱりわかりませんでした。


そんなこんなで、ロンドンについてから 3 ヵ月後の私は、めっきり「寡黙な人」になっていたのです。それがいつの頃からでしょうか。急に私の話が通じるようになってきたのです。自分としては寡黙なまま、大した英語を話しているわけではないのですが、聞き手が私の話を理解してくれるのです。


「That's "English" communication, Takashi!」


当時の上司だったエレンは「それこそ英語によるコミュニケーションだ」と言いました。ロンドンに滞在して 3 ヵ月後の私は、英語を話さなくても身振り手振り・表情によって、十分な意思疎通ができていたのです。


つまり、「グローバル企業のビジネス英語」とは、交渉ごと ( ビジネス ) をする「体験」を通して、自分が伝えたい意見のポイントを整理して、( 英語で ) 表現するコツを学習することがモノを言うのです。逆に言うと、発音がうまいだけの英語では、外資系企業では使い物にならないのです。


さて、話を戻しましょう。最近はわが社でも、かつての「英語の発音だけしかできない人」に懲りてか、中途採用でも英語力を問わない方針に変えたようです。その代わり、最終面接までの間に必ず 1 回は、外国人のマネージャーとの面談をセットし、その人がどのようにして「グローバル企業のビジネス英語」を使いこなすのかを見るようにしているとのこと。その際のポイントは、もちろん英語ではなくて、現実的な「コミュニケーション能力」とのことです。つまり、その外国人マネージャーと意思疎通がうまく出来れば、英語を使う必要が無くなるということになります。


さてさて、とは言うものの、英語の発音だって、うまいにこしたことはありません。私も発音では非常に恥ずかしい思いをしてきました。 (『 英語の重要性 ( 1 ) ( 語学は必須 ? )』 参照 )


Practice makes perfect! 何事も練習が肝心です。ではご一緒に、「ふー、すろっろー、ふー、すろっろー、ふー、すろっろー … 」皆さん、くれぐれも舌を噛まないように …

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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