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タカシの外資系物語

「コンシェルジュ」の訳って ?2003.05.23

"Takashi, You are Concierge !" ……なんじゃこりゃ !


先日、NY 本社から私のところにこのようなタイトルのメールが来ました。


「コ、コンシャーゲ ? よ、読めん…(T-T)」


"Concierge" の語源はフランス語で「コンシェルジュ」と読みます。元々は「門番」という意味だったのですが、現在ではホテルやデパートなどにいる「案内係」のことを指します。案内係と言っても、単に道案内をしていればいいわけではありません。「ワインのおいしいイタリアン・レストランを紹介して欲しいんだけど」、「結婚式に何を着ていけばいいかしら ?」…というような、多様な質問に対応しなければならないのです。最近では、「ピロー(枕)・コンシェルジュ」や「シネマ(映画)・コンシェルジュ」なんてのも登場しているようで、生活のあらゆる分野に「コンシェルジュ」がはびこっているようです。


さて、私は東京オフィスの「マーケティング委員会」に所属しています。これはグローバルベースでの取り組みなのですが、要は自分のオフィスが存在する国での会社の知名度を UP するために活動している社内組織です。マーケティング委員会は、毎年グローバル共通の「キャッチフレーズ」のようなものを考えます。そして今年のキャッチフレーズこそ、この「コンシェルジュ」だというわけです。


「『あなたはコンシェルジュです !』 って、いきなり言われてもなぁ… 困ったもんじゃ…」私はマーケティング部門のマネージャーである Caroline に電話してみることにしました。


Carol 「ハイ ! タカシ。どうしたの ?」


私 「あのさぁ、メールのことなんだけど…」


Carol 「あぁ、あれね。書いてある通りよ」


私 「いやいや、何にも書いてないじゃん。いきなり "You are Concierge !" って言われてもさ」


Carol 「コンシェルジュよ、わかんない ?」


私 「それぐらいのこと、わかるけど(本当は電話する前に思いっきり調べたのですが…)日本人ってさ、ああいう conceptual (概念的)な言い方って、伝わりにくいんだよね。だから、ああしろこうしろ、みたいな指示がないとさ…」


Carol 「あら、ずいぶん bother (面倒)なのね」


私 「でもさぁ、委員会もえらそうなこと言えないぜ。例えば去年のキャッチフレーズって何だっけ ?」


Carol 「"Business supporter" よ」


私 「その前は ?」


Carol 「Best friend」


私 「……なんか統一感もないし、そもそもダサくない ?」


Carol 「もう、うるさいわね ! 私が決めたんじゃないんだから、あなたは自分の部門での取り組みを考えてよ。じゃね !」  ガシャン !


………


確かに委員会の言い分もわかるのです。どうも当社は同業他社と比べても、顧客への「食い込み度合い」が足りないようで、顧客から真っ先に相談を受けることが少ないのです。当然のことながら、大きな案件になればなるほど、早くから関与している方が有利なわけですから、それは業績にも影響を及ぼしてきます。「コンシェルジュ」な会社 = 顧客にとって身近で、親身で、頼れる存在になることで、そのような会社の弱みを克服しようとしているのでしょう。


私だって委員会が考えていることぐらいわかります。 でもちょっと違うのです。これではうまくいかないような気がするのです。まず、顧客のターゲットがよくわかりません。マーケティングで重要なことは、だれを対象にしているか、ということ。例えば三越の「お帳場制度」、これも一種のコンシェルジュみたいなもんですが、これだって上得意の客をターゲットにしたものです。一方、うちの会社の場合には、どこのだれを対象にしているのか、既存客か新規客か、そこのところがさっぱりわかりません。


次に、これは日本だけに当てはまることなのかもしれませんが、「コンシェルジュ」という発想自体が何となくパッとしないような気がします。というのは、日本人は「へいへい、何でございやしょう ?」 みたいな、「御用聞き」、「使いっ走り」にお願いするのは慣れているのですが、少しお高くとまった(雰囲気のある)コンシェルジュに相談するのには慣れていないと思うのです。 


少なくとも私はあまり好きではありません。お店に入って、「いらっしゃいませ !」のあと、人のうしろにぴったりくっついて離れない店員、「これは今年の新作で……」って誰も聞いとらんじゃろーがぁぁぁ ! 服ぐらい、ゆっくり選ばせてくれーーーーーーーーー ! そのあたりのところを、Caloline に言っておこうかなと思ったのですが、うまく伝わらなかったようです。仕方がないので、メールで彼女に送っておきました。


翌日のこと、早速 Caloline から連絡がありました。


私 「Hi ! Carol, What’s new ?」


Carol 「なんかメールもらったみたいなんだけど、私にどうしろって言うの ?」


私 「いや、ちょっと気になったもんだから……(逆ギレだよ、おいおい、困ったなぁ)」


Carol 「昨日も言ったと思うけど、私が決めたんじゃないんだから、あなたは自分の部門での取り組みを考えてよ。 じゃね !」  ガシャン !


………とても「コンシェルジュ」を売り物にしている会社とは思えない対応ですな。 トホホ。


ま、ウダウダ言っていても仕方ないので、私は自分が所属する金融部門の日本人マネージャーに、今年のマーケティング・コンセプトを伝えることにしました。 「コンシェルジュ、コンシェルジュ……どうもしっくりこないなぁ……」翌日私が発信したメールのタイトルは、以下の通りでした。


「みなさん ! あなたはクライアントの 『黒子』 です……」


黒子というのは、芝居に出ている役者がひとりではできないような動作を助けたり、セリフを忘れた場合、こっそりと教えてやったりします(Prompter ですね)。自分は出過ぎることなく、顧客を助ける。。。これこそ、タカシ流「コンシェルジュ」のイメージです。ちょっと意味は違うのですが、この方がいいと思いません ? みなさん !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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