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タカシの外資系物語

外資系を目指す諸君へ ( その 2 )2003.04.04

前回の続き )「本日タカシさんに面接していただくのは、こちらの 10 名になります」


人事部の担当者から 10 名分のエントリーシートを手渡された私は、面接会場である会議室に向かいました。エントリーシートというのは履歴書みたいなものなのですが「志望動機」、「あなたの強み」などが規定の履歴書より具体的に書かれています。「履歴書兼自己アピール書」って感じでしょうか。それにしても、10 名ともエントリーシートをネットで提出しているため文字がワープロ打ちになっているのは、いかがなものでしょう。字のうまい下手で合格を決める気はないのですが、丁寧に書いているかどうかって、けっこう参考になったりするんですよね。


さて、いよいよ面接開始です。面接会場をのぞくと着慣れないリクルートスーツをまとった学生諸君が緊張した面持ちで待っている……はずだったのですが、あれ ? なんと 10 名中 2 名が私服で座っているではありませんか。私は面接会場に入る直前で思いとどまり、人事部の担当者に確認しに行きました。


「あのー、私服の人が約 2 名いるんですけど……いいんっすかね ?」


「えっ ? あ、そうですか。確かに服装は規定しなかったんで、そういう学生もいるかもしれませんね。ま、気にしないで、あくまでも人物重視で評価してください」


人物重視といわれても、スーツを着てくるのが常識ではないでしょうか。少なくとも、当社では金曜日のカジュアル・フライデー以外はスーツで仕事をしているわけですから。


「ま、いいか……」


私は気を取り直して、面接会場に入っていきました。「こんにちは ! 本日の面接を担当するタカシです。よろしくお願いします !」


――― しーーーーーーーーーん ―――


( 挨拶もできんのか、こいつら …… )


「えーー、では自己紹介から始めてもらいますね。事前に説明を受けていると思いますが、うちの会社の採用方針は人物重視ということで、エントリーシートにも大学名を入れてもらっていません。ですから、自己紹介でも、大学名を言っていただかなくても結構です……じゃ、A さんから」


「は、はい ! ○○大学経済学部の A です。よろしくお願いします ! 私は大学でベンチャービジネス論を研究しており……」


(…… だから、大学名いらないって言ってんのに ……) 面接は、「マニュアル」 ( 前回コラム参照、『グループ・インタビュー 面接官マニュアル』のこと ) 通りに順調に進んでいきました。質問は以下の通りです。


-「当社を知ったきっかけはなんですか ?」(導入-応募者の緊張をほぐす)


-「あなたのセールスポイントを挙げてください」( 情報収集-応募者に関する基本的な情報を収集する。各自に対してどこを掘り下げるかを考える材料となる )


-「会社選びで重視していることは何ですか ?」( 掘り下げ-さらに掘り下げていき、本質を理解する )


1 時間の面接時間もちょうど半ばに差し掛かった頃でしょうか。私服学生のうちの 1 人がいきなり話し始めました。


私服学生 1  「あのー、もっと意味のある質問してほしいんっスけど。そんな当たり前の質問で、僕達の何がわかるんスかね」


(……なんじゃ、こいつ……)


私服学生 1  「こっちもそれなりに人生かけてんスから、そっちも真剣にやってくんないと……」


( ぬぁんだとぉ、コノヤローーー……ス、スって、「です」と言えんのか ! )


タカシ 「真剣にやってるつもりなんだけどね。どの辺が真剣じゃないように感じたんでしょうかね ?」


すると、もう一方の私服学生も議論に「参戦」してきました。


私服学生 2  「質問が面白くないですよね。そんな質問じゃ差が出ない」


( あ、あのなぁー ! )タカシ 「確かにこれまでの質問では、大した差は出ていないですね。だけど、回答しているのはみなさんの方なんですよ。ということは、ほとんど差がない回答をしているのはみなさん自身なんですけど、ね」


私服学生 1  「だからぁ、出す方が悪いっての」


ブチッ ! ( 切れた音 )「てめぇ、イヤなら今すぐ出てけよ ! 不合格 !」 私は思わず発しそうになった言葉をグッと飲み込んで、次のように言いました。


タカシ 「当社が欲しいのは、斜に構えたアウトローではなく、地道にみんなと協力してやっていける人材です。この程度の面談すら協調できないような人は、うちの会社にきていただかなくて結構です !」


――― しーーーーーーーーーん ―――


(ま、不合格って言ってるようなもんだけど……)


面接終了後マニュアルを読み返してみると、次のような「面接者心得」が書かれていることに気付きました。


1. 学生からの質問には誠実に答えてください。不快に思うことがあっても口に出さないように。


2. 合格・不合格の判断は、その場で表明しないでください。


3. 「あなたは当社に向いていない」などの発言はしないでください。


結果的に、私はこれら心得のうち、どれひとつとして守れなかったことになります。でも、間違ったことをしたとも思いません。とかく外資系は日系企業に比べると「自由な職場」というイメージがあります。しかしここで言う自由というのは、勝手気まま、わがままに振舞っていいこととは違います。また、外資系では目立つ学生を選ぶのだと勘違いして、無理に「奇をてらう」学生さんがいます。これも違う ! 世界中どこの企業でも、常識のない人は欲しくありません。


結局、私は次の 3 名を選びました。名前の後にあるカッコ内が選んだ理由です。もちろん、私服学生 2 名には遠慮してもらいましたが……


・ M さん(私が「BPR」という言葉を使ったとき、知ったかぶりをせず、「言葉の意味がわかりません。教えてください」とたずねた。参加者の中で、一番正直だったから)


・ F さん(自分の HP を作っていく中で Java プログラミングの面白さを覚え、それを活かした仕事につきたいと考えている。参加者の中で、やりたいことが一番具体的だったから)


・ Y さん(当社に受からなければ、大学院 ( 化学系 ) に行くと明言。当社を含めた業界研究は全くしていないようだが、自分の専門である化学の話については、素人の私が聞いても内容がよくわかった。参加者の中で、一番説明がうまかったから)


いかがでしょうか ? 外資系といっても、最終面接まで残るのは常識を有し、真面目で、かつ何か「光るもの」を持っている人だということですね。


( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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