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タカシの外資系物語

スランプ脱出法2003.02.21

特に大きな失敗をしているわけではないのに、仕事が思うようにいかないとき、みなさんはどのように対処していますか ? いわゆる「スランプ」のときの過ごし方は、外資系企業に勤める上で非常に重要です。


私の場合も学生時代から幾度となくスランプを経験してきました ( いまだにずーーっと、スランプという説もありますが )。勉強しても成績が伸びないとか、営業しても成果があがらないとか …… 自分ではスランプにいることを自覚し、それなりに悩み、もだえ苦しんでいるのですが、その一方で外部の人からそのことを告げられることは、ほとんどありませんでした。おそらく私がスランプであることは、それなりに親しい人の目から見れば明らかだったのでしょうが、だれもがハレモノをさわるように、または気をつかってくれているのか、そっとしておいてくれたように思います。


外資系企業に入って驚いたのは、自分がスランプに陥っていることを、上司から告げられるということです。


Jim 「Takashi, you're losing your form, now... ( タカシ、自分の型を見失ってるぞ=スランプに陥っているぞ )」


「そんなことわかってるよ ! しばらくそっとしておいてくれないかな ! 」と言いたいのはやまやまなのですが、スランプに陥っているのは事実なわけで、Jim にしてみれば一日も早く私が立ち直って、彼の収益に貢献してくれなくては困るわけです。


私 「OK, Jim. I do understand, try to analyze myself...( わかってるよ、Jim。落ち着いて分析してみるよ )」


実はここで言う、「Self analysis ( 自己分析 )」というのが非常に重要なのです。スランプというのは、ある日わけもなくやってくるのではなく、それなりの理由がある場合がほとんどです。ということは、その理由を取り除けば、スランプから早期に脱出することが可能なのです。


1. 自分の力で何とかなる場合

このケースは 2 つに分かれます。まず、前にもやったことだから、慣れていることだから、と手を抜いている場合です。これは気合を入れ直して、初心に戻れば直ります。もう 1 つは、今の自分のスキルではできないことをやろうとしている場合です。この場合は結構厄介でして、結局のところ自分の非力さを認めない限りは立ち直ることができません。私の場合の対処法は、会社の先輩などに苦労話を聞いて、「これほどの人でも苦労したんだな …… 」なんて考えて、気を紛らわすようにしています。が、正直言って、なかなか吹っ切れないのは事実です。


2. 自分の力ではどうにもならない場合

私の自論では「スランプ」というのは大抵このケースです。1. のスキルがないケースと似ているようで、違います。1. のケースはスキルを獲得するまでは絶対できるようにはならないのですが、このケースはそのうち ( 時期が来れば ) できるようになります。少し科学的に説明してみましょう。


仕事にかける時間 ( ≒努力 ) と成果の関係を表したものを「学習曲線」といいます。時間を横軸に、成果を縦軸にとった場合、多くの学習曲線では最初緩やかな傾斜を描き、途中から急に傾斜がきつくなります。つまり、最初の段階では初体験であったり慣れていなかったりして、なかなか成果が上がらずに試行錯誤を繰り返しますが、そのうちに慣れてくると能率が急に増してくることを示しています。


私は、スランプに陥るほとんどのケースは、学習曲線の初期に起こると考えています。つまり、仕事がうまくいかないのは怠慢やスキル不足のせいではなく、言わば起こるべくして起こったもの、そのうち時期が来れば自然と解決されるもの、というわけです。


このように考えてみると、何だか気持ちが楽になったような気がしませんか。スランプというのは、実は状況を冷静に見極めるのに絶好の機会です。かつ、大抵の場合はほんの些細なことに悩んでいることが多いわけですから、あまり考えすぎずに、あくまでも自然体で接することが重要です。


Jim 「Takashi, can you come back into your form? ( タカシ、自分を取り戻すことができたかい ? )」


私 「あぁ、Jim。あんまり考えすぎないようにするよ。今はプロジェクトが始まったばかりで、まだカーブ (curve) が緩やかなんだと思うんだ。もう少しでエンジンがかかってくると思うから」


Jim 「OK, OK. It’s easier than one thinks. Take it easy. ( その通り。案ずるより生むが易し、だよ。気にすんな。 )」


普段は厳しい Jim ですが、部下が苦しんでいるときには、懐の大きいところを見せてくれます。外資系企業においては、ドライなレイオフを実施する一方で、社員の過労死や自殺というような話が比較的少ないのは、こういうところから来ているのかもしれませんね。


Thank you, Jim!

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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