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タカシの外資系物語

面白くない仕事2003.01.24

「タカシさん、相談があるのですが ……」


スタッフのユウジ君が、突然私の前にやってきました。何やら真剣な顔つきです。


私 「どうしたの ? 」


ユウジ 「実は … 今やっている仕事が面白くありません。本当に自分がやりたい仕事は別にあるような気がして、将来を考えると不安でならないのです」


私 「で、どうしたいの ?」


ユウジ 「もっと大きなプロジェクトで、今よりも上流 ( ※ ) の仕事がしたいんです ( ※ システム開発における「上流」とは、いわゆる要件定義作業=ユーザーからのニーズをまとめる作業を指します。それに対して「下流」とは、プログラミングやテストそのものを指します )」


私 「ユウジって、何年目だっけ ?」


ユウジ 「2 年目ですけど …」


私 「そんなに焦る必要ないんじゃない ?」


ユウジ 「でも、自分の人生は自分で切り開かなけりゃ、だれも助けてくれませんよね ! 自分のことは自分でやりたいんです ! 」


このような場合、私の心の中は、「ハイハイ、勝手にすれば」ってのが正直なところ。どうも入社 2 ~ 3 年目ってのは悩める年頃のようで、このような「わけのわからない」悩み相談をよく受けます。


特に外資系企業の場合、通常の日系企業よりは出世のスピードが早く、他社への引き抜きも多いわけで、若い諸君が「誘惑」にかられる要素がゴロゴロ転がっています。確かに、私が勤める会社でも、入社後 2 ~ 3 年で転職する人が結構います。また、それなりに優秀 ( だと思われる。その後どれくらい伸びるかはわかりませんが … ) 人材がそうなるケースが多いようです。せっかく苦労してリクルートした人材が、今まさに会社を去ろうかとしているわけですから、それこそお家の一大事。マネージャーの私も何とかしなければならないのでしょうが、実はどうしようもないのです。以下理由。


( 理由その 1 ) 何をどうしたいのか、わからない。「自分がやりたい仕事は別にあるような気がして … 」と言っている通り、何となくそういう気がしているだけのことが多い。


( 理由その 2 ) 「今やっていることも、将来必ず役に立つよ。我慢して」と説得したところで、役に立つかどうか、将来にならないとわからないのは事実。現在、その仕事自体を疑問視している人に言っても理解されない。


( 理由その 3 ) 若手がこのようなことを言い出す場合、結局は楽してそれなりにカッコいいことをしたいと考えている場合が多い。システム開発で「上流をやりたい」というのは、まさにその典型。


というわけで、私はユウジ君に、「僕もよくわからないな。自分で考えて、自分で結論出しなよ。君が言う通り、自分の人生なんだから」と言いました。


ユウジ君は、「タカシさんはマネージャーのくせに、若手の相談に乗ってくれない。とんでもないマネージャーだ」と思ったかもしれません。しかし私は私なりに、ユウジ君に回答というか、示唆を与えたつもりです。「自分で考えなさい」と。


実際のところ、ユウジ君の言い分はワガママ以外のなにものでもありません。会社から給料をもらっている以上、つべこべ言わずに働け、というのが私を含めた管理職の本音です。しかし一方では、私も若い頃には、ユウジ君と同じような悩みというか、「ワガママ」を常に抱いていました。「こんなくだらない仕事はしたくない。同期のあいつはもっとカッコいいことをしている。自分は恵まれていないのではないか …」


で、結局どうだったかというと、私の場合は若い頃にやった仕事で、ムダだった仕事はひとつもないというのが正直な気持ちです。例えば、私が新卒で勤めた銀行で、2 年目にやっていた仕事はシステムの「運用設計」です。システムの「運用設計」というのは、出来上がったシステムをどのように使っていくか、もっと具体的にいうと、何時何分にシステムをクローズして、バッチ処理を開始して、翌日何時に開局して …… などというのを取り決めることを指します。実は非常に重要な仕事なのですが、企画や開発に比べると「縁の下の力持ち」的な要素が大きく、神経を使う割には、実際にあまり面白くありません。ですから私は来る日も来る日も、「開発やらせてくれー」と言い続けていました。運用設計の仕事は 1 年ぐらいやりましたが、この経験が、現在非常に役立っています。同僚のマネージャーの中でも運用設計をやった経験のある人がほとんどいないため、いろいろなところで重宝がられます。逆にシステム開発の経験のある人は、ある意味では「腐る」ほどいますから、自分の存在意義という意味での「差別化」にはつながりません。


話を元に戻しましょう。以上のようなことは、経験しないとわからないことだと思っています。私も若い頃に、多くの先輩から同様の話を聞きましたが、そのときは全く頭に残りませんでした。今になって、なるほど、そういうことを言っていたのか、と思い返すことが多いのです。


若い人の中には、ユウジ君のように現状の自分に危機感を持ちつづける人と、何も考えずに与えられたことだけを日々こなしている人の 2 種類があります。当然のことながら、見込みのある人は前者なのでありまして、そういう意味では、ユウジ君には思い悩んで大きくなってもらいたいと考えております …… っと、ボスが何やら呼んでおるようですな。


Jim 「タカシ、前期の収益悪化の理由を、じっくりと聞かせてもらおうかな」


… う、うーーぬ … ユ、ユウジくんよ、マネージャーになると、純粋に悩む時間もなかなか取れなくなるので、大いに悩むように … トホホ … もう、悩みたくないよぉーーー。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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