グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

タカシの外資系物語

コンサルタントになろう ! ( その 2 )2002.12.06

前回の続き )「コンサルタントは付加価値で勝負 ! 」なんてことをよく言われます。そもそもコンサルタントは目に見える商品を売っているわけではありません。また通常のサービス業のように、すぐにその成果が現れるようなことをしているわけでもありません。


自分で言うのも何なのですが、「コンサルタントって、なんてヤクザな仕事なんだろう ……」と思うことがあります。その気になれば、それほど困難なことではないこと、すなわちコンサルタントに頼まなくてもできるようなことも結構あるのです。しかし、コンサルティング・ファームはそれなりに繁盛しています。これは一体どうしてなのでしょうか。


みなさんも身に覚えがあると思うのですが、みんなが薄々気付いていて、でもだれも言い出せないようなことがあります。例えば、どう考えても必要のないチェック作業や、役員連中の経費無駄遣いなど。いつかだれかがやってきて、「こんな作業はムダ !」「専務はお金使いすぎ !」なーんて言ってくれるのを、心の奥で期待していたりします。で、みんなが薄々気付いていることというのはかなりの確率で当たっていることが多いわけで、そういう意味では、できるだけ早くその「だれか」がやってきて、解決してくれるにこしたことはありません。


私は、そういう「みんなが思っているムダなこと、良くないこと」を解決するのは、企業のシステム部門の仕事だと考えています。「システム」という言葉からイメージするのが PC やワークステーションのような、いわゆるハードウェアであるため、システム部というのはプログラミングばかりやっている部門ととらえがちです。でもそれは大間違い。「システム」というのは「会社の仕組み」そのものを指しているのです。会社の業務の多くはコンピュータで処理するため、彼らはあたかもプログラミングばかりやっているかのような印象を受けますが、別にコンピュータを使う必要はありません。手作業で済むなら、それでいいのです。今までやっていたチェック作業がムダなら、止めてしまえばいい。役員が社用車を使いすぎているのなら、電車で通勤してもらえばいいのです。


コンサルタントというのは、クライアントである企業に入り込んで、そういう矛盾を指摘するのが仕事です。そして、これは本来、その企業のシステム部門がやってしかるべき仕事だと、私は考えています。


「どこからともなく現れて、企業の矛盾を指摘して去っていく。なんてカッコいいんだろう ……」と思っている方、それはかなり甘い。実際は、そんなにうまくはいきません。例えばここに、傍若無人なふるまいをしているイジメっ子がいるとしましょう。周りのみんなは注意したくてもできません。お、ちょうどそのとき、最近引っ越してきたばかりで状況が見えていない少年がやってきました。「おいおい、あいつに言わせようぜ」なんてわけで、みんなのおやつと引き換えに、その少年はイジメっ子の前で、次のように言うのでした。「弱いものをいじめちゃいけないよ。ぼくが相手だ、かかっておいで !」


つまり、何が言いたいかというと、コンサルタントというのは実はそんなにカッコいい仕事ではないということなのです。確かに、依頼主からお金をもらっているわけですから、やるべきときにはやるでしょうよ。しかし、よく考えてみてください。どんなに正義感の強い人でも、道ですれ違うすべての人を対象にして、「それは良くないんじゃないか」「君は間違っているかもな」なんて言って回る人はいないのです。余程の人でない限り、多くの場合は見て見ぬふりをして生活をしていたりします。その方がかえってスムーズに行くときもあります。ですから、私も仕事をしていて、「そんな細かいこと、どうでもいいじゃねぇか、ったく ……」と言いたくなるときが、実は頻繁にあります。


それから、私がコンサルタントをやっていて一番虚しく感じること。それは、結局のところ、自分自身の矛盾を解決しているわけではない、つまり自分の会社がよくなっているわけではないということです。


私は前職の銀行員時代にシステム部に所属して、今と同じような仕事をしていました。もちろん今の方がスキルも上がっていますから、仕事そのものが短時間で要領よくできるようになったのは事実です。でも何か物足りなさが残るのです。それはおそらく、コンサルタントという仕事が、所詮「他人事」だということではないかと考えています。クライアントの仕事の仕組みを変えて合理化しても、大規模なシステムを導入しても、私自身がうれしいわけではありません。確かにプロジェクトが終わればホッとして、開放感という意味ではうれしい気分になりますが、銀行時代にシステムを作り上げたときの感動に比べれば、やっぱり物足りなさが残ります。個人的には今の仕事に大きな不満はないのですが、この点だけは不満と言えば不満ですね。


コンサルタントから起業する人が多いのも、こういうのが背景にあるのではないかと思います。つまり、自分で会社を持つことによって、感動をわが身のものとしたい。私も個人的には、ずっとこの仕事をやっているつもりはありません。将来的には、自分で起業するかもしれませんし、また、どこかの企業 ( コンサルタント以外の ) に転職するかもしれません。いずれにしても、今やっていることは、そのときの予行演習としては十分なものなのではないかと考えています。


「コンサルタントって、楽しいですか ? 」


「ええ、もちろん。だって自分が本当にやりたいことを実現しようとするとき、必ず役に立つスキルを身に付けることができるのですから ……」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

ご意見・ご感想フォーム

合わせて読みたい

---