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タカシの外資系物語

リーガルの重要性2002.05.10

先日、私が勤める外資系企業で、「リーガル・トレーニング」が実施されました。 "Legal Department" ( 法務部・特許部に相当 ) が主催したもので、研修の主旨は、社員ひとりひとりが「法律の重要性」を理解し、法律上のトラブル(リーガル・リスク)を極力回避しようというものです。


法律のトレーニングと聞くと、何やら六法全書片手に難しい条文に取り組むようなイメージですが、実際には、「顧客の情報は漏らさない」、「メール送信は宛先に注意」などという、ごくごく当たり前の話をするだけです。しかし、バカにしてはいけません。このように当たり前のことを繰り返し繰り返し社員に説明することこそ、実は外資系企業の強さなのです。


私の前職である、銀行を例に取ってみましょう。日本の銀行はどうしてあのような、巨額の不良債権を作ってしまったのでしょうか。それは、「リスクの高いところにオカネを貸してはいけませんよ !」という、ごく当たり前のことを忘れてしまったからです。誰もが当たり前すぎて、口にしなかったから、当たり前のことがボヤけてしまったのです。私が言うのもなんですが、日本の銀行員は非常に優秀です。優秀であるがゆえ基本的なことをおろそかにして、大ヤケドをしてしまったのが、今の日本の銀行なのです。


話を戻しましょう。前述の通り、外資系企業では「基本的なルール」を徹底します。このことを「リーガル ( 法律 )」と言っているわけで、「商法○○条△△項」の話をしているわけではありません。


今回のリーガル・トレーニングのテーマは、「知的財産権」でした。私が所属するコンサルティング・ファームのような業種では、クライアントの情報はもちろんのこと、自分たちの情報 ( 方法論やスキルなど ) にも非常に気を遣います。


( リーガル担当者 )「…… うちの会社にもともと存在する『知識』については、クライアントに帰属しません ……」


( 私 )「あのぅ、ちょっとわからないんですが …… うちの会社にもともと存在しているか、そのとき思いついたかについては、どうやって判断するんですかねぇ ?」


( リーガル担当者 )「それは、あなたが判断して下さい。」


( 私 )「で、でも、方法論ってのは 1 つに決められるものじゃないし、ほとんどその場で思いついた結果、いろいろアレンジしてる、って感じなんですけど ……」


( リーガル担当者 )「じゃ、ベースになる部分がウチの知的財産で、その場でアレンジした部分だけがクライアントの知的財産です」


( 私 )「そんな無茶な ……」


以前にも書きましたが、私はクライアントとのプロジェクトで思いついたアイデアは、基本的にはクライアントのものだと思います ( No.97 『特許は誰のもの ?』参照)。だって、そのクライアントがオカネを出したからこそプロジェクトになったわけで、私が自宅で考えたものではないのですから …… ( ちなみに自宅では、ボーーーーとしていますので、そんな難しいことは考えません ! )


日本においても、司法制度改革審議会の「最終答申書」の中で、法曹人口の大幅な増員のために、法曹養成に特化した教育を行う法科大学院 ( いわゆるロースクール ) を、 2004 年から開設すべきだとし、具体的な検討に入ったようです。とかく日本では、ロースクールの話題は「超難関の司法試験が受かりやすくなる」という文脈で話されますが、本質はそういうことではありません。法律とは「ルール」なのです。あらゆるスポーツと同様に、ビジネスの世界でも「ルール」がなければ仕事はできません。しかし長い間、単一民族国家であった日本では、「ルール」が軽視され続けてきました。その結果が、今の日本の国際競争力低下につながっているような気がしてなりません。


六法全書に載っている法律を守るのは当たり前、いかに「グローバルビジネスにおけるルール ( 法律 )」を遵守することができるか、これが日本復活の決め手になると思います。


さて、 1 つ気になることが …… このコラムで私、わが社の「機密情報」をベラベラしゃべり過ぎてるのでは …… ま、いっか ……( 典型的な日本人の私でした )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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