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タカシの外資系物語

今日の会議はどこですか ?2002.02.08

みなさんの会社では、部屋に何かの名前がついているでしょうか ?


こんなことを聞くと、「こいつは何を言っとるんじゃい ? 」と思われる方も多いかもしれません。しかし、外資系企業では、会議室などの部屋に名前をつけることが珍しくありません。


例えば、私が勤める外資系企業の場合、会議室に「ヘラクレス」「ジュピター」「ケンタウルス」など、星や星座にちなんだ名前が付けられています。日本企業に勤めた経験のある私にとっては、「今日の会議はヘラクレスで …」などと言うのは、非常にこっぱずかしく、抵抗感アリアリなのですが、外国人の同僚にとってはわりと馴染みやすい名前のようです。


私はよく理解していないのですが、それぞれの名前にはそれなりの意味があるらしく、会議の目的によって使い分けている人もいるようです。


例えば、私の上司である Jim は、好んで「ジュピター」を使います。ジュピターとは「木星」のことなのですが、ギリシャ神話では「神々の王で天の支配者」という意味があるらしく、野心家の Jim にとっては居心地がいい響きなのかもしれません。


某外資系 IT 企業では、このようなコンセプトがもっと徹底しています。その企業では、「赤の部屋」「青の部屋」という 2 つの会議室があります。「赤の部屋」では、壁も床も机も赤に塗られており、そこに入った人は母の胎内に戻ったように感じ、自然にリラックスするそうです。この部屋は、部下からの相談事を聞くときに使用されており、決してたしなめたり、怒ったりしないとか。


一方「青の部屋」は、生命の源である大海原のイメージで、議論を戦わせる場、部下を厳しく叱責する場として設定されているそうです。


実は、私はこの企業との商談で、「赤の部屋」で打ち合わせをしたことがあります。確かに、終始先方のペースで話が進み、あれよあれよという間に、向こうに有利な商談がまとまってしまったように記憶しています。やはり、「母は強し !」というところでしょうか。


別の外資系企業では、会議室に、「Tokyo」「Paris」「Hong Kong」などの「世界の地名」を付けています。「午前中は Paris、午後から Singapore で打ち合わせ…」もしこのネーミングが世界的に使われているとしたら、「東京の Singapore」「シンガポールの Tokyo」など、ややこしくて仕方ないのでは、と心配しています( 余計なお世話でしょうかね … )。


また、外国人である私の同僚たちは、会議室のことを battlefield、war space(ともに「戦場」)などと呼んだりします。日本人の感覚からすると、「そんなオーバーな …」てな感じでしょうが、彼らはいたって真剣です。先日などは、"Our war space will be Jupiter, tonight !" というメールが来ました。これではまるで、「宇宙戦艦ヤマト」か「機動戦士ガンダム」の世界です。


そもそも英語で「会議」を意味する meeting の "meet" には、「会う、集まる」という意味のほかに、「( 意見が ) 一致する」という意味があります。できれば「バトル」なしに意見の一致をみたい、根っからの日本人である私としては、「あーぁ、また "戦争" … いや "会議" かぁ …。ふぅー」とため息をつく毎日です。


でもまぁ、弱音をはいてばかりもいられません。今日も、あと 5 分で "戦闘" が開始されます。よーし、気合入れるかな、っと。


「アムロ、いきまぁーす !」( って、ネタが古くてすみません … )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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