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タカシの外資系物語

女性総合職として2002.01.11

現在、私のチームにトモコさんという女性がいます。彼女は、大学を卒業して、某有名企業に「女性総合職 I 期生」として入社したものの、男性中心の文化に耐え切れず退社。アメリカの大学で MBA 取得後、外資系銀行を経て、うちの会社に入社してきました。 彼女の入社前に、私は上司から、彼女が私のチームに入ることを知らされました。


「ちょっと、やりにくいかもな。日本のお客さんに受け入れられるかなぁ…」


これが、正直な私の第一印象です。キャリアパスを聞く限りでは、バリバリのキャリアウーマンのイメージが先行していたからです。


さて、実際に彼女と仕事した結果、私の予想は「いい意味で」裏切られました。一緒に仕事をやる上では、非常にやりやすい人だったのです。


「外資系企業であっても、日本で仕事をする上では、日本企業に文化に合わせる必要があります。特にタカシさんのチームは、銀行をはじめとする金融機関を対象としており、そこでは女性が前面に出られない文化があることは理解しています。それならば、私は後方で業務を支援することでチームを支えます。ただし、フロントだろうがバックだろうが、貢献したことについては、平等に評価してください」


彼女が外資系企業に入社した理由は、まさにこの「平等な評価」でした。ま、この点については、うちの評価は彼女を満足させることでしょうが。


( トモコさん ) 「タカシさん、女性総合職というのは、非常に扱いにくい "人種" なんですよ」


( 私 )「トモコさん本人の口から、その言葉が出るとは意外だけど … 」


( トモコさん ) 「男性なら、いい大学を出て、いい会社に入ることが『当たり前』でしょ。だから、その通りになった人たちも、自分をそれほど特別視しない。だけど、女性で一流企業の総合職になった人たちには、男性にはない『エリート意識』があるんです。失敗は許されないというか、常に優等生でいないといけないというか … 」


ふむふむ、何となく思い当たる節があるような気がします。私が「キャリアウーマン = 何となくこわい」というイメージがあるのも、彼女達が持っている、男性にはない独特の「エリート意識」から来るような気がします。


一方で、企業における女性総合職も、そろそろ係長・課長に手が届く年次になってきました。しかし、せっかく昇進の話があったとしても、「自信が持てない」との理由で断る例もあるようです。


( トモコさん ) 「日本企業における女性の昇進って、実力で判断するというよりも、何となく女性を昇進させることによるニュース性っていうか、企業の先進性のアピールっていうか、そういう意味合いが強いんじゃないかって思います」


うーーむ、トモコさん恐るべし。私も以前から、そういう気がしていました。


( トモコさん )「私が外資系企業に期待しているのは、特別な存在としての "女性" という枠を取っ払った評価なんです。企業が収益を上げるためには、男性女性を問わず、本当に優秀な人に上に立ってもらわねばなりません」


現在トモコさんは、わが社の女性啓蒙活動。(『ウーマンズ・イニシアティブとは ?』参照 )の取りまとめをやっています。


さて、男性は彼女達のように、自分と企業・職業との関係を見つめて生きているのでしょうか。一流大学を出て、一流企業に入ることが正しい選択とは言えなくなった今、もっと自分と仕事との関係を深く見つめ直すことが必要なのかもしれません。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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