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タカシの外資系物語

つねにスキルアップしたい !2001.08.10

先日、私が担当しているプロジェクトのスタッフ ( 要するに、私の部下にあたります ) から、こんなことを言われました。


「タカシさん、現在のプロジェクトを続けても、私のスキルアップにつながりません。アサインを変えてください」


彼女が担当しているプロジェクトは、日本の某都市銀行向けのシステム・コンサルティングです。内容は新しい収益管理の仕組みを導入するというもので、顧客のネームバリュー・内容のおもしろさのどれを取っても、私の担当案件の中ではトップクラスのものだと、少なくとも私は思っていました。なので、彼女からの「告白」を受けた私はビックリ !


「ええっ ?! いったいどうしたの ?」


「今の仕事は、英訳の作業が中心で、IT コンサルタントを目ざしている私にとっては、スキルアップにつながりません。もっとプログラミングや顧客の要件をまとめるような作業がやりたいんです」


これが日本の企業なら、どのような反応になるでしょうか ?


「何を生意気なことを言ってるんだ ! あのお客さまのプロジェクトに関与できているだけでもありがたく思え !」


まぁ、こんなところではないでしょうか。以前勤めていた日本の銀行で、私は 3 日間延々と、コピー取りとシュレッダーだけをやり続けたことがあります ( おかげでシュレッダーのくずを吸いこんで、1 週間ほどクシャミばかりしていました )。


外資系企業で働く人のマインドは、「この業務をやることによって、自分はどれだけスキルアップすることができるのか」ということがベースになっています。何かをやり遂げた後には、昨日と違う自分がいる。常にそういう状況が作り出されている必要があるのです。


ですから、プロジェクトを管理する私としても大変です。つまり、部下のひとりひとりに、「昨日と違う自分」を認識させなければならないわけですから。


確かに、こういう意識で仕事をすると、成長のレベルが目に見えて違ってくるのは事実でしょう。


さて、私は彼女に何と言ったでしょうか ?


「確かに英訳はおもしろくないかもしれない。だけど、私があなたに要求しているのは、英訳作業を通して、銀行の業務プロセスを理解することなんだよ。あなたは今日の作業で、融資の申請プロセスをマスターしたんじゃないかな ? 」


「そうですね。もう少し頑張ってみます。」彼女はうなずいていました。


スキルアップの本質は、自分がその業務にどのように立ち向かうか、ということにほかなりません。コピー取りひとつをとっても、そこにどのような内容が書きこまれているのか、自分の業務との関連は何か、つねに旺盛な好奇心を持っていなければ、どのような企業にあっても成功することは難しいのだと思います。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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