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タカシの外資系物語

1 年の計は「キックオフ」にあり2001.06.29

みなさんの会社では、年度始めに何か行事を行いますか ? 日系企業の場合は、「社長訓話」とかいって、次のような話を社内放送したりするのではないでしょうか。


( 社長 ) 「えー、本会計年度は、我が社の第 5 次中期経営計画の最終年度にあたります。みなさん ! 全社一丸となって収益目標の 200 億円を達成しようではありませんか !」


実は私は、この手の話が大の苦手なのです。朝礼の校長先生の話ほど、退屈でウザいものはなかったように思います。もう少し、社員のやる気を引き出すような、有効な取り組みはないのでしょうか ?


外資系企業でも、会計年度の始まりには「Fiscal Year KICK-OFF Meeting!」なるものを行います。それは、規模・内容のどちらをとっても、日系企業の比較にならないほど盛大なものです。


私の会社では、今年の「キックオフ・ミーティング」は、あるコンサートホールを借り切りました。よく外国人アーティストがコンサートを行うので有名な、あのホールです。


内容は「NY 本社役員スピーチ」、「日本支社社長スピーチ」に始まり、「昨年の最優秀プロジェクト表彰」「ビンゴ大会」まで、延々 5 時間におよぶ、大エンターテイメントなのです。天井にはミラーボールが回り、場内の音響はガンガンです。一部外国人は、開始時から踊り続けています。


私は 3 年前、初めてこのイベントに参加したのですが、そのときは正直、「な、なんじゃコリャー。えらい会社に入ってしもうたわい … 」と思ったものです。「外資系企業というのは、いちいちこんなに大騒ぎしないと、年間目標も立てられないのか」と。しかし経営層には彼らなりの考えがあるのです。


例えば、冒頭の朝礼スタイルで「今期の君の収益目標は、2 億円だ。がんばってくれたまえ」と、深刻な顔で言われた場合と比較してみてください。ミラーボールが回る中で「イェーイ ! 今期は 2 億円稼いでくれよなぁー、OK ?」と言われると、「楽勝だぜ、ベイベー !」と言いたくなりませんか ? ( そんなわけないか … )


いずれにしても、人間というのは深刻でシビアな話を真顔でされると、変にプレッシャーがかかって、本来の力が発揮できないものです。日常とは異なる空間で、サラリと言われたほうが、リラックスできて、いい結果が生まれるような気がします。


あ、そうそう。それから、こういうイベントを心から楽しむ「遊び心」がないと、外資系企業でやっていくのはツライような気がします。確かに、個人的には「こんなイベントにカネを使うぐらいなら、収益目標下げてくれ」と言いたいところなのですが、「それを言っちゃあおしまいよっ」と。外資系企業の根底に流れている、このような考え方が、彼らのエネルギーの源であるような気がします。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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