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タカシの外資系物語

名刺の肩書2000.10.13

私が勤める外資系企業では、外部的には 3 つの肩書しかありません。「アナリスト」「マネージャー」「パートナー」。「アナリスト」は実務作業担当者、「マネージャー」は現場レベルの責任者です。「パートナー」は「共同経営者」という意味で、会社の株式を互いに持ち合うことで、出資している人物のことなのですが、業務上は「部長」ぐらいのランクだと思います。内部的には、この 3 つの肩書別に、「ジュニア」「シニア」があり、さらにそれらが 4 段階に分かれています。ですから、大学を卒業してすぐ入社した場合、最短 16 年で共同経営者の仲間入りができることになります。


しかし、これらの肩書は、顧客にとってはほとんど意味がないものです。特に「パートナー」というのは、日本では理解しにくい仕組みなので、顧客に対しては「金融セクション部長の○○です」といういい方で、紹介することのほうが多いように思います。


そもそも日本には独特の「名刺交換」の文化があります。欧米の場合、名刺そのものは存在しますが、日本のような使い方はしません。出会った瞬間握手をし、口頭で自己紹介します。面談終了後、名刺がなければ名前を思い出してもらえないようでは、自分の売り込みに失敗したわけですから、有能なビジネスマンとはいえないわけです。


一方、日本の名刺交換の場合は、形式的な要素も多分にあるとはいえ、相手の名前と肩書、および連絡先がわかるという意味では、いい制度なのだろうと思います。ただし、名刺交換自体は単なるあいさつに過ぎません。外資系企業の場合は、「とりあえず名刺だけでも交換しておきましょう」というようなシチュエーションは少ないといえます。常に自分を相手に印象づける姿勢がないと、会社からも顧客からも評価されません。私のボスは、私が顧客とのミーティングであまり発言しないと、「タカシの名刺は、bookmark ( しおり ) として使われるだろうね」とイヤミをいいます。外資系企業では、「沈黙は悪」であり、名刺は会話の幅を広げるためのツールにすぎないのでしょう。


最近は CEO( 最高経営責任者 )、COO( 業務執行責任者 ) などの肩書が、日本企業にも活発に導入されています。今後ますます、個性的な肩書が登場してくると思われます。しかし、本当に重要なことは、「名刺の肩書」ではなく「内容」であることを忘れてはいけないでしょう。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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