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タカシの外資系物語

「パートナー」としての顧客2000.06.09

外資系企業にとって、「顧客」とは何なのでしょうか ? 外国人の同僚に「日本には、『お客様は神様です ! 』という考え方がある」と説明すると、彼らは決まって怪訝そうな顔をして、次のようにいいます。「クライアントが神 (GOD)なら、われわれは日本でビジネスできないね。だって、クライアントは “間違い”を犯さないんだろ ?」


私が勤めている会社の社訓に「クライアント・ハッピー (Clients Happy!)」というのがあります。要するに、お客様にハッピーになってもらえるようなサービスをしよう、ということです。では、ハッピーになってもらえるサービスとは何でしょうか。確かに「神様」のようにあがめ奉られ、まわりからペコペコされることは、気分の悪いことではありません。しかし、顧客のいいなりになって、何でもいうことをきくことが、果たして顧客にとってハッピーなことなのでしょうか。


外資系企業では、顧客は「パートナー」として位置づけます。あくまでも同等なのです。しかしおカネをもらっている以上、顧客をハッピーにしなくてはなりません。ここが単なる「友だち」の関係とは異なるところです。私の仕事である経営コンサルティングの場合は、顧客の長所を伸ばし、短所=間違いを指摘し、改善させることです。特に間違いを指摘することは、日本人の私にとっては非常に難しいことなのです。間違いを見つけることは簡単なのですが、それを口に出して、はっきりと「言う」ことがなかなかできません。これは日本的な商慣習に原因があると思います。客と業者の関係は、あくまでも「主従関係」なのであって、業者はどうしても客に対してペコペコしてしまうのです。


外国人の同僚は「タカシはクライアントと接するときと社内での態度がまったく違うな。どうしてクライアントには、あんなに頭を下げるんだい ? 」といいます。痛いところをつかれています。確かにペコペコされても、客にとってはそれほどハッピーではないかもしれません。私がやるべきことの本質は、もっと別のところにあるはずです。


しかし私は、私の部下には、それがたとえ外国人であっても、顧客に会うときと別れるときには、頭を下げさせています。それは日本でビジネスを行う上での「礼儀」としてです。「親しき仲にも礼儀あり」、顧客はパートナーですが、礼儀はつくすべきだと思っています。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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