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タカシの外資系物語

問題発生時の対処2000.06.02

風邪は引きはじめに対処すれば、治りが早いといわれます。「ノドが少し痛いな」と思いながらも無理をしてしまうと、熱を出して寝込んでしまうことになりかねません。会社にとって好ましくないこと、すなわちトラブルが発生したときの対処についても同じことが言えます。


外資系企業で働く上で、最悪の評価を受けるのは、「トラブルが発生したにもかかわらず、そのことを黙っていること」です。それが大事に至らなくても、「黙っていた」という事実そのものが“悪”なのです。


先日、私の部下がクライアント先で、ある失敗をしてしまいました。約束の期日までに、ある文書を提出しなかったのです。顧客はカンカンです。私の部下の力では収拾がつかない状況です。しかし、マネージャである私が謝り、今日中にその文書を提出すれば、許してくれそうな状況でした。日本の企業ならば、どのように対処するでしょうか。何とか自分たちの力で、事態を復旧しようとするに違いありません。


外資系企業では、このような場合でも、私は上司に報告しなければなりません。「ボス、トラブルが発生しました。トラブルそのものは私の力で何とかなりそうなのですが ……」するとボスは、「私が行こう」と判断しました。クライアント先で、私と私のボスが、今後の対応について説明しました。一件落着です。帰りのタクシーの中で、ボスは私にいいました。


「重要なことは、クライアントとの信頼関係なんだよ。今回の件は、タカシだけでも対応できたに違いない。でもタカシだけでは、クライアントの不信感は払拭できない。もしかしたら、また同じ失敗をするかもしれないと思うかもしれない。でも私が横にいれば、“会社という組織として”、今後こういう失敗はしないことをアピールできるのさ」


ボスによると、トラブルは「チャンス」なんだとか。雨降って地固まる、ではないですが、クライアントとの関係を強化する絶好の機会なのだそうです。今日は朝起きたらノドが痛いので、ボスに電話しました。「風邪を引いたようなので、大事をとって休みたいのですが……」「NO! 出社しろ ! 」。彼にとっては同じではないようですね。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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