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和製英語に気をつけよう(55)ー フラット(1)2021.07.13


 近年、よく見かける和製英語で、私が一番気になっているのが「フラット」です。耳にする度に「どういう意味?」と思うことが多く、意味がよくわからないのです。

 日本語の「フラット」の説明をする際に、「起源は英語」という人もいますが、英語の意味を知っているからこそ、「フラット」の意味がよくわからない... 状況によっても、「フラット」の意味はいろいろあるようで、日本語でも説明している人たちがいるということは、それだけ意味が曖昧なのでしょうね。

フラットな関係


 まずは「フラットな関係」ですが、「上下関係のない、対等な関係」という意味だそうです。ただし、英語の”flat”には、そうした意味はありません。

 「フラット(平ら)な組織」であれば、英語でも”flat organization”と言い、できるだけ中間管理職を省いた、経営陣と社員の距離が近い平らな組織形態を指します。「フラットな関係」というのは、ここから派生したのではないかと推測します。(なお、”flat organization”とは組織が「平ら」ということで、下記の例文に見るように、経営陣と社員が対等な立場にいるわけではありません。経営陣は社員の”上”に位置します。)

A flat organization has fewer management levels, allowing employees to freely approach executives.
(フラットな組織では、管理層が少なく、社員が経営陣に自由に接することができる。)

This is a very flat organization.  You have three leaders and then everybody else is on an equal footing.
(当社は、非常にフラットな組織だ。3人のリーダーがいて、あとは皆、同じ立場だ。)

 “Flat organization”は、「ヒエラルキーがない」という意味で、後述のように”non-hierarchical organization”や”organization without hierarchy”という表現も使えます。* 

  「関係=relationship」と丸暗記している人も多いですが、日本語の「関係」をrelationshipで表せる場面は少ないと思ってください。たとえば、下記の日本語をrelationshipを使って英語で表現するのは無理です。”non-hierarchical”や、上記の例に出てきた”on an equal footing”(対等の立場)を使って表すことができます。

「ネットの世界ではフラットな関係で仕事をするのが基本」は、ちょっと意訳して、

The Internet business world is fundamentally non-hierarchical.
(ネットのビジネスの世界は、基本的にフラットだ。)

Everyone is on an equal footing in the internet business world.
(ネットのビジネスの世界では、誰もが対等だ。)

フラットに


 「情報共有をフラットに行うべきだ」も、”non-hierarchical”を使って、下記のように言えます。

Information should be shared in non-hierarchical ways.
 「お客さまとスタッフの関係をフラットにしたい」「フラットに接してもらっている」 は、
I’d like to see our employees on an equal footing with our customers. **

They interact with me as equals.
(対等に接してもらっている。)

 「フラットな場でいろいろ言い合える」「フラットに意見を言い合える」は、いろいろな言い方ができますが、たとえば、下記が可能です。

We can have discussions without worrying about office protocol.
(社内の慣習を気にせずに話し合うことができる。)

We can express our views without worrying about rank/status.
(立場を気にせずに、意見を言い合うことができる。)




* 何層もある組織は”tall organization”とも呼ばれる。

** 「お客さまは神様」は、英語では”The customer is always right”(お客さまは常に正しい)(ドイツ版は ”The customer is king.”)。ただ、お客と従業員のどちらが偉いかというより、「誰の満足、ニーズが先に来るか、より重要か」という視点で、”Customers come first”(第一にお客さま)。「社員がハッピーでなければ、お客をハッピーにできない」という考え方から、“Employees come before customers”(お客さまよりも従業員の方が大事)という企業もあり。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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