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有元美津世のGet Global!

テレワーク(7)デジタルノマド誘致合戦2021.01.12


 前回、書いたように「フルリモートで働けるなら、海外に移住したい」という人が、世界的に増えているようです。これまでも、デジタルノマドグローバルノマドワーカーというのは話題になってきましたが、これまではフリーランスの人(freelancer)が中心。ヨーロッパでは、以前から、フリーランスの人向けに長期ビザを発行する国はありました。

 コロナ禍でテレワークが普及し、企業に勤めるテレワーカー向けビザを発行する国が出てきていることは、夏にチラッと書きましたが、その後、そうした国は確実に増えています。パンデミックで、観光業界が大打撃を受けているのは、どの国も同じで、とくに経済を観光に頼っている国では死活問題なのですから。

カリブ諸国


 昨夏ごろから、真っ先にテレワーカーの誘致に乗り出したのが、カリブ海の島国、経済をアメリカ人観光客に大きく依存する国々です。コロナで大半の国に入国を禁止されているアメリカ人にとって、門戸を開いてくれる国は有難い存在なのです。

 ただし、これらの国々では、雇用証明や所得証明を必要とし(自己申告の国も)、検疫手続きも結構、煩雑です。アングィラ(Anguilla)やバルバドス(Berbados)では、1年のビザを発行していますが、どちらもビザの料金が2000米ドル!ケイマン諸島(Cayman Islands)の場合、2年のビザを発行していますが、やはりビザ代が1500ドル近くかかり、かつ独身者で年収10万ドルの所得証明が必要です。どこも、来てほしいのは高所得者のようで...

  一方、バミューダ(Bermuda)は、1年のビザ料金は263ドルと安いのですが、生活費がスイスや日本よりも高いと言われています。

ヨーロッパ



  エストニアは、昨年、世界初の「デジタルノマドビザ」の発行を開始しました。期限は1年で、月3500ユーロ以上の所得が必要ですが、フリーランスでも取得可能です。 

 半年居住すると、税制上、居住者となり、納税義務が発生しますが、今のところ、それを免れるために、半年以内に他国に出国する人が多いようです。

 観光業がGDPの12%を占め、経済的に大きな痛手を負っているジョージアも、同様のビザを発行しています。コロナの入国制限で、観光客の入国はヨーロッパの5か国からに限られているのですが、このビザは、アメリカやブラジルも含む95ヵ国からの申請が可能です。申請に必要な所得も、月2000米ドルと手頃で、物価も安いです。なお、通常は、ジョージアにはビザなしで1年滞在できます。

 クロアチアやギリシャでも、12月に同様のビザの発行が決まりました。ギリシャでは、1月からの施行ですが、ビザ取得者は、7年間、所得税が通常の半分という優遇措置があります。

  さらに、2月には、ポルトガルで、ヨーロッパ初の「デジタルノマド・ビレッジ」が誕生します。これは、モロッコ沖にある島で、町おこしのために、地元の政府が主導になって行なっているものです。ノマドには無料のワーキングスペースを提供し、交流のためのイベントなども開催されます。滞在期間は1ヵ月~6カ月。定員100人のところに、すでに世界各国から300人の応募があるそうです。

中東など


 12月には、アラブ首長連合(UAE)のドバイも、ノマドビザを開始しました。居住はドバイに限られ、月5000ドル以上の所得があることが条件です。

 他にも、メキシコのように、以前から1年滞在できる一時居住ビザを発行している国もあります(ただし、現地での就労は不可)。*

 今のところ、日本を含め(保守的な?ゼロリスク志向の?)アジア諸国は、コロナのリスク回避のために鎖国を強めるばかりですが、パンデミックの中、こうやって経済を回復させるために、いかに安全に限られた人たちに門戸を開くか、知恵を絞る国もあるわけです。

 コロナ騒動が落ち着いて、各国の入国制限が緩和すれば、さらにテレワーカーの誘致合戦が過熱しそうです。

 

 

 


* 日本にも、貯金3000万円以上を証明できる個人には最高1年まで滞在できるビザあり。観光やリクレーションが目的であり、テレワークも認められるのかどうか…(コロナ下の今は、こうしたビザは、すべて発行停止。)

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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