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有元美津世のGet Global!

相変わらず日本語オンリーで内弁慶(6)- 疑いの目で自分で検証(2)2020.04.07

 今回は、別のことを書こうと思っていたのですが、先週、また日本のメディアがフェイクニュースを流し…  英語の勉強にもなるので、先に、こちらを取り上げます。

 先週、日本では「世界がずっこけた安倍のマスク騒動」「海外メディアもアベノマスクを嘲笑!」といった記事がネットで流れ(それがテレビなどで取り上げられ?)、「海外のメディアに批判された」と騒いでいる人たちがいます。

 世界はずっこけていませんし、嘲笑もしていません。世界のほとんどの人は、日本が今どうなっているかも知りませんし、興味もありません。私は、先週、アメリカ人やイスラエル人、ロシア人と話をして、それを痛感しました。

 


 これらのフェイクニュースが引用した海外メディアの報道を見てみましょう。

ブルームバーグ通信も「計画は物笑いの種になっている」と配信。「アベノマスク」は世界を駆け巡っている。

 と日本のメディアは伝えましたが、そのブルームバーグ(Bloomberg)の記事は、下記です。

From Abenomics to Abenomask: Japan Mask Plan Meets With Derision

‘Abenomask’ trends as online users mock plans as insufficient

(アベノミクスからアベノマスクへ:日本のマスク計画、嘲笑で迎えられる

オンラインユーザーが同計画を不十分だと「アベノマスク」がトレンド入り)

<本文は、下記のAP通信と同様の内容なので、そちらを参照。>

  マスクの件が、日本で、どのように受け止められたかを伝えているのです。(「アベノミクス」などという造語は日本人しか知りませんので、記事中で説明しています。)同時に、Bloombergでは、下記ようにも述べており、今までマスクを推奨してこなかった米政府の対応を暗に批判しています。

Officials in many countries in Asia, including Japan, have long recommended using masks but until recently, the U.S. did not, with the Surgeon General even urging people to stop buying masks in an all-capitals tweet on Feb. 29.*  But U.S. authorities have started to change that position, with President Donald Trump also warming to the idea, going so far as to suggest that using scarves might be better than wearing masks.

(日本を含むアジア諸国当局は、昔からマスクの使用を推奨してきたが、最近までアメリカはそうではなかった。2月29日にはマスクを買わないようにと米公衆衛生局長官が大文字でツイートしたくらいだ。しかし、米当局は、その見解を変え始めている。トランプ大統領も、マスクをつけるよりスカーフを使った方がいいかもしれないと、その考えを受け入れ始めている。)

  AP通信(の配信記事をFox Newsなどでも報道)も同様です。日本では、マスクの件が、このように受け取られたということを伝えただけです。

The newest measure to contain the growing number of coronavirus cases in Japan quickly backfired after the plan was slammed on social media and many thought it was an April Fool's Joke

(日本で増えているコロナウイルスの感染を封じ込めるための新たな策は、ソーシャルメディアで叩かれ、多くにエイプリルフールのジョークかと思われて、すぐに裏目に出た。)

<中略>

the two-mask-per-household plan quickly proved unpopular. Some mocked it on Twitter and other social media by calling it “Abenomask,” or “Abe’s mask,” a play on his economic and financial policy of “Abenomics,"

(一世帯マスク2枚計画は、すぐに不人気だとわかった。ツイッターや他のソーシャルメディアで、首相の経済財政政策である「アベノミクス」にかけて「アベノマスク」と呼んで、嘲笑する人もいた。)

 上記のmany (people/Japanese), some (people/Japanese)というのは「日本人」のことです。 「エイプリルフールかと思った」のも、日本政府の対策を嘲笑したのも日本人なのです。

 

世論操作?


 日本のメディアは、初めから「海外メディアが日本を批判している」と言いたいだけで(that’s their agenda)、そのために海外メディアの報道を捻じ曲げて利用しているのです。

 間違った”また聞きで”世論が形成されて行く。(世論操作にまんまとハマっている?)本当に恐ろしいです。「海外では〇〇と言っている」という日本の報道は、皆さん、もう無視するしかありません。

 

恥ずかしく思うべきは


 「健康な人はマスクをするべきではない」と言っていた欧米政府が、「マスクを着用すべき」に方向転換し、欧米でもネットで「布マスクの作り方」が流れるようになりました。

 やはり先週、読売新聞の英語ニュースでは、日本よりずっと貧しいベトナムで、さらに貧しい人のためにマスクを作る95歳の女性が紹介されていました。21年間、貧しい人のために毛布を作り続けているそうです。

 日本の皆さんも「国からもらえるのは、マスクたったの2枚」とぼやきツイートをしている暇があったら、必要な人のためにマスク一枚でも作ったらどうでしょうか?いつも、してもらうことしか考えてない」「自分の恵まれた環境にも気付かずに文句ばかり」というのは、こういうことなのです。



 

* 米公衆衛生局長官(US Surgeon General)のツイート

Seriously people- STOP BUYING MASKS!  (皆、マジで、マスクを買うのはやめろ!)

They are NOT effective in preventing general public from catching #Coronavirus, but if healthcare providers can’t get them to care for sick patients, it puts them and our communities at risk!

(マスクは一般市民がコロナウイルス感染を予防するのには役立たないが、医療従事者が発症者の治療のためにマスクを入手できなければ、彼らと地域社会が危険にさらされる!)

 もちろん、これを「マスクが医療従事者を守るのに役立つなら、私にも役立つはず」と読んだ人は少なくありません。このツイートこそが裏目に出た(backfired)のでは?

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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