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有元美津世のGet Global!

相変わらず日本語オンリーで内弁慶(4)- 文句ばかりの平和ボケ 2020.03.24


 もう、このシリーズは、終わろうと思っていたのですが、また信じられない発言を身近で耳にし、続けることに…

 金曜の夜に、大阪府知事により、3連休の間の大阪~兵庫の往来自粛の要請が発表されました。それに対し、60代の知人から「おかげで週末に開催を予定していたセミナーを延期することになった。日本は今、コロナでいや~な雰囲気」というメッセージが届きました。

 その自粛に対して、関西のメディアは、「そんな急に言われても...」という街の声を紹介していました。(そういうコメントをわざと探しているのだろうけど。)

 

世界各地で足止め


 この人たちは、今、世界で何が起こっているのか、わかっているのでしょうか?(日本語オンリーだとわからない?)

 今月11日夜中に、米政府は、48時間後のヨーロッパ26ヵ国からの入国禁止を発表し、ヨーロッパでは大混乱が起こりました。* すぐに空港に向かった在欧アメリカ人もいますし、アメリカ行き便に乗るためにエコノミーで数十万円はもちろんのこと、200万円払った人もいます。(米市民や永住権保持者は対象外で入国できるが、入国制限が起こると便数が激減するので飛べなくなる。)48時間の猶予を与えられ、運賃数万円でフィリピンを脱出できた私なんて、どれだけラッキーか。

 脱出できずに現地に残っている人たちも大勢おり、フェイスブックでは「〇国で立ち往生しているアメリカ人」といったグループがいくつもできています。

 現地の米大使館に連絡して、たとえ返事が来ても、「航空会社に電話してください」(電話に出ていたら苦労しない)、「当分は、こちらにいる覚悟でいてください」と言われるようです。そんな中、米国務省は、19日に「全面的な海外渡航禁止、海外在住者への(自力)帰国勧告」を出しましたが、「帰れるものなら、とっくに帰っている!」という人は多いでしょう。今、どれだけ飛行機が飛んでいないか、海外にいないと、わからないのかな?

 「こんな時に、のんきに海外に出かけていく人が悪い」という声がありますが、海外にいるのは、コロナ騒動が始まってから渡航した人たちだけではありません。それ以前から現地で働いていた人、留学のために到着したばかりの人など様々です。(これも、海外と縁のない人には、わからないのだろうな...)

 

他国はカオスと厳戒態勢


 ヨーロッパでは各国が国境を封鎖し、ニューヨークやカリフォルニアなど米数州でも、外出禁止令が出されています。仕事や医者、買物に行くことはできますが、ジムやバー、娯楽施設は閉鎖され、レストランはテイクアウトと宅配のみ。

 買物はできると言っても、スーパーの棚にも商品が並んでおらず、入店するにも何時間も並ばなければならない状態です。カリフォルニアの知人は、「数日、スーパーには近寄れなかったけど、やっとシフト制(個々に入店日時を決められる)で入店できることになった」と。(韓国の5部制マスク販売と似ている。)

 15日の封鎖までに、マニラを脱出できなかったアメリカ人も、やはり入店が制限されたスーパーの、イスがたくさん並べた真っ暗な簡易待合室で、何時間も順番を待つそうです。市内では、配車アプリのGrabも禁止されており、ATMにお金を下ろしに行くことも、ままならないそうですが。

 一方、「急な自粛で戸惑う」という神戸三宮から大阪梅田は、わずか40kmほどの距離で、電車で30分強。それも、イタリアやフィリピンのように、町の出入りに検問があって、銃を持った警官や軍人がチェックしているわけでもありません。

 そんなゆるい自粛に対し不満を述べる上記の知人には、他国の状況を説明し、「日本の状況がイヤなら、アメリカかフィリピンに行く?」と言っておきました。マスクやトイレットペーパーなど一部の日用品は不足しているかもしれませんが、日本のスーパーには、通常と変わらない商品が並んでおり、必需品を買うために何時間も並ぶ必要もありません。

 もう少し、自分たちが置かれている状況が、どれだけ恵まれているかを悟り、それに感謝することはできないものでしょうか。失ってから、大切なものに気づいても遅いですよ。**

 

 


* トランプ大統領は「EUは、アメリカのように、中国など感染拡大地域からの渡航禁止をするのを怠った… その結果、米国内の新たなクラスターの多くがヨーロッパ発祥のものだ」と、なんの証拠も示さずにEUを非難。当然、EUは、アメリカの一方的な処置に憤慨。アメリカでは感染が拡大しているのではなく、前から蔓延していたのが、検査で明らかになっただけだと思うけど。

 

** 日本を見限ってヨーロッパに移住した有名人が帰ってきている。私の知り合いの日系アメリカ人も、カリフォルニアで自宅を出られず落ち込んでいて、「今、日本にいられたら」と。毎年、冬は大阪で過ごす在独イギリス人も「こちらの方が安全だと思うけど、仕方ない」と寒いドイツに帰って行った。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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