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有元美津世のGet Global!

中欧への留学 - 医学部2020.02.04


  近年、日本からは、チェコスロバキアなど中欧の医学部に留学する人が増えており、中でもハンガリーが一番人気のようです。ハンガリーは、チェコと並んで、日本に事務局があり、説明会も行われています。

 ハンガリーの国立4大学の医学部には、毎年100人ほどの日本人学生が留学し、現在、500人ほどが在籍中だそうです。とくに日本の医学部での女子入学差別が発覚してからは、説明会に参加する女子が増えているとか。

授業は英語


 人気の理由は、まず中欧の医学部は、日本の医学部ほど入るのはむずかしくない点。次に、卒業までに必要な費用が、生活費も含めて2000万円で、日本の国公立よりは高いけれど、私立に比べれば安く、英語圏に比べればかなり安いという点です。

 また、英語で授業が行われるコースがあり、現地語ができなくてもいいというメリットがあります。(これは、他国の学生にも大人気のよう。)

 そして、これらの国で医師免許を取得すれば、EU圏内どの国でも医師として働けるというのが、EU圏外からの留学生にとっては大きな魅力でしょう。(ただし、EUの就労ビザを取得するのは難関。)

 日本人学生の場合、卒業後、日本に帰国して日本の医師国家試験を受ける人が大半だそうです。中欧の医学部の卒業者(または医師免許所有者)は、厚生労働省の審査を個々に受けた上で、国家試験または予備試験の受験資格を得ることができます。

 ちなみに、アメリカとカナダの医師免許試験受験資格も得られます。

卒業するのは大変!


 入学するのは、日本ほど難しくない中欧の医学部ですが、大変なのは入ってからで、成績が悪いと進級もできず、卒業する際には、クラスの人数が入学時の半分以下になっているそうです。

 2014年から2019年の間、ハンガリー4大学(HMU)の医学部を卒業した日本人学生は年13~20名で、日本の国家試験の合格率は、過去4年で65%です。* 日本人学生の場合、卒業するのは入学者の4分の1にも満たないということで、決して容易な道ではないですね。

 

医療のグローバル化


 一方、日本ではインバウンドの増加で、外国語のできる医療従事者のニーズが高まっています。治療だけでなく、人間ドックなど検査のために海外(とくに中国)から訪れる医療ツーリスト(medical tourist)は大病院だけでなく、開業医でも見られます。日本の医療ツーリストの数は、今年43万人に達するという試算もあります。

 しかし、医療ツーリズム(medical tourism)の推進を掲げた自治体でも、仕組みが整っていなかったり、そうした医療機関に英語のホームページすらなかったり...(私は、アメリカ人医療ツーリストの手伝いをすることがあるので、日本語ができないと大変なことを痛感。)

 日本のお医者さんは、海外でフェローシップをしている人も多く、日頃から英語で論文を書いたりして、英語は多少できる人が多いのですが、英語で診察をするというのはむずかしそうです(手間もかかるし)。

 外国語ができる医療従事者のニーズは、今後、高まる一方でしょうから、海外経験があり、英語で診察もできる医師が増えるのは、非常によいことだと思います。


 そして、「医学部なんて、私には関係ない」という人のために(私を含め大多数?)、次回は、医学部以外の留学に関して書きたいと思います。

 

 

* HMU公表の卒業実績より計算。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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