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有元美津世のGet Global!

ボランティアという選択肢 ― カンボジア2015.11.10

 

マレー半島を襲った煙害を逃れ、先月、カンボジアに避難した私ですが、食い倒れの読者の期待に応え(!)、カンボジア料理についても少し。

 

カンボジアの料理といえばクメール料理 *。タイ料理から辛味、風味を除いた感じで甘酸っぱい味付けが多く、タイ料理が好きなアメリカ人に言わせると”Khmer food lacks personalities”ですが、薄味が好きな人には合いそうです。私は野菜炒めが気に入りました。どこで食べても色とりどりの野菜が香ばしくておいしいかったです。

 

ベトナム料理と似た(ほぼ同じ)料理も多いのですが、私はベトナム料理の方が好きです。カンボジアも元仏領なのでフランス料理は、おいしいかと思ったら、そうでもなく。フランスパンもベトナムの方がおいしいような。(なお、ベトナムのフランスパンはバターなどの油脂は使わず、小麦粉以外に、もち米も使われており、その分、本場のフランスパンより軽く、カリカリしています。)コーヒーもベトナムのようにおいしくないし。

 

カンボジアの人口は9割がクメール系で、食事もマレーシアのようなバラエティに欠け、10日いると飽きました。(残念ながら、昆虫料理を食べる機会は、ありませんでした。)

 

それにカンボジアは、マレーシアやタイに比べて食費が高い!地元の人しか行かない屋台(マレーシアの経済飯、Nasi Campurみたいなもの)だと一品1ドルほどで食べられますが、B級レストランになると一品4~5ドル。観光客向けレストランになると、もっと高いです。最低賃金が月140ドルの国の人が、どうやって払えるのかを地元の人に聞いたら、「皆、高いとぼやいている」そうです。

 

現地でボランティア

 

食の話はこれくらいにして… Daijobさんでは、カンボジアの求人広告も掲載されています。

 

昔、上海に駐在されていた方で、定年退職後、日本語教師の資格を取られた方がいます。「上海赴任時代は、まだ中国が経済成長を遂げる前。中国が見る見るうちに発展するのを現場で見ることができた。もう一度、ああしたエネルギーを体感したい」とカンボジアでの日本語教授を希望されています。カンボジアには舗装されていない道路も、まだまだあり、ベトナムの一昔前くらいの開発度です。「若い国と共に成長したい」「国の発展の一助になりたい」という方に、カンボジアはいいかもしれません。

 

また、現地のNGOでボランティアをするという選択肢もあります。20年以上も内戦が続き、ポルポト政権時代の傷がまだ癒えないカンボジアではNGO活動が盛んで、世界各国からボランティアが集っています。

私がいうボランティアというのは、旅行に行ったついでに数日ボランティアをしたり、業者に高い料金を払って行うVoluntourism(volunteer+tourism)のことではありません。これはビジネス化しており、近年、欧米ではマイナス面が議論されています。

 

たとえばカンボジアでは、半日~一日、孤児院を訪れてボランティアをするといったツアーも横行していますが、こうした孤児院にいる子供の7割以上に親がおり、孤児院運営者らに親から引き離されて搾取さているケースも少なくないということです。「孤児院ビジネス」が台頭してから10年で孤児院の数が7割以上増えたというデータもあります。児童擁護団体では、孤児院ビジネスに加担しないように観光客に呼びかけています。

 

私が泊まったゲストハウスは、農村部の貧しい子供たちが教育を受けられるように財団を作って運営している現地の人が経営していたのですが、英語を教えるボランティアは最低でも2週間必要でした。現地の言葉もできず、習慣も知らない外国人がすぐに現地で貢献するというのは非現実的でしょう。

 

本当に現地で貢献がしたいのなら、少なくとも数ヶ月は腰を据える必要があるのではないでしょうか。たとえば、上記のゲストハウスには、アメリカで認定非営利法人を設立して資金集めをし、同財団の活動を支援しているアメリカ人女性が住んでいました。カンボジア在住7年とのことでしたが、そうした形での支援、長期滞在も可能なわけです。日本人にも現地で同様の活動をしている人はいます。

 

カンボジアの食費は高いと書きましたが、全体的な生活費(とくに住居費)は安いですので、たとえば貯金して、一年、現地でボランティア活動をするというのは十分可能だと思います。(欧米に留学するよりずっと安上がり。)最終的に東南アジアで働くのが目標であれば、その経験は、もちろん役立ちますし、何といっても自分への大きな自信につながるでしょう。

 

 

* 現地では「クマエ」に近い発音でRは発音しない。北カンボジアではRは発音するらしい。

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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