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有元美津世のGet Global!

大学院に進む前に(1)2013.09.24

    一度、働いてみる

    筆者の年齢になると、周りの友人知人のお子さんが大学進学や就職するというケースが多く、お子さんの進路に関して、親御さんから相談を受けることがあります。 
    昨年も、大学在学中に1年カナダに交換留学した娘さんが、日本に戻って卒業後、「アメリカかカナダの大学院に行きたいと言っているのだが、今度、日本に帰ってきた時に、直接、会って話を聞いてやってくれないか」と日本の友人から相談が来ました。 

     

    詳細を聞いてみると、「国際関係やジャーナリズムに興味があるようだが、親に費用を出させようとしている。興味が定まっておらず、現実の厳しさを理解していない。アメリカでの経験など現実の厳しさを話してやってほしい」ということでした。 

     

    そこで私が、年に一度の日本帰国中に、実際に、娘さんに会ってみると、思ったより真面目に、将来の進路のことを考えているようで、安心しました。 


    国際機関で働くことに興味があるのであれば、「ファジーな(?)国際関係学を専攻するよりも、経済学などの専門性を身につけられる分野がいい」と勧めました。また、ジャーナリズムについては、「アメリカの新聞業界は崩壊しており(後日、ゆっくり書きます)、今から目指す業界ではない、かつ、つぶしのききにくい分野なので、絶対にやめた方がいい」と助言しました。 

     

    それよりも、第一に、やりたい仕事がはっきりしていないのなら、大学院に進む前に、一度、社会に出て、働いてみることを勧めました。これまでの筆者の体験でも、お話したように、希望の分野や職種も、実際に働いてみると、考えていたのとは、かなり違うということがあるからです。働いている間に、自分がやりたいことが絞られ、進む道が見えてくる可能性も大きいのです。 

    文系の進学は慎重に

    「とりあえず、○○文学の修士課程に進むことにしました」という人もいて、「将来は大学教員?」と聞くと「もしそうなれたらいいな。」という答えが返ってきたりします。 
    そんな答えに「博士まで行ったとしても常勤講師職を得るのは至難の業だよ」と余計なアドバイスをして嫌がられるのですが… 

     

    理系で研究職に進むといった具体的な計画がない限り、文系での大学院進学は、非常に慎重に考えるべきだと思います。下手に修士を取ると、就職が大卒の場合よりも就職が厳しくなるかもしれないからです。これは、日本国内だけの話ではありません。アメリカでも同じです。アメリカの場合、学資ローンを借りて進学することが多いので、修士を取ったものの、「仕事が見つからない」「以前と同じような仕事しか就けず、給料が変わらない」で、何万ドルという借金だけが残ったというケースも珍しくないのです。 


    参考までに、米フォーブス誌が、今年、掲載した給料と長期雇用展望をベースにした「修士号ベスト10とワースト10」を掲載しておきます。 


     

    こうしたランキングは、発行元によって少しずつ違いますが、ITや看護分野が有望で、一般教養分野が有望でないのは共通しているでしょう。 


    もちろん、「学問は、就職のためだけのものではない」と私も思います。が、私は、あくまでも「食べていく」「自立する」ことを前提とした現実的なアドバイスを提供しています。日本には「穀つぶし」という言葉がありますが、つぶすだけの穀のある、恵まれた環境にいる人は、好きな分野で好きなだけ勉強や研究をすればいいと思います。 

     

     

    次回へつづく・・・

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    この記事の筆者

    有元美津世

    大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
    著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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