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鈴木美加子のグローバル人材塾

外資で成功するために理解したい考え方の違い3つ2019.03.19


元・外資系人事部長、10,000人を面接した鈴木美加子です。この頃、日本企業とお仕事をさせていただく機会が増え、たまに文化の違いからくるストレスを感じることがあります。私は25年間、外資でしか仕事をしたことがないので、無意識のうちにアメリカ式のやり方を相手に期待しているのかもしれません。裏返すと、外国人とスムーズに働くために理解したい文化の違いについてはわかっていることになりますので、本日は代表的な考え方の違いを3つお伝えします。

1. NOが言える


答えが”No”と決まっているものを、”No”と言えていますか? これができないと、外資系では即アウトかもしれません。

私の直近の実例をシェアしますと、4/24(水)に本の発売が決まっており、そのことで大手のメディアに、友人のツテでお願いごとをしました。「担当のライターと相談してみます」とのお返事だったので、待っていましたが1週間以上お返事がありませんでした。

 

たまたま、そのメディアの卒業生に会う機会があり、事情を話したところ、「ミッキー(私のことです)、それは断っているのよ」と言われました。「えっ、でも相談するって書いてあったよ。」と答えたところ、「本部の人間が、ライターさんに相談するなんてありえない。そのメールは断っているのよ」と教えてくれました。彼女と話せて良かったです。そうでなかったら、2週間くらい待って、こちらからお電話してしまったかもしれません。

 

ここで問題になっているのは、「ハイコンテクスト vs ローコンテクスト」の軸です。日本は、著しくハイコンテクストの国で、“察する・行間を読む・空気を読む・腹芸”の文化です。一方、私が25年間、会社員として働いていたのは米系外資で、言いたいこと・欲しいものは口に出さないと通じない、察する習慣はない文化なので、”No”と言って大丈夫です。むしろ、YES/NOが明確になり、相手は喜ぶでしょう。英語圏は、はっきりものを言わないと相手に通じない国であることが多いので、現在、外資にいても”No”を言うのが苦手な方は、”No”を言えるようになりましょう。

2. 石橋を叩かなくても渡れる


未来がはっきり見えなくて不確定でも、とりあえずスタートする・やってみる・うまくいかなかったら途中で修正できる力は、グローバルに仕事をする上で重要です。ホフステード異文化6次元モデルの「不確実性回避度(石橋を叩きたいかどうか)」が、92の日本は、石橋を叩いて安心を得たい国の筆頭です。これが、他の国とプロジェクトを組む時に障壁になります。予算・人数・プロセス・期間などに不具合がないかどうかを、確認しないとスタートできない日本人に対して、世界のかなり多くの国は、「とりあえずやってみよう」というスタイルです。

不具合が出たら、出た時に修正すればいいというやり方です。着実に成功するプロジェクトのスタイルは、もしかしたら日本式なのかもしれませんが、多国籍プロジェクトの場合は、日本式にこだわると揉めるので、柔軟性も大事です。

 

私の最近の例では、ミーティングに呼ばれ、そのつもりでいたら、さらに電話がかかってきて「何について話すのか、事前に教えて欲しい」と言われて驚いたというものです。一瞬、「根回し」かなと思いましたが、「不確実性回避」の高さの表れだと思います。その場で答えられなかったら困るというリスク回避かもしれませんが、生産性を上げるために、時間の節約は大切なので、会議の時にわかることを、前もって知ろうとする英語人はいないことは理解して欲しいです。(私は英語人ではありませんが、外資勤務の影響で仕事のスタイルは、アメリカ式のようです)

3. 「お客様は神様ではない」を理解する


これも、日本でしか通用しない概念であることを理解しましょう。知り合いが(仮にA社勤務とします)、シンガポールで炎上しているプロジェクトの火消しに行きました。そもそも契約は、A社のシンガポール現地法人と、シンガポールにある日系企業との間で交わされているので、日本本社から彼が飛んでいくのはおかしな話です。契約と全く関係ないからです。なぜそんなことになったかというと、「お客様は神様です」を、日系企業がシンガポールに持ち込んだからです。「現地でやり取りしててもラチがあかないから、本社から人を寄こせ」という発想です。

 

言われた企業が例えばアメリカ企業なら、「契約が交わされている同士で解決してくれ」の一言で終わります。契約と全く関係ない本社が、人材を無料で派遣するなんて考えられません。同じ状況下、大手の日本企業は、やはり送り込みますね。「“お客様は神様です”を、日本の国外に持ち込まないで欲しい」と、知り合いは嘆いていましたが、最初に交わした契約以外のことは、当然、追加料金になるのが、グローバル・スタンダードな仕事のやり方です。日本式を唯一無二の方法と押しつけると、仕事がうまく進まないことが考えられるので、ここでも柔軟性が大切です。この記事を読んでくださっている方の中には、外資系への転職を考えておられる方も多いので、注意喚起だと思ってください。

 

本日は、グローバルに仕事をするために、「NOが言えること」「石橋を叩かなくても渡れること」「お客様は神様ではない国の方が多いことを理解する」についてお伝えしました。最初は違和感があっても、少しづつ世界のスタンダードを理解し、それに合わせて行動できるようになってください。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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