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鈴木美加子のグローバル人材塾

内向的だと英語プレゼンは上達しないの嘘2017.09.19


元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。秋の企業研修シーズン到来で、英語プレゼンテーション研修のご依頼が増えています。自分は内向的だからプレゼンは苦手と決めつけていらっしゃる方をお見受けし、「勿体ないな、そんなことないのに」と思うことが多いです。本日のテーマは、「内向的だと英語のプレゼンテーションは上達しないか」です。

 

みなさん、どう思われますか? まず母国語でのプレゼンテーションを考えると、確かに生まれつき外向的な方の方が、人前に立ってもあがらないでプレゼンテーションできそうです。ましてや、外国語である英語でとなると緊張度がなおさら高まるので、圧倒的に外向的な人の方が有利のように思えます。

 

確かに一理ある考え方だと思うのですが、実際は必ずしもそうとも言えません。外向的な方は、「なんとかなるだろう」という楽観的な面もお持ちのことが多く、リハーサルをきちんとしていないことが多いです。大体の場合を要領の良さで切り抜けてきているので、「外国語でのプレゼンテーションは、きちんとリハーサルをしないと、Excellentなプレゼンにはならない」という感覚をお持ちでない場合も多いのです。結果は、確かに緊張はしていないけれど、普通レベルの英語プレゼンになります。

 

片や内向的な方は、努力が必要になるので、「うさぎと亀」のお話ではありませんが、その努力が報われた時、Excellentなプレゼンテーションをデリバリーすることができます。

 

実例を挙げたいと思います。

 

少し前になりますが、企業研修で英語プレゼンテーションを実施していた時、クラスに男性で極度のあがり症の方がいらっしゃいました。どのくらい緊張してしまうかというと、声が震えるだけでなく体も少し震えてしまうほどで、かなり重症です。聞いている方も、スピーカーがあまりにあがっているので気が気ではなく、しまいにはこちらの胃がキュッとしそうでした。最初の回で緊張してしまう方は多いですが、正直、このレベルの方にお目にかかるのは初めてで、「改善するお手伝い、私で出来るだろうか?」と不安にすらなりました。

 

緊張してしまうタイプの方に、緊張しないでくださいと言ってもしょうがないので、どうすればこの状況を打開できるかを冷静に考えて、やはりリハーサルを普通の人より多くやることをお勧めするしかないという結論になりました。自分のプレゼンのシナリオが体に入っていれば、順番通りに口から英語を出せば良いのでだいぶ楽だからです。2度めのレッスンでの彼のプレゼンは、最初の回よりは良くなりましたがまだ緊張している様子でした。何回リハーサルをしたか尋ねたところ、10回とのお答えです。10回リハーサルしても、この状態なのかぁと思ってしまいましたが、個人差があるので仕方ありません。良かった点を褒めた上で「リハーサルが少し足りないかもしれませんね。」とフィードバックをして、もう少し事前に準備するよう促しました。

 

次のレッスン(3回め)での彼のプレゼンは素晴らしかったです。何回リハーサルしたのか伺ったところ、なんと30回! さすがに驚きましたが、30回リハーサルをすれば素晴らしい英語プレゼンができるとわかったことは素晴らしい成果で、本人もだいぶ自信をつけたようでした。私の中での期待値が上がった翌週4回めのレッスンでは、なんと、ほぼ最初と同じレベルに落ちてしまったのです。どうしたのだろうと思ったら、ご家族が入院してあわやの事態となり、当然ながらリハーサルどころではなかったとのことでした。

 

その後の2回のレッスンには、いづれも30回のリハーサルをして臨まれたので、彼の英語プレゼンは素晴らしく上達しました。この研修に参加して彼が得たことは、「自分は緊張しやすいし人前で話すのは苦手だけれど、リハーサルを人の何倍も行えば他の人より優れたプレゼンテーションをすることは可能なんだ」と実感できたことです。

 

彼がもともと外向的に生まれていたら、こんなにリハーサルしなくて済んだのかもしれませんが、逆を言えば、内向的に生まれてたくさんリハーサルが必要だからこそ、素晴らしい英語プレゼンをできるコツをつかめたのだと思います。人前で話すのが苦手な方、優れた英語プレゼンを行うのに必要なことはとにもかくにもリハーサルです。必ず上達しますし、緊張しないでできるようになります。外向的に生まれたラッキーな方は、安心してリハーサルを怠ると、平凡な英語プレゼンで終わってしまうのでくれぐれもご注意ください。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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