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鈴木美加子のグローバル人材塾

聞き取りにくい英語での電話会議をどうするか?2017.08.29


元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は、電話会議(以下テレコン)についてお話したいと思います。

私は帰国子女ではないので、外資系管理部門で通用する英語力をつけるのに幾つかのステップを踏んだように思います。まずは、1対1で顔を見ながらの会話力の上達に始まり、ある特定の人と電話で会話するのに必要な英語力へとステップアップしました。さらに、ミーティング、つまりは1対多の場での英語力へとレベルが上がり、最後にひどく苦労したのがテレコンで、1対多になり相手の顔が見えない状況でのリスニング力・会話力でした。
 

顔が見えないのでニュアンスが掴めず、自分の英語力だけが頼りなのですが、その英語力がまだ上級ではなくとにかく聞き取れないのです。本社とのテレコンは、相手がネイティブで駐在員と違ってスローダウンしないので早すぎて聞き取れませんでした。何か言おうかなと思った時には、話題はとっくに次に移っていて全然ついていけませんでした。黙っていればいいかと言うとそこは日本の会議とは違うので、”Japan team is so quiet.  How are you doing?”などと、突然振られて慌ててしまったこともあります。
 

これがアジアでのテレコンになると、各国それぞれのアクセントが強くてそれはそれで聞き取れませんでした。ある時、シリコンバレーにいるグローバル人事のトップが司会をしていた時、インドの同僚二人がバンガローとムンバイで会話しているのをヒンズー語だと思って流していたら、急に英単語が聞こえてきて慌ててチューニングしようとしたという笑えない経験まであります。
 

テレコンに積極的に参加できるレベルの英語力はかなり高度となりますが、そこまでに達していなくても役職上、参加しないといけなくなるのが現実です。そこで、どうしたら良いかです。
 

ひとつめは、“背伸びしすぎないで会話をさらっと聞きながら、最後に気の利いた質問をすることを考える”です。英語人とのテレコンは最後に必ずQ&Aの時間があるので、”Any question?”と聞かれた時に、すかさず良い質問ができるようテレコンの間、ずっと考えておくという策です。私がまだテレコン初心者で黙っていたら、例の「日本チームは静かだね」攻撃にあって、何も言えなかったことを経験し、これではまずいと思い、次の回に試してみたら非常に褒められた実践的な対応策です。ただここで重要なのは、気の利いた良い質問であることです。そんなこと今聞いてどうするの?とみんなが思うような内容では意味がないので気をつけてください。
 

二つめに、これは日本人にはなかなか難しいですが、正直に”I couldn`t understand.  Can you repeat it?”と言ってしまうことです。頻繁では困りますが、ネイティブが外国人に英語がパーフェクトであることを期待しているかというと、答えは明確にNOなのです。わかったようなふりをして、聞き取れていなかったので後でヘマをしてしまうよりは、その場でわからないことはわからないと言った方が、明確なコミュニケーションを望むローコンテクスト文化の国相手には良いのです。
 

自分がリーダーで部下と一緒に参加している時は、”Can you speak a little slowly?  Not for me.”というのが使えます。あるテレコンで中国現地法人の人事責任者が使っているのを聞いて、いい表現だなと思いました。彼女は帰国子女で全く英語に問題ないので、部下のためを思ってDJのようなスピードで話している本社の人に向けて発言したのでした。はっきり言えるところがさすがだなと思った記憶があります。
 

日本人は、ホフステードの6次元異文化モデルのMAS(Masculinity)=何がモチベーションとなるかのスコアが95 で「社会での成功」にかなり寄っていて、UAI(Uncertainty Avoidance) = 不確実性回避の軸のスコアも92と高く「予期せぬことを避けたい、間違いたくない」気持ちが強い国民です。テレコンのような相手が沢山いる場で、発言するのはなかなか大変なのです。それでも相手を考えると、ほとんどの参加者は人にどう見られるかは気にしていないので、だんだんと枠から出ていくことが重要です。
 

最後に、テレコンの機器、通称「ヒトデ」に向かって大きな声で発言しないと、相手に聞き取れないという基本中の基本を思い出してください。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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