グローバル人材としてのMBAホルダーの生き残り方

 

グローバルタスクフォース株式会社
代表取締役社長 山中英嗣

世界最大の MBA フェア「The World MBA Tour」の日本の開催責任者をされている、グローバルタスクフォース株式会社の 代表取締役 山中英嗣氏 にお話を伺いました。 山中氏はその他に、常駐コンサルティング事業におけるクライアント企業数社の社外取締役を兼任され、また、関西大学大学院商学研究科の非常勤講師をされています。
  • 近年 MBA ホルダーはどのような業界、企業で活躍していますか? また、企業側はMBAホルダーをどのようなポジションでどのように活用していますでしょうか?

もちろん、個別企業ごとに状況が異なるため、業界でひとくくりにすることはできませんが、一般的に起業を除くと、グローバルに見ても戦略系コンサルティング業界及び投資銀行というのが、MBAホルダーにとって、人気業界の双壁といわれています。次いで各種事業会社ということになります。

日本でも外資系戦略系ファームと投資銀行の人気は高いのですが、例えば、外資系ファームでもマッキンゼーやベイン、ボストンコンサルティンググループといったリーディング企業は、リクルーティングにはビジネススクールの中でもトップスクールだけに出向くというのが事実です。

一方、投資銀行に関しても、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーの人気が高いですが、コンサルティングファームと比べると、 不景気になると業界揃って大幅なリストラで対応するなど雇用上のリスクが非常に高いうえに、事業会社におけるマネジメントキャリアへの転身がしづらい(数千万の給与から、800~1,000万円のリサーチアナリストへの転身が多く、しかも1年間の契約社員といった不安定さを持つ)といえます。しかしながら、トレードオフとしてベース給与で2、3千万、インセンティブボーナスで数千万といった報酬体系も一般的に見られるなど、ハイリスクハイリターンのキャリアといえます。

ちなみに、下図は米フォーチュン誌の 2008 年度 MBA 就職希望ランキングです。

Where MBA students say they'd most like to work.
Top 20

Rank

Company

1 Google
2 McKinsey & Company
3 Goldman Sachs
4 Apple
5 The Boston Consulting Group
6 Bain & Company
7 Walt Disney
8 Nike
9 Deloitte
10 J.P. Morgan
11 General Electric
12 Microsoft
13 Johnson & Johnson
14 Procter & Gamble
15 Morgan Stanley
16 Lehman Brothers
17 Starbucks
18 Merrill Lynch
19 Coca-Cola
20 BMW

例えばGEが11位に入っていますが、金融事業で利益の大きなシェアを稼いでいる同社をあえて業界で括るのは難しいかもしれません。強いて言えばコングロマリットになります。

業界別の希望ランキングトップ5は、コンサル、監査法人等、投資銀行、消費財、広告代理店(マーケティングエージェンシー)となっており、消費財、広告代理店を除き、いわゆる「事業会社(“Industry”)」。 は上位に入ってきていません。


Percentage of MBA candidates who say they'd ideally like to work in key sectors.

Rank

Company

Percentage

1 Management Consulting 20%
2 Financial Services 19%
3 Marketing/Advertising 13%
4 Consumer Goods 12%
5 Investment Banking 8%


  • 2007年- 2008年のサブプライム問題と金融資本市場の混乱や減速により、国際企業に大きな影響を及ぼしています。 こうした状況の中、MBA ホルダー人材の需要に影響はでてきますでしょうか?

結論から言いますと、セグメント化された MBA の需要が高まっていくものと思われます。

まず、需給バランスの前提として、供給面から考えますと、ビジネススクールはクラスのサイズを毎年大きく変えるわけではないため、 入学者と卒業者の規模はほぼ一定ですが、不景気になるとその翌年のビジネススクールへ応募が急増する、という現象を過去に繰り返してきています。  従って、今後は金融業界のプロフェッショナルを中心に MBA への応募が大幅に増えると思われます。 一方で、ほとんどのスクールで、学生の偏りを避けるために、 あらかじめ国籍等の割合を決めているため、国内の外資系金融等で大規模なリストラ等がない限り、日本人学生にとっていきなり競争率が上昇する、というわけではないと思われます。

需要面では、 MBA ホルダーそのものというよりは、「安定期ではなく、変革期の意思決定ができるマネジメント」のニーズが増えて、いわゆる企業の立て直しや M&A を含めた戦略提携・資本政策の実行といったことを冷静にかつスピーディーに行える人材が求められます。 例えるなら、BCG → CDI→産業再生機構(COO)→経営共創基盤(CEO)創業、といったキャリアを持つ冨山氏(スタンフォード)や、同様にBCGを経て企業再生・事業拡大を行う現ミスミの三枝氏(スタンフォード)といったキャリアでしょうか。

その意味では、数字やマーケティングだけ、といういわゆる専門家ではなく、「小手先のテクニックや、目先の枝葉にとらわれず、経営を鳥瞰してメリハリの効いた意志決定を下す」といった、 「本来の MBA プログラムの目的」を理解して学んだ人材に対するニーズがますます増えてくるのではないでしょうか?


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グローバルタスクフォース株式会社
代表取締役 山中 英嗣

国内大手通信会社を経て、コンサルタントとしてロンドン・ビジネス・スクールのMBA同窓生支援サービス(現Global Workplace)の世界規模ネットワーク化及び法人化に参画。 英国国立マンチェスター大学ビジネススクールMBAプログラムへ入学後、リサーチに従事。大学院国際開発行政・経営研究所(IDPM)修士課程修了(MPhil)。上場および未上場企業複数社の取締役のほか、 非常勤講師(関西大学大学院商学研究科)等を兼務。