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Woman & Work

女性とキャリア Woman & Work 特別取材 HP Women’s Summit Tokyo 2007 
Vol.8-2 特別取材 [ 前半 後半 ]
取材レポート 後半
「Women’s Summit Tokyo 2007 ~Managing Your Career~」
企業の垣根を越えて、女性の生活と仕事を考える

今回は、8月6日(月)に日本ヒューレット・パッカード社(以下、日本HP)主催の働く女性のためのサミット『Women’s Summit Tokyo 2007』(以下、Women’s Summit)のレポートの後半である。米HPの人事・人材開発部門のエグゼクティブ・バイス・プレジデント マルセラ氏による基調講演と、パネル・ディスカッションのサマリーをお届けする。 参加者からの質疑応答では、より身近な質問が発せられていた。キャリアやライフバランスのヒントが隠されているかもしれない。

基調講演
米HP エグゼクティブ・バイス・プレジデント、人事・人材開発部門: マルセラ ペレス デ アロンゾ氏

~多様な人材の活用を促進するHPの取り組み~

ヒューレット・パッカード(以下HP)は、ダイバーシティ(diversity = 多様性)を強化していきたいと考えていますが、これには女性の登用も含まれます。グローバル企業であるHPは170カ国以上でビジネスを展開していますので、多様な国の言語、文化や習慣などを持つ顧客を理解し ニーズに対応していくためには、社内のダイバーシティを進めていくことが、企業を強くすることだと信じています。

HPでは、ダイバーシティ推進を行なうための社員のネットワーク・リソースグループがあります。 女性については、世界各地に25のネットワークがあり、その中には、女性がどのようにキャリアを構築していくかについてディスカッションを行うグループもあります。 また、女性社員のタレントマネージメントを行っており、人材を見極め、チャンスを与える努力もしています。取締役会直轄の委員会としてエグゼクティブ・コミティを設置し、月に1度のペースでダイバーシティ推進の進捗状況の確認なども行っています。

個人のキャリア開発に関しては、『People Promise』プログラムで、キャリア開発のフレームワークを用意。400余りの各部門や職種・ポジションに必要なスキルや経験などを明確に定めてあり、同一部署内での昇進や他部署への異動のヒントや情報を提供しています。また、HPの社員に仕事に就いてもらうための『HPファースト』というシステムも導入しています。履歴書を登録できるWeb上のシステムがあり、各人が業務経験に即して履歴書を更新できるようになっています。また、社内公募制度も使えます。 学習に関しては、製品、サービス、ファイナンスなどに関する13.000以上のラーニングソリューションもオンラインで用意され、自主的に学べるようにもなっています。

グローバルな企業に勤める限り、英語は必須ですが、ポジションアップしたいならば、語学以外にも常に学びつづけることが必要です。各人が、自分のキャリアに責任を持ち、キャリアを築く事が大切なのではないでしょうか。

~学習に対する情熱、リスクを取る勇気がキャリアを築く~

私自身のことについて話しましょう。

私は、チリの小さな町で生まれ、「教育こそが人にチャンスを与えるもの」と信じていた家庭で育ちました。大学で心理学を専攻し、卒業後、地元の銀行に入社して人事部に配属されました。その銀行に勤務中に結婚し、3人の子供に恵まれました。
7年間勤務した後、ヘッドハントされてシティバンクへ転職しました。英語が話せなかったため、3ヶ月間猛勉強しました。そして、チリのシティバンクから米シティバンクへ異動しましたが、ファイナンスの知識が必要になったため、働きながら大学に通いました。その後、再びヘッドハンティングにより、HPの人事責任者として就任しました。

チリを離れた時には、キャリアのため生まれた国を離れなくてはいけないのは大変辛いことでしたが、家族が常に自分を信じてくれたことで強くなれました。成功の鍵は? と聞かれても、まだ先があり、その意味では成功は先です。学習に対する情熱と、リスクを取る勇気が重要です。
家族は、常に私のエネルギーの源でありインスピレーションの源です。家族のほかにも、友人、上司などが私を支えてくれました。

成功するには、エネルギーとパッションを持ち、与えられた機会を最大限に活かしてネットワークを広げて活用することが大切だと思います。

~メンターは重要~  質疑応答にて 

Q. HPではダイバーシティに力を入れていますが、頭では分かっていても、ハートで理解するのが難しい場合もあると思います。マインドセットはどうやったら変えられるのでしょうか?

A. HPでは、ダイバーシティを尊重し価値を見出しているマネジメントを、きちんと評価しています。また、マトリックス評価をひとつのガイドラインとして使っています。ダイバーシティを重要視し、ビジネスの成功がダイバーシティにかかっていることを理解しないマネージャは、結局は成功しないと考えています。ダイバーシティに力を入れる上で、人材の育成、開発はとても重要です。よりスキルや経験のある人間が、高いポジションを得ることができるということです。男性社員と競うためには、自ら手を挙げて、スキルや経験を身に付けましょう。

Q 手を挙げ続けても、なかなか受け入れられないことがあります。マルセラさんは同様の経験はありますか?

A. 最初に勤めた銀行では、周りの社員は男性ばかりでしたが、幸運なことに差別はありませんでした。会社があなたの才能に気付かないのなら、自分の環境を理解し、力を発揮できるよう働きかける。限界があると感じた時や地平線を切り開くためには、自ら環境を変える行動を起こすのも一つの手かも知れません。ただ、本来なら企業がそのような問題に気付くべきだと思います。

Q HPのメンター制度について教えてください。

A. 世界中にメンタリング・プログラムがあり、国や事業部によって違いがあります。公式なプログラムだと、メンターとの関係が人工的になってしまうこともあり、自分で選んだほうが良いこともあります。ランチの時などに話を聴いてもらうのもよいでしょう。良いリーダーは人を育てることを喜びに思う人なので、相談をもちかけられると、喜んでアドバイスをくれることでしょう。


パネル・ディスカッション
~テーマ:個のリーダーシップで自分らしいキャリアを築く~

佐渡 アン氏の司会でディスカッションを行う4人の女性リーダー。
パネリスト: 住友スリーエム(株)人財・組織戦略部長:アキレス 美知子氏
  松下電器産業(株) クッキング機器ビジネスユニット長:宮井 真千子氏
  内閣府 男女共同参画局推進課長:定塚 由美子氏
  日本HP(株)パーソナルシステムズ事業統括 ボリュームオペレーション本部長:前田 通子氏
モデレータ: NPO法人GEWEL(Global Enhancement of Women’s Executive Leadership)
副代表理事:佐渡 アン氏


―アン氏:まず、自己紹介を兼ねて、働く上で心がけていることをお願いします。

【アキレス 美知子氏】
私のモットーは「仕事もライフも楽しむ」「感謝とユーモアのセンスを忘れない」ことです。
仕事は、「楽しむ」姿勢でしています。また、50%できると思うなら引き受けることにしています。その場合、上司、同僚、部下など、皆に協力してもらえるよう働きかけます。そうすると完成度が100%ではなくても、出来上がると嬉しいものです。また、支えてくれる人たちへの感謝の気持ちを語りかけることを大切にしています。そして、遊び心を忘れないことですね。完璧を求めると長続きしないので、100%ではなく、いつも10~15%遊びの部分を残しておきます。私生活では娘が二人いて、家庭で仕事のストレスが消えます。

【宮井 真千子氏】
現在、調理器の事業の責任者をしています。 海外への出張もあり、仕事と生活がアンバランスになりつつあるかもしれません。私は、社会人になるまではキャリア志向ではなかったのですが、働いてみたら楽しかった。自分一人では大きな事はできませんが、チームで動けば世界のお客様に喜んでいただく結果を出せます。チームの一員として働く楽しさを知ったので、仕事が好きになりました。今の414名の部下の内、大半が男性社員です。私は部下と接する上で男女を意識したことはありません。性差による思考パターンの違いはあっても、個々の仕事は個人の差と思っています。ただ、女性は出産・育児などで時間的制約があると思いますので、その点を踏まえて平等に接しています。
私のモットーは、「志を高く」「自立と尊重」です。常に目標を持ち続け、自分で考え、自分で実行し、自分で責任をもつこと、また相手の立場に立って考えることです。

【定塚 由美子氏】
私は、内閣府の男女共同参画局で働いていますが、日本は女性の社会進出が75か国中42位と遅れています。政府としても、Positive Action、Work Life Balanceを二本柱として女性の活躍、男性を含めてのワークライフバランスを支援しています。ご自身のキャリア開発を考えてトライしてください。
仕事に関しては、完璧を目指すのではなく、自分の力を最大限に発揮しつつも“パーフェクトマイナス1%”を目指すことが重要と考えています。

【前田 通子氏】
私のモットーは「調和と共鳴」です。
プロフェッショナルな人が、プロフェッショナルに仕事をするだけではどこかに抜けが出ますので、皆で協力できる所は協力し合うことを心がけています。このように調和を図ることにより、素晴らしい仕事が出来上がると考えてます。また、まずは人の話にじっくりと耳を傾けるようにしています。その上でお互いにギャップを埋める努力をします。仕事で心がけていることは、「メール、電話の返事は可能な限り早くする」「与えられた仕事に前向きに着実に取組む」「明るく」の3点です。


住友スリーエム(株)人財・組織戦略部長:アキレス 美知子氏


松下電器産業(株)クッキング機器ビジネスユニット長:宮井 真千子氏


内閣府 男女共同参画局推進課長:定塚 由美子氏


日本HP(株)パーソナルシステムズ事業統括 ボリュームオペレーション本部長:前田 通子氏

官民で活躍する女性リーダーのパネルスト各氏。

【パネル・ディスカッション】

―アン氏:男女が仕事をしていく上で大切なことは、何でしょうか?

宮井氏:心がけているのは結果を明確に出すことです。最近はITの発達で、出社しなくても仕事ができるような環境が整ってきましたが、私の場合は、子供が寝てから仕事をしていました。それで結果が出せると、「宮井さんのために早くミーティングを切り上げよう」などと会社の雰囲気も変わっていきました。

定塚氏:役所は7~8割が男性です。男性はノミ(飲み)ニュケーションが盛んですが、私の場合は、昼食の時間を利用し、先輩に自分から声をかけて、色々な人から情報収集をしました。今は後輩に情報を伝えています。女性にとっても、ネットワークは重要です。

アキレス氏:専門性を持って、相手に信用してもらうことだと思います。例えば、率直な意見を得にくい高いポジションに就いている人に対して、人事として専門的なアドバイスをすると、貴重な存在と思われます。また、相手から学ぶ姿勢で接することも大切です。

前田氏: 「ノー」とはほとんど言わないことです。また、自分ができないことは自分のスタッフにも頼まない。そして、現場を大切にするようにしています。

―アン氏:男性社会の色が濃い場合は、どうしたらよいでしょう?

前田氏:私のケースでも男女差別はあったのかも知れないですね。私は上司に恵まれましたが、認められない場合は、あきらめないで朝の1分でも良いので、自分はこういうことをしていると伝えました。

定塚氏:一人で悩まないで、社内の人に相談してはどうでしょうか。それでも解決しない場合は、労働基準局などへ相談するのも手ですよね。(会場より笑い)

宮井氏:「女性だから…」という上司には、こちらが冷静に理論武装して理屈で説明するのがよいと思います。準備をして理論的に話すと大抵理解してもらえます。それでも理解してもらえない場合には、諦めます(笑)。

アキレス氏:男性にとって女性は“分からない存在”なので、元々の期待値が低かったり、失敗した時に叱れなかったりします。女性がそれに気付かずにいるのは、非常に危険です。甘やかされているうちに、実力の差がついているかもしれません。上司の方には、男女ともに差のないフィードバックをして欲しいですね。

―アン氏:失敗談や、失敗したときの対処方法を教えてもらえますか?

宮井氏:どん底に落ちたときは、原点に返るようにしています。何のためにこれをしているのか、なぜ働いているのか、なぜ生きているのかまで。同じ悩みのループを廻る人が多いと思いますが、一度悩みの“輪っか”を断ち切るためにも原点は何かを考えたらよいと思います。

前田氏:私の場合、悩みの原点を数日考えているうちに飽きてしまい、立ち直ります。悩んでいる人に対しては、相談に来てくれと言いたいですね。

アキレス氏:失敗して落ち込んでいる時に、信頼のおけるメンターの人々が皆、励ましてくれました。後は、自分の心の中の会話に耳を傾けることですね。

定塚氏:子供が2歳の頃、子育ても仕事も中途半端な感じがして、落ち込みました。子供が熱を出した時などは、親に見てもらったり、半休を取ってベビーシッターを手配したりと大変でした。自分がそれまで描いていて仕事と子育てのイメージと現実のギャップが落ち込みの原因でした。でも、これは一時期のことなので、これから子育てされる方は、おおらかに乗り切って欲しいですね。

―アン氏:皆さんのエネルギーの源は?

アキレス氏:チームですね。社内、社外、色々な人の意見を貰うことです。家族と成長していくことも、エネルギーの源です。

前田氏:人が好きな私にとっては、人は宝、人からエネルギーをもらいます。オフの時には寺や神社を巡ってエネルギーを補充します。

宮井氏:「事業の中で成長していきたいという思い」です。皆さんおっしゃるように、人からもらうパワーや家族もエネルギーの源ですね。

定塚氏:就きたいと思っていた仕事ですので、初心を忘れないようにすることです。家族からもパワーを貰っています。

マルセラ氏:女性のキャリア構築が日本で可能であることを、優れたリーダーであるパネリストの方々が証明してくださいました。政府も率先して支援してくださっている。会場にいらっしゃる皆さんご自身が、ご自分の育成に自らが責任を持ってください。皆さん一人ひとりが違いを生むことができますし、今日一日学び合い、一人ひとりがお互いのロールモデルになることでしょう。


「5P+1Pを」と、会場にメッセージを送るモデレータの佐渡 アン氏。

―アン氏:今までのディスカッションをまとめると、リーダーシップの秘訣とは次のようになるのではないでしょうか。
まず、高い目標を設定すること。そして、一人で悩まないで、メンターや上司、友人、家族のネットワークを大事にする。また、多くの人との関わりからエネルギーを得て、自分の時間も大事にする。
こういった事になるのかと思います。

私は、ここで『5P+1P』を申し上げたいと思います。

  1. Passion 情熱
  2. Purpose 目的を持って
  3. Patience 忍耐強く
  4. Professionalism プロフェッショナリズムで
  5. Peak Performance 頂点を目指す
  6.     ↓

  7. Paradise 楽園に到達する

以上のメッセージを皆さんに送りたいと思います。


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