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Woman & Workインタビュー
Vol.3 坂本さん [ 1 2 ]
3 回目は、外資系の化粧品会社の社長をされている坂本さんにご登場いただいた。坂本さんは、大変細やかな気配りをされる方で、ダイジョブ取材班はその気配りに心を和ませつつ、楽しい取材をさせていただいた。本来ならば、我々が気を使わなくてはいけないのに、である。“心地良いコミュニケーション” とは、心配りが作るものであり、ビジネスで必要なコミュニケーション能力もそこに根ざしている、という坂本さんのお話がすんなりと沁みた。今回の取材では、英語、組織内のコミュニケーション、自己の能力ストレッチなど、経営者らしい「ビジネスの視点」による、様々なアドバイスをいただいた。外資におけるコミュニケーション術のコアが見えてくる。。
「 気配りこそコミュニケーションの極意 」  - その2・キャリア編
アモーレパシフィックジャパン株式会社 代表取締役社長
坂本曜子さん
アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ州立大学 国際関係学科卒業。株式会社資生堂の商品開発部、GE Japan (ゼネラル・エレクトリック ジャパン)社の経営企画部、アメリカ大使館・商務部、レブロン株式会社のブランド・マネージャー、エリザベス・アーデン社、モンブラン・ジャパンのマーケティング・ディレクターを経て、韓国の最大手化粧品会社 アモーレパシフィック社の日本上陸に参画し、現在、同社の代表取締役社長を務める。六白金星、 B 型。
【個人の目標】
短期:プライベートとビジネスの両面、バランスよい生活を営むこと。(現在、 20 時間程の仕事中心の生活) 長期:定年後の生活を真剣に考える。
【公的な目標】
短期:後任を育成する。

外資系の化粧品会社の社長をされている坂本さんの後半である。前編では、コミュニケーションに関するアドバイスをいただいたが、 “コミュニケーションの達人” 坂本さんは、一体どんな経歴を歩んでこられたのであろうか ? そのキャリアに何かヒントはあるだろうか ?
後編となる今回は、坂本さんの経歴と、それぞれのキャリアで得たものなどをお話いただいた。そして、最後に、今後の夢も語っていただいた。社長がゴールではない。ビジネスを超えた次の夢をお持ちである。

キャリア
「国際人になって欲しい」 - 父の夢を背負いました。
―ダイジョブ「いただいたプロフィールに『典型的な日本企業での業務経験をコアに、主として米系、特にファーストリザルトを求められることの多い企業でのマーケティング、営業での厳しい経験は本人の今を形成する上で大変役立っている。』とありますが、坂本さんのキャリアについて教えていただけますか ? どのようにして、今の会社代表のポジションまで登りつめたのでしょうか ? 英語を使ってお仕事をされるようになったきっかけは、何だったのですか ? 」

「国際人」になって欲しい、というのは、そもそも父の希望だったのです。私の子供時代、『兼高かおる世界の旅』というテレビ番組が日曜の朝に放映されていて、兼高さんが世界各地を映像とナレーションで紹介していました。 1 ドル 360 円の時代ですよ ! 世界旅行なんて、庶民には “高嶺の花” でしたから、本当に憧れました。父も「お前は、国際人になれ」と、私が子供の頃から言っていまして、小学校に上がる前から、神戸の「アメリカン・ファーマシー」(注 : 輸入品を扱うドラッグストア)で手に入れた英語の本を与えられていました。

―ダイジョブ「当時は、 1 ドル 360 円の固定相場制だったんですよね。(注 : 1972 年から変動相場制になりました。)知っている私の年が分かりますが … 。でも、その頃、海外留学は特別なことでしたよね。」

きっかけは、すごく個人的な事です。高校生の当時、何故かもうフィアンセがおりました。父が決めたのですが、私は結婚して家庭に入る気は無かったので、 1 年の約束でアメリカのサンノゼの高校に留学させてもらいました。帰国して結婚せず、そのまま大学に進みました。まあ、確信犯だったわけです(笑)。そこで、国際関係学を専攻しました。あの時代は、アメリカでの就職が難しかったため、帰国して就職しました。

キャリアスタート
4 大卒の女性の採用が珍しかった時代。会社も私たちも模索していました。
―ダイジョブ「最初に勤められた会社が 『資生堂』 ですね。
私は運が良かったのです。あの当時は、 4 大卒の女性など就職先は無い状態だったのですが、資生堂が、英語を使える女性を探しており、アメリカでの経験がある私を採ってくれました。商品企画部の国際商品課に配属され、海外向けのマーケティングを主に担当していたのですが、資生堂自体も女性の活用法を模索していた時期でしたので、在籍した 4 年間でいろいろな経験をさせていただき、心から大変感謝しています。 ここで、マーケティングの知識を身に付け、今の仕事の土台が固まりました。資生堂という大企業で経験を積んだことは、大変役に立っています。言ってみれば、心臓部として体の各器官全体の働きを見ることができたのです。小さな企業では、このようなスケール感を持つのは難しいでしょうね。
―ダイジョブ「次に 『GEジャパン』、『アメリカ大使館・商務部』 とキャリアを築かれるわけですね。」
GE には、知人の紹介で入りました。経営企画部に所属し、 4 年間程いました。学んだことは、外国人の上司との付き合い方です。これは、皆さんに申し上げたいのですが、基本は「ストレート、オープン」です。必要なのは情報共有なので、ネイティブでない方はよりストレートな言い方をすべきです。ネイティブの言い回しを使う事で誤解が生じるようでは困ります。また、 GE では「報告と共有」の重要性を学びましたね。例えば、振り分けられた仕事が期限どおりに出来そうもない場合は、早目に報告する方が良いのです。チームの他のメンバーがサポートしてくれて、全体の生産性が高まるのです。
ビジネスコミュニケーション
ビジネスは互いの土壌で成功すること
―ダイジョブ「チームプレーを重視する GE らしいお話ですね。次のアメリカ大使館のお仕事はいかがでした ? 」
アメリカの消費財の日本市場への参入やマーケティングのコンサルティングをしました。 GE では、経営戦略部でしたので、再び「モノ」の世界に戻り、「モノ」こそが私のライフワークだと思いました。ここの上司は、ベトナム系のアメリカ女性で、大変厳しかったのですが、ご本人が苦労された方なので、その厳しさの意味は理解できました。厳しい上司と出会えたことは良かったと思っています。アメリカ政府の仕事でしたので、日米・双方の調整が必要なのですが、ここで感じたことは、「ビジネスは双方が互いの土壌で成功する、 Win – Win の関係でなければいけない」ということです。この考えが、私のビジネスの基礎になっていますね。
―ダイジョブ「次は、 『レブロン』 でブランド・マネージャー、 『エリザベス・アーデン』、『モンブラン・ジャパン』 ではマーケティング・ディレクターを務められていますが、それぞれの会社の特徴と転職のきっかけを教えてください。」
レブロンにはヘッド・ハンティングで、エリザベス・アーデンへは上司と共に移籍、モンブランへは再びヘッド・ハンティングで転職しています。
レブロンは、社員の間で商品理解が浸透している大変良い会社でした。タテにもヨコにもつながりの良い会社で、資生堂と GE ジャパンを足して 2 で割ったような組織の雰囲気でしょうか。当時上司だったレブロンの副社長がエリザベス・アーデンの社長に抜擢されたのをきっかけに、私も移りました。エリザベス・アーデンでは、マーケティング・ディレクターのポジションで、直属の部下 7 名の人事権もあり、また組織的にも百数十名という大きなチームで、ここでは、 “人を動かす環境作り” について、大いに学びました。
残念なことにエリザベス・アーデンが日本を撤退するに伴い、ビジネスをクローズするという厳しさを経験しました。部下の再就職の紹介をヘッドハンターにお願いしたりもして、後ろ髪をひかれる思いでしたが、ご縁があり、自分自身でも愛用していたモンブランへ転職しました。 モンブランには、アーデン社の件などで、入社を数ヶ月待っていただく結果になってしましました。
―ダイジョブ「数ヶ月待っていただくなんて、めったにあることではないですよね。モンブラン・ジャパンの上司の方は、外国の方ですか ? 」
はい。ドイツの男性の方です。モンブランは、多くのブランドを持つスイスの超優良コングロマリット(複合企業)、リシュモンの 1 ブランドで、ヨーロッパらしいブランド育成の仕方を学びましたね。また、ここは横のネットワークが大変良い組織でした。
1年ほど務めたところで、父が病に倒れ看病のため退職を決意しました。それまでは仕事人間で、 ”昼間にゆっくりとスーパーでお買い物” というような日常の経験はありませんでしたので、大変貴重なターニング・ポイントでした。平凡な日常生活の重要さを知りました。
会社経営、そして夢
人の育成が、今の使命。将来の理想は、緒方貞子さん。
―ダイジョブ「そのお気持ちが、今の会社経営でも浸透していらっしゃるのですね。さて、いよいよ、『アモーレパシフィックジャパン』 の社長となられた訳ですが、何を目標にしていらっしゃいますか ? 」
この会社は、ライフワークの 「モノ」作りが再びできる、アジアで展開するビジネスに携われる最後のチャンスと思い、会社の登記やオフィス探しなど設立段階から参画しました。でも、私は「社長と呼ばないで」 と会社の皆に言っているんです。 「100 億円のビジネスになってから社長と呼んで」 と。部下が 「100 億にしましょう ! 」 と言ってくれていますので、頑張りたいですね。
―ダイジョブ「またまた、いただいたプロフィールからですが、『日本企業、外資企業、どの企業においてもバランスよく業務に携わることのできる真のグローバル・ビジネスピープルを育成するため、日々奔走、頭を悩ましている。』 とありますが、今、人材育成の面で、どのようなことをされていますか ? 」
社長に就任した理由は、 「チャレンジ」 が一つ、そしてもう一つが、「理想とする会社を作りたい」、と言う気持ちです。会社を経営していて良いことは、組織作り、つまり組織を動かせることです。今、優秀な女性の活用を継続するための環境を整備しているところです。会社には、シングルマザーもおりますが、勤務を夕方 4 時半までとするなど、 “テーラーメイド” の対応をすることによって、良い組織になると思います。

でも、会社経営が最終目標ではないのです。理想は、元・国連難民高等弁務官の緒方貞子さんです。ビジネス界の後は、ワールドピースに関連する仕事に携わりたいと思っています。 50 代、 60 代になっても、この夢を実現したいですね。

坂本さんの愛読書&お薦め本
▲ 坂本さんの愛読書&お薦め本。坂本さんは、プレゼントすることが大好きとおっしゃる。「人により個性や興味の違いがありますので、一律に同じ本が喜ばれるとも限りません。人によってプレゼントする本を選んでいます。」と坂本さん。坂本流コミュニケーション術である。ここにも「テーラーメイド」の考えが表れている。
上から時計回りに  Jack Welch/Jack: Straight from the Gut (Warner Books Inc) 豊田 有恒/韓国が危ない (PHP研究所) デビッド・シロタ ルイス・A.ミスキンド マイケル・アーウィン・メルツァー/熱狂する社員 (英治出版) 大前 研一/即戦力の磨き方 (PHP研究所) 四方田 犬彦/「かわいい」論 (筑摩書房) 村田 吉弘/京都料亭の味わい方 (光文社)
[ 前編 後編 ]
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