悩みに答える転職相談
石原

相談者の悩み( H.T. さん、 38 歳 )
転職先の会社を、勤務条件等の相違があり退職。その後、契約社員として働き始めたが「2年間の雇用契約」だったにもかかわらず、会社都合で辞めることに。「いい加減な会社の対応」が続き、自分にも自信がなくなってしまいました。何を信じたらよいのか …。 就職自体が不安になってしまったのです。

【相談者 経歴】 短大卒業後、大手電機メーカーに就職。企画管理、販売管理、商品営業などのセクションを経て 14 年目に早期退職。建築機械・資材メーカーに転職するも、実際の仕事内容、勤務条件が説明と異なっていたため2 ヶ月で会社都合で退職。その後契約社員として働いたが、業務委託契約の変更があり、会社都合で退職。自分の望んでいた職場環境は得られていない。現在、職を失って 5 ヶ月目。
「条件が違う転職が続き、転職そのものに不信感を抱くようになりました。」
相談者
これまで転職に際して不信感を覚える場面が少なくありませんでした。過去にも色々な仕事を紹介されてきたのですが、実際に行ってみたら業務の内容など当初提示されていた条件と違っていたということがしばしばあったのです。短期で辞めてしまって、経歴に傷が付いてしまったことを気にしているのですが、他の転職者の方は、そうしたことがあっても我慢しているのでしょうか。
石原さん
ishihara 皆がみんな文句も言わずに我慢しているということはありませんよ。そもそもどこから「我慢」なのかは人それぞれですし、個人によって対応の方法も違ってきますから一概にはいえません。ただ、最初の話と実際の仕事が違っていたというのは、それほど珍しいことではない。正直なところ、仕事の実際の内容は転職してみないとわからないのです。前職を短期間で辞めて転職された方は、よく「経歴にキズがついてしまった」とおっしゃることが多いのですね。
相談者
では、私たちはどうすればいいのでしょうか。
石原さん
確かにその事実は過去のことなので、もう変えようがありませんが、ちゃんとした理由があって転職されたのであれば、そう思う必要はありません。書類選考での不利は避けがたいにしても、面談まで漕ぎ着けた際、問われた時にきちんと答えられるようにしておけば大丈夫です。卑下することなく、堂々として、自分の決断に自信を持てばいいと思います。転職とはある意味、清水の舞台から飛び降りることですから、見切り発車をする潔さが大切。もうひとつ大事なことは自分自身の中に「見る目」を養うということだと思います。紹介会社のコンサルタントを始めとしてあなたのアドバイザーになってくれる人はいると思いますが、結局最後に信じられるのは自分自身の判断力なんです。それをきちんと持った上で決断を下す。そうすれば自分で結果を受け入れられるのではないでしょうか。
相談者
やはり自分には合わなかった、ということもありますよね。
石原さん
そうですね。その場合は、どれぐらいの期間で見切りをつけるのか、そのための指標を自分の中に持っておくことも必要だと思います。 実のところ、契約社員の採用では、個人と企業との間に齟齬があるというケースもあります。「人が足りない」と考えた企業は、とりあえず頭数を揃えることを重視するあまり、比較的「軽い」気持ちで求人を出してしまう事があり得るからです。そうすると最初の段階から、採用する側が求めるスキルや業務の詳細などを十分練り切れていない訳です。
相談者
ある会社に転職したとき、最初の頃、気を遣って先回りをした事に対して、「言われたことだけをやってください」と釘を刺されたのでそうしていたら、辞めるときに「もっと積極的にして欲しかった」といわれて困惑したことがあります。またあるときは急に委託先の注文が変わって、「もっと賃金の安い若い人にしたい」と言われたこともありました。
石原さん
確かにそういうことは心の“しこり”になり易いのですが、大切なのはイヤな思い出を引きずらないこと。うまくいかなかったことについて「自分のコントロール下にあったこと」「コントロール下になかったこと」を区別して考えてください。先の例だと業務内容が変わったというのも、経費節減で若い社員を求めるようになったという部分も、Tさんにはコントロールできないことですよね。残念なことだと思いますが、自分ではどうしようもなかったことを苦い思い出として振り返る必要はないはずです。むしろ、悪い状況が長引かなかったのは良かった事だと前向きに捉えた方がいいですね。
相談者
うまく割り切ることが大切なんですね。
「求職活動が長く続き、段々と不安になってきています。」
石原さん
そうです。前向きな考え方を持てば次の転職もうまくいくでしょう。ただ、T さんのケースだと約 5 カ月職がない状況が続いていても、ご実家にいらっしゃるので、すぐに困るということがなく、危機感がないのが逆に問題なのかも知れませんね。 実際、無職の状態はあなたに何か変化をもたらしましたか ?
相談者
家事や趣味をして規則正しい生活をしていましたが、最近は生活がだらしなくなってきて、体調を崩しました。
石原さん
ishihara 本意、不本意にかかわらず失職して長く働かない状態が続いた人は、精神的な負担を感じることが多いといわれています。3カ月位働かないと、顔に苦悩の色が出てくることもあります。自宅にこもっていても、家族の方はおそらく優しく見守ってくださると思いますが、それがかえって自分にプレッシャーをかける引き金になってしまうんです。仕事を通じて人と話すことは大きな刺激ですから、それが無くなると、のんびりしているつもりでも実は重圧になることがあるわけです。
相談者
この前は会社都合の失業だったので失業給付も出ましたし、生活の面ではそれほど困らなかったのですが、やはり不安になりますね。一度、内定の話もいただいたのですが、業務内容に曖昧な点が多くてお断りしました。今は週末に銀行のアテンダントの仕事をアルバイトの立場でやっています。自分自身では接客のスキルを身につける機会だと位置づけていたのですが、それ自体やりたい仕事と直接関係ないので、やはりこのままでいいのかと悩みのタネになっていたり ……。
石原さん
どんな経験でも必ず人生の糧になります。接客のスキルは対人スキルということですから、企業の方も評価してくれるでしょう。
相談者
条件が合ってもダメなこともあれば、難しいかなと思ってもトントン拍子に決まったりする。そう考えると結局就職というのは縁なのかなあと思うこともあります。
石原さん
ご縁とタイミングでしょうね。運とツキと言い換えてもいいかもしれない。自分にパワーがないときにはなかなか運とツキも転がり込んできてくれませんよね。失職中=休業中、つまり言い換えれば充電期間ですから、得たパワーで運とツキを引き寄せて下さい。
「面接時の話と実際の条件が違うケースを避けるコツは ?」
相談者
面接のときの話と実際の業務が全然違うというケースを避けるコツはありますか。
石原さん
面接のトークは非常に大切です。相手が何を考えているのかを冷静に見極めることですね。中には良い面ばかりを強調する面接官もいますし、話を大袈裟にしがちな人もいる。それが実態と離れていないかどうかを見極めるのは、やはり冷静な態度で判断する、としか言い様がないんです。そのとき、転職者の方が切羽詰まった状態だとなかなか冷静になれない。期待が大きすぎるときは悪い話を聞き取る注意力に欠けてしまいます。面談には心の余裕を持って臨むのが理想です。
相談者
タフになりますね。
石原さん
そう。転職の経験というのはタフさを身につけることと同義なんの面があります。たとえ不本意な転職だったとしても、1社だけで定年退職まで平坦な人生を送るより、様々な経験をすることができたとしたら、むしろラッキーなことなのかもしれない。今後、どんな変化が起きるかわからないわけですから、事前に自分を鍛え上げることができれば、それは決して不幸な経験ではありません。
相談者
私は「給料」「仕事内容」「自宅に近いこと」を条件に会社を探すことが多いのですが、これについてはどうでしょう。
石原さん
人は誰しも「これだけは譲れない」というものを持っているわけですから一概にはいえませんが、条件が増えれば増えるほど、オファーは減ってきます。現実的に考えるなら、条件を絞り込み、オファーが来る確率を上げる努力をしてみる。人から言われて嫌々ではなくて、素直な気持ちで条件を外してもいいな、と思えるのなら、その転職は成功するでしょうね。
相談者
イヤなことも色々あったけど、やっぱり働きたい。働いている方が楽しいですから。
石原さん
それがわかっただけでも5カ月のブランクには意味があったということですね

石原久美の転職アドバイス 今回のポイント

転職相談_ishihara

1) 自分自身の中に「見る目」を養うこと
2) 気持ちをうまく切り替えていかないと次の転職は成功しない
3)冷静な態度で面接に臨めば、人事担当者の真意が測れる。大袈裟な話も見極められるので、齟齬による転職の失敗は避けられる

就職における不安は「納得」のレベルで大きく変わるもの。そして「納得」は自分自身の中にあるということを自覚すべきです。よく「話が違う」という話を聞きますが、そもそも就職の成否は会社に入ってみなければわからないものだと思います。その判断を自分自身で行ったという確固たる自信があれば、たとえ「失敗」したとしても、結果を受け入れることができるでしょう。紹介会社に任せているときでも、最終的に自分の判断で決めたという意識があれば、コンサルタントなど人に「こういわれたから転職したのに!」という不満が噴出することはありません。納得して転職すれば後悔することはありませんが、判断が人任せだといつまでも引きずってしまうものです。自信と余裕を持てば、冷静さを保つことができます。冷静な態度で面接に臨めば、これは、過剰な期待をしないと言い換えることもできますが、企業側の意図や真意も読み取れますし、結果的に納得した形で転職することができるはずです。