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タカシの外資系物語

外資流! メディア対応の“超絶テク”とは?!(その5)2018.05.22

オバマ大統領とジョブズの共通点とは?!


(前回の続き)「重要なことは、3点あります。1つ目は、・・・」 みなさんも、プレゼン時によく使うフレーズだと思います。「ポイントは、3つにまとめろ!」なんてのも、頻繁に耳にするTips(コツ)ではないでしょうか? 実はこの「3」という数字、非常に奥が深い! 今回のコラムでは、自分が言いたい要点を3つにまとめる方法についてお話ししたいと思います。


私が参加している「メディア対応スポークスマン・トレーニング」では、ケーススタディとして、多数のサンプルを見て、講義が進められました。サンプルというのは、記者発表やTEDなどのプレゼン、公開されているインタビューの応対など。対象となっているのは、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、イーロン・マスク、オバマ大統領、メルケル首相、孫正義、新浪剛史(敬称略)など、そうそうたる顔ぶれでして、まぁ、聞いていて本当に飽きない。思わず引き込まれるようなプレゼンやインタビューばかりでした。

では、彼ら・彼女らのプレゼンは、何がそんなにすごいのか? まず、われわれと彼ら・彼女らとの決定的な違いとして、“オーラ” があると思います。画面やステージに登場しただけで、その場を魅了してしまう雰囲気がある。これは大きい。なぜなら、こういう雰囲気をプレゼンターと聴衆の間で共有できた段階で、内容が凡庸であっても、「ふんふん、そりゃすごい、確かにスンゴい!」という空気を作ることができるからです。


次に、“キーワード” を提示するのがうまい。例えば、オバマ大統領の「Yes, we can !」は、彼が大統領に当選する大きなきっかけとなったフレーズです。また、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で行スピーチにおいて、その締めくくりで使った「stay hungry, stay foolish」というフレーズも有名です。どちらも、本人の考えや人となりを表現する、文字通りの代名詞となっています。


しかし、オバマ大統領やスティーブ・ジョブズのスピーチが支持されるのは、彼らにオーラがあって、有名なキーワードがあることだけが理由なのでは決してない。オーラやキーワードはあくまでも付録みたいなもんであって、スピーチの主体ではないのです。現に、オバマ大統領があらゆるスピーチで、「Yes, we can !」と言いまくっていたわけではないし、スティーブ・ジョブズが「stay hungry」と言ったのは、スタンフォードでのスピーチ1回きりです。彼らのスピーチのうまさは、内容およびその構成にあります。ということで、ここでは、構成のお話をしたいと思います。

なぜ3つなのか? と メディアの使い分け


プレゼンやスピーチの構成に大きな影響を与えるのが、冒頭の「3つにまとめる」という観点です。私がトレーニングで観たビデオでも、ほとんどにおいて「3つにまとめる」手法が使われていました。


なぜ3つなのか? ・・・なーんてのが、よく問われたりしますが、これは結構明白です。なぜなら、物事を普通に構造化すると、3つ程度になるからです。


例えば、オバマ大統領が就任前に実施した「Yes, we can !」のスピーチを例にとると、以下のように構造化できるはずです。


(1)(主題)私に投票してください! ← 1つ

(2)(理由)「私に投票する」ことのメリット ← 3つ程度

(3)(理由の裏付け)上記メリットがあると言える証拠 ← 7~10程度

 

「いくつにまとめるのか?」という議論は、「物事を構造化した場合に、どの階層を取るのか?」と同義です。プレゼンやインタビューなどで、口頭で話して、理解・認識してもらえる限界の階層は(2)です。(3)まで行きたいところですが、それでは盛り込みすぎです。だから、「3つにまとめる」のです。


手段としてのメディア、マスコミというのは、適材適所でうまく使わなければ、効果が出ません。例えば、上記(1)~(3)をアピールするのに適したメディアは、以下の通りとなります。


(1)選挙カーでの遊説、ポスター

(2)スピーチ、TVでのインタビュー

(3)新聞、雑誌への寄稿

 
ビジネスの場合、(1)のケースは少ないと思いますが、(2)と(3)の使い分けは重要ですので、肝に銘じておきましょう。

即興で3つにまとめる法則とは?!


プレゼンやスピーチを「3つにまとめる」ことの理由と効用が理解できたところで、そのまとめ方についてお話ししたいと思います。まとめ方については、事前に準備できるプレゼンやスピーチと、即興性が求められるインタビューでは異なるように思えるのですが、その本質は同じです。実は、ある法則を覚えてしまうと、即興で3つにまとめることも、それほど苦ではなくなります。では、その法則とやらをお話しする前に、3つでまとめる上で、よくやってしまいがちな落とし穴について説明しておきましょう。


まずは、粒度の問題です。以下をご覧ください。

 

  • ●受験勉強を効果的に進める上で、重要なポイントは、以下3点です。

(1)なぜ、その志望校に行きたいのか? 自分の将来像を明確に持つこと

(2)塾や予備校では、予習よりも復習を中心にすること

(3)理科・社会などの暗記系は、夏休み以降に回すこと


どれも重要なんでしょうが、明らかに (1) が浮いていますよね。(1)は、所与としての精神論的な部分であって、「受験勉強を効果的に進める上で」の、具体的なポイントではありません。上記のように、仲間はずれが混ざってしまうと、聴衆はその仲間はずれに興味が向いてしまって、話を聞いてくれません。よって、3つのポイントについて、粒度を揃えることが重要です。


この続きは、次回お話しすることにいたしましょう。では!

 

(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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