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タカシの外資系物語

男性社会は退屈だ!(その3)2018.02.20

オリンピックに “参加する” ということ


(前回の続き)現在の世の中が、ときに強度の停滞を起こすのは、権力に固執する男性が原因である! ・・・この衝撃の仮説について、ビジネス現場の実態を見ていくことにいたしましょう。と、その前に、どうしても話しておきたい、あの事柄から・・・

本題に入る前に、時期も時期ってことで・・・! オリンピックについて、少しお話ししたいと思います(やはり、そう来たか・・・)。


それにしても、日本選手の活躍には、本当に胸を打たれます。特にこの週末は、羽生選手、小平選手の金メダルラッシュがあって、大いに盛り上がりましたよねぇ・・・。オリンピックの時期は、通勤時に新聞を読んでいても、日本選手のエピソード(メダル獲得への道のりとか)が記載されていると、思わずウルウルっときてしまいます。


「オリンピックは、勝つことではなく参加することに意義がある」・・・ みなさんは、この言葉の起源をご存知ですか? 今をさかのぼること、ちょうど110年前、1908年に実施された、第4回ロンドンオリンピック陸上競技において、アメリカとイギリスとの対立が起こり、両国民の感情のもつれが極度に悪化していました。これに際し、聖公会のエセルバート・タルボット大主教がアメリカの選手たちに対して「このオリンピックで重要なことは、勝利することより、むしろ参加することであろう」と語りました。これを、当時のIOC会長のクーベルタンが取り上げたのが起源とされています。


私は、この言葉は至言=物事の本質を言い当てているコトバだと思っています。実は私、あるオリンピック選手に、強烈な印象を植え付けられた経験を持っています。私が高校生だった頃(って、もう30年ぐらい前になりますが・・・)、体育の担当で陸上部の顧問でもあったS先生は、陸上短距離の元オリンピック選手でした。


オリンピック選手・・・、とはいうものの、S先生はオリンピックには行っていません。1980年のオリンピック、当時のソ連のアフガニスタン侵攻にクレームするため、アメリカをはじめとした西側諸国がボイコットした、あのモスクワ・オリンピックの “幻の代表” だったのです。S先生いわく、「俺はリレーの補欠だったから、どっちにしても、走ることはなかったと思うよ」と笑っていましたが、オリンピックに選ばれながら、本番の地を踏めなかった悔しさは、断腸の思いだったに違いありません。

ボルトより速いS先生?!


そのS先生が、一度だけ、生徒の前で走ってくれたことがありました。体育祭の教員対抗リレー、ま、余興の一種なのですが、そのときのS先生の走り、いまだに忘れることができません。何がすごいかって、速い! なんてもんじゃない、異次元の速さ!! 光速!! マッハGO GO!! です(古いし!)。あのとき、S先生は笑いながら、流して走っていましたが、私がこれまでに、生で見た一番足の速い人類は、紛れもなくS先生だと断言できます。


ある競技、例えば、フィギュア・スケートを考えてみます。小平選手や高木選手の走りを見て、多くの子供たちが、この競技に憧れて、練習を始めるとします。その中で、“才能” に恵まれた、ごく一部の子供たちが、オリンピック選手の “もしかしたら候補になるかも群” として選抜されます。残りの大半は、残念ながら、その群には選ばれません。でも、それはそれでいい。スポーツであれ何であれ、何かを好きになって継続することは、意味のあることだからです。


オリンピック選手の “もしかしたら候補になるかも群” に選ばれた子供たち、そこからが勝負です。これ以降の明暗を分けるのは、“才能” ではなく “努力” です。“執着心” といってもいい。オリンピックに出場する選手というのは、まず “才能” が必要なのでしょうが、間違いなく、とんでもない “努力” をした人たちです。だから、出ているだけでもう、本当に拍手喝采なのです。


「金と銀では大違い!」と、よく言われます。確かに、その両者には、表彰台の階段一段では表現できない差があるのでしょう。しかし、たとえその差が1ではなく100だったとしても、オリンピックに出ている選手のみなさんとお茶の間で応援しているわれわれとは、1億以上の差がある。それほどに、オリンピックに出場することは素晴らしいことなのです。メダリストのみなさんも、惜しくも入賞ならなかったみなさんも、本当に素晴らしい! 感動をありがとうございます! 胸を張って帰ってきてください!!

オリンピック名場面に見るアスリートのすごさ


今回のコラムの文脈でいうと、私はまず女子ノーマルヒル・ジャンプでの光景が印象的でした。この競技、結果は高梨沙羅選手・銅メダル獲得! という素晴らしいものだったのですが、彼女が2回目の大ジャンプを飛び終えた後、真っ先に飛び出て互いの健闘をたたえ合った、伊藤有希選手の姿が目に焼き付いて離れません。伊藤選手いわく、「(高梨選手が)すごく苦しい思いをしてきたのを見てきた・・・」とのこと。


何が印象深かったのかというと、男性視点でいうと、なかなかこのコメントは言えない、と思うのです。そりゃ、チームメイトがメダルを取ったのですから、ねぎらいますし、称えますよ。でも、やっぱり悔しい。その方が強いはずなので、抱き合って、涙流して、というのは、ちょっと想像がつかない・・・というのが、私見ですが、私の偽らざる印象です。私が偏狭なだけなのかもしれませんが。


同じことが、女子フィギュア・スケート500メートルでも見られました。金メダルの小平奈緒選手と銀メダルの李相花選手との二人並んだウイニングランは、本当に印象的でした。地元の李相花選手、超悔しいと思うんですよ、地元韓国での開催だし・・・、期するものは当然あったと思うんです。李選手は、過去2大会連続金メダル、一方の小平選手は、ここ数年この種目負けなし。この2人の競り合いを通じて、この種目のレベルが、ものすごく上がっている。新陳代謝が起こっているんですよねぇ・・・


男性の方はというと、例えば、金メダルの羽生結弦選手、もう強すぎて、すごすぎて、よーわからん・・・。一般人から見ると、1億以上の差ではすまない、それはもう100億以上の差、すごい才能とものすごい努力とスーパーすごい精神力を感じます。一方、強すぎるがゆえ、この競技の新陳代謝にやや懸念を覚えます。羽生選手はめちゃすごい、ですが、忘れてはならないのは、団体戦にも出場し、日本チームを支えてくれた、銀メダルの宇野昌磨選手もめちゃすごい。さらなる活躍を期待します!


つうことで、予想通り(?)というか、計画的犯行(?)というか、本題を書く紙面がなくなりました。ま、お約束、ということで、次回仕切りなおしてお話ししたいと思います。日本選手のみなさん、引き続き、頑張ってくださいね! 応援しています!!

(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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