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タカシの外資系物語

世界史から得られるダイバーシティの要諦とは?!(その3)2018.01.23

世界史を知るために・・・ 本を読む?!


(前回の続き)ナチスドイツ、黒人差別、宗教対立・・・、長く複雑な世界史的背景から引き起こされているこれら諸問題について、日本人はあまりにも無頓着。一方で、これらの諸問題を知らないことが、グローバルスタンダードについていけない国民性を形作っていることも、一つの事実といえましょう。では、どうやって学べばいいのか? 今回のコラムでは、これら難しいテーマについて、タカシ流のマスター方法を伝授したいと思います。

 

例えば、ナチスドイツについて学びたいと考えたとき、あなたならどうするか? 最もオーソドックスな作戦としては、“関連本を読む” というのがあります。

 

・『アンネの日記』(アンネ・フランク) ・・・ ま、これは鉄板でしょう。合わせて、『夜と霧』(ビクトール・フランクル)も読んでおきたいですね。この本は、精神分析学者であるユダヤ人のフランクル自らが、ナチス強制収容所での体験をつづったものです。学者ならではの冷静な筆致が、かえってアウシュビッツの悲惨さを浮き彫りにして、マジで、相当なショックを受けます・・・

 

・『我が闘争』(ヒトラー) ・・・ ヒトラーの自伝です。ま、時間あれば、って感じですね。ヒトラーを知りたいのなら、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』を読んだ方がいいかも。この人がどういう人だったのかが、よくわかります

・関連の新書 ・・・ ナチスドイツ関連なら、新書に膨大な類書がありそうなもんですが、実はあまりいいのがありません。岩波新書にはほとんどない、唯一、中公新書が頑張っている感じ。『ホロコースト』(芝健介)は、アウシュビッツも含め、非常にわかりやすい。『ヒトラー演説』(高田博行)は、ヒトラーがいかにして大衆を扇動したかを理解する助けになります。私の超おススメは、『ヒトラーに抵抗した人々』(對馬達雄)でして、ヒトラーやナチスドイツとは何だったのか、ということが、支配される側の立場から描かれていて、非常に理解が進みます

本を読む時間がない、アナタに・・・


こんな感じでおススメ本をご紹介することは簡単なのですが、1つ問題がある。それは、「本を読むのに時間がかかる!」ということです。当たり前といえばそうなんですが、そもそも、ビジネスパーソンには時間がないし、私のようにマニアックに読むことはできないと思います(私の場合、これが “趣味” の一環なもんで、あまり苦にならない)。他にも読むべき本がたくさんありますしね・・・。
 

また、世界史を学ぶ場合の難しさは、「どれか1つ読めばわかる! というものではない!!」という点です。例えば、経営戦略の泰斗、マイケルポーターについてザックリ知りたい、というなら、入門書を一冊読めば、だいたいのことはわかります。しかし、ナチスドイツについて知りたいからといって、入門書を一冊読めばわかります・・・ というわけにはいかない。事はそれほど単純ではない。多面的に捉え、理解してこそ、意味があるのです。

では、どうするか? 私のおススメは、「映画を観る」です。ナチスドイツにかかわらず、黒人差別であっても、宗教対立であっても、いい映画が山のように存在します。過去に上映されたものならば、多くはビデオになっていて、数百円で観ることができます。アマゾンのプライム会員など、無料でビデオ見放題のサービスも多数存在します。私は自宅でスマホにダウンロードして、通勤中に観ています。「映画など観に行く暇がない」「読書の時間なんてない」という人も、ビデオなら、自動でストーリーが進むわけですから、負担がないのではないかと思います。通勤電車内、オンラインゲームもいいですが、何か、自分の糧になることに時間を使った方が、生産的だと思います。

Let's Go To The Movies ! (・・・by “Annie”)


時間がなければビデオを観る、しかし、それなりに時間があるなら・・・、やはり生で映画館で映画を観た方がいいと思います。実は、ナチスドイツ関連では、昨年来、非常に出来のいい映画が多数上映されています。


(1)『ヒトラーに屈しなかった国王』

(2)『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』

(3)『否定と肯定』

(いずれも、まだ上映中!のはず・・・なので、ネタバレにならない程度にご紹介します)

 

 (1)は、第2次世界大戦中、ナチスドイツの侵攻に激しく抵抗したノルウェーの国王 ホーコン7世 を描いています。本国ノルウェーで大ヒットを記録し、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされました。ファシズムの台頭に対し、周辺の ‘普通の国’ はどう処したか? 今はやりの地政学とやらで、例えば北朝鮮を語ることも重要ですが、歴史的事実から得られる教訓や示唆というものは、机上では味わえない重みをもって、見るものに迫ってきます。

 

 (2)は、私の超イチオシ作品です! 簡単にいうと、ポーランドの動物園を経営している夫妻が、数百名のユダヤ人を救った、という話(簡単すぎるわーーーっ!)。『シンドラーのリスト』系の映画ですが、物語の舞台が動物園ってことで、動物が多数出てくる! 動物好きの私には、たまらんわけですなぁ・・・(T-T)。また、ポーランドのゲットー(ユダヤ人の一時的な収容所。ここから多数の人が、アウシュビッツのガス室送りになった・・・)の様子が描かれており、ホロコーストに関する理解が進みます。あのコルチャック先生(ユダヤ人の教育家。自身は助かる道もあったが、「子供と一緒に行く!」と言い残し、教え子たちと一緒にアウシュビッツに行った・・・)も出てきます。日本人外交官で多くのユダヤ難民にビザを与えた『杉原千畝』なども、同系列の映画ですね。

 

あと、これは余談なのですが、洋画の日本語タイトルって、なんかダサいと思いません?! この映画のオリジナルタイトルは、『The Zookeeper's Wife』でして、直訳すると『飼育係の奥さん』となります。ま、これでは何のことかわからんわけですが、だとしても、『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』とまで説明されちゃうと、なんだかなぁ・・・って、感じです(実は、“愛した命” には、いくつかの意味が含まれているので、わりとうまい訳なんですが・・・って、どっちやねん!)。

 

一方で、英語 → 日本語 のタイトル変換はイマイチなんですが、日本語 → 英語 は実はわりといい場合が多い。例えば、2016年に大ヒットした『君の名は』の英語タイトルって、知ってますか? それは、『Your Name』です。なんか、雰囲気あると思いません? こういうのって、言語の限界以上に、センスの問題のような気もします。

 

 (3)については、ナチスドイツ関係の法廷ものです。『否定と肯定』・・・、この邦題は、実は秀逸です。その理由をお話しすると、「そういう考え方もあったのか・・・」と、膝を打つ日本人は多いように思います。ということで、次回、乞うご期待!

(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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